2015年12月16日

新聞が軽減税率か?

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自民、公明両党は15日、週2回以上発行する新聞を定期購読する場合は軽減税率の対象とすることを了承した。書籍や雑誌に適用するかどうかは「引き続き検討する」としている。活字文化に携わる関係者からは「文化に対するビジョンなき線引きだ」と反発する声が上がった。

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「文化に対するビジョンなき線引云々」というが、要するに自分たちは渡辺さんから仲間はずれにされたから文句言ってるだけだろって感じるのは僕だけではないだろう。

 

軽減税率という筋の悪い政策を持ってくるのも政府が自分に楯突く輩を減らすため飴を与えた、つまり最初から新聞大手は言論の自由を放棄する代わりに軽減税率を適用してもらうっていう出来レースである。

 

政府は様々な許認可権限を持っており相手が徹底的に逆らう場合は潰すが、これはムチである。

 

現在の大手新聞は増税になった場合、経営が立ち行かなくなる会社が出てくる可能性が高い。

 

本来なら「世間の紙活字離れが進み新聞を読む文化がなくなり若者世代がネットにシフトしていく中、長期的に紙を使う新聞が生き残る道はあるのか?」そういう議論を真剣にすべきなのに、新聞社上層部のやってることは「あ、増税、やだな。じゃ渡辺さんにお願いしよう」だけで終始している。

 

新聞の販売数が減少している事実は何も変わらない。しかし人々はどこかから情報を仕入れて行動している。そこに目を向けるべきだろう。何故ならネットが発達して個人が情報を得るようになってもその一次情報をどれだけ正しく理解出来るか?

 

新聞社がプロ組織として持つ一次取材力、その分析や評価は個人とは圧倒的に違う次元であるからそこに本来なら勝機を見つけるべきである。

 

新聞社の持つ他の大きな問題もある。紙から開放されてすべてをネット配信にすれば印刷所を持つ必要もなく新聞配達の必要もない。

 

これだけで新聞社からすれば相当な合理化になる。ところが長年の付き合いの印刷所や配達所を今更切るわけにもいかん、そういう考えもあるのだろう。しかし、今切らなければお互いに野垂れ死にするだけだ。

 

印刷所、配達所、それぞれにネットワークがあるわけで生きている今のうちにそれを再活用すべきだろう。

 

長期的なことはよく分からんが自分が社長でいる間は増税されたら困るから渡辺さんにお願いして軽減税率に加えてもらおう、他の出版社などはどうでもよいのだ。

 

間違いなく言えることは政府による飴と鞭政策でこれから新聞もテレビも政府に忖度(そんたく)して政府に都合の悪い記事は書かない、記者が勝手に書いたら政府に忖度して懲戒。

 

今回の軽減税率はマスメディアが明確に政府の広報機関になったことを示している。今後僕らがすべきは「新聞に書いてたから」とか「テレビニュースでやってたから」と盲目的に信じない事だ。

 

大本営発表はミッドウェイで自軍の「沈められた空母」を沈んだと言わず米軍の「沈められなかった空母」を沈めたと言い、米軍がガダルカナルに上陸して数万人の被害を出しても「撤退」とは言わず「転進」と言った。

 

インパール作戦はその状況さえも一般紙には一切発表しなかった。一般国民がインパール作戦の大失敗を知ったのは戦後暫くしてからである。

 

今後すべてにおいて政府に都合の悪い情報は操作される。確実に。自分の目を開いて自分の頭で考えないと2020年に向けた最初の餌食になるぞ。

 

それにしても軽減税率の議論が始まった時、食品ばかりに目を行かせて一定の議論をわいわいさせた所で最後に公表するときにするっと新聞を軽減税率に入れるという役人の裏ワザ、さすがですな。民主党もギャーギャー騒ぐだけでなくもっと実質的な政策論争やらないと国会二強の万年三位だぞ。



tom_eastwind at 14:42│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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