2015年12月22日

失敗は成功のもと?限度あるよね。

以前ロトルアの銀行が香港系移民夫婦の経営するガソリンスタンドに10万ドルの貸付をすることにした。ところが実際に振り込まれた金額は1,000万ドル!

 

すごいのは香港系移民夫婦で翌日その金を殆どすべて香港や中国の銀行に送金して残りは現金で引き出して一番最初の飛行機でAucklandから海外へ立ち去っていった。

 

結局3年後かな、この夫婦は香港で逮捕されてニュージーランドで裁判を受けることになった。

 

けどここで問題なのは、振り込んだ銀行側もゼロの数をこれだけ簡単に間違えるのか?である。これだけの、商業ビルが一棟買える程の送金を担当者だけのチェックで済ませたのか?である。

 

けどけど、それが通るのがこの国の特徴だ。この国では銀行がミスをすることは当然であり多く受け取れば返して下さい、少なく払ってれば追加で払いますって感覚で、自分たちが公共機関であると認識しつつも仕事はキーウィスタイル、つまり「失敗は当然」である。

 

これは銀行に限らず公共機関もだがこの国の根底には「失敗するからこそ学べる」がある。子供の頃にいろんな事に挑戦させる時に「失敗するなよ!」なんて言ったら子供が萎縮して何もしなくなる。

 

だから失敗を恐れずに頑張ってみろなんだけど、それを大人になって銀行勤めをしていても「失敗するからこそ学べる」を実践しているのが困り者キーウィである(苦笑)。

 

1984年のデイビッド・ロンギ率いる労働党政権による自由化政策が成功して国営企業が次々と民営化されてその過程で自然と競争原理が働き「失敗する奴は使えない」となっていった。

 

大人になって民間企業で働くようになればそんな失敗は許されない、てか自由市場なのでそんな社員は解雇、会社であれば市場から退出するしかなくなり、その意味で純民間に近いほど競争原理が働いている。

 

ところが困ったことに公共機関、市役所やバスや銀行など競争原理の少ない職場では今でも「失敗は許される」とばかりに市役所の公共書類はミスが多く「あら、じゃあまた作りなおすわ」バスの運転手は行先を間違えてバックしているし銀行に至っては「誤入金」と「誤出金」が「許される」のである。

 

そして更なる問題は日本で「ニュージーランドは良い国ですよー」と案内する時に、良いことは言うけど現実に居住するとなった場合の「失敗は許される」問題点を説明せずにいる輩である。

 

日本人にとって最も嫌がるミスがニュージーランドにおいては頻繁に起こる、それも金融機関でも発生する、その現実を説明しないままに「良い国」など伝えて何の意味があるのだろうか?

 

投資移住に関する手続き開始してあちこちで書類不備が起こり時間ばかり取られ挙句の果てに申請したら「書類不備」で却下されたなんてケースもあるが、その場合問題の殆どはNZ側にある。なのにそれを誰も認めようともせず「何を外国人がおっしゃってるの?」くらいの感覚である。

 

この国が自然が豊かで人々が優しくて子供の教育に良い国であるのは間違いないが、それは僕のブログの冒頭に書いてあるように「ニュージーランドは天国ではない、かと言って地獄でもない」だけだ。

 

これは比較論とであり尚且つビジネスの最前線で生きたい人にはモノ足らない国である。

 

この国は良い。けれど誰にとっても良いわけではないのだ。

 

例えば技能移民テーマで「仕事ありますか?能力ありますか?」は僕が10年以上前に書いたブログだがその状況は現在も全く変わっていない。

 

この国で中国人やインド人移民と張り合って地元の仕事を奪うだけの能力ありますか?というごく当然の話である。

 

ニュージーランドのことを自分の事のように個人的に「良い国」と褒めるのは良いが、少なくともそれを業として行う場合には許されない。

 

旅行と生活とでは全く別物、その最初のボタンの掛け違いで移住希望者がハシゴを外されたような気持ちになり移住が嫌になる。「こんな事も出来んレベルなのか!」と腹も立つ。結果的に「おれ、帰るわ」になる。

 

全く移住の現場を知らんバカが口を出すな、である。仕事は失敗するためにあるのではないという世界の常識くらい知っておけ。



tom_eastwind at 16:03│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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