2015年12月31日

5万人社会に向けて

「何故5万人なのか?」と聴かれた。

 

実は21世紀初頭、つまり今から15年くらい前に世界各地の日本人社会をネットや紙ベース情報誌で繋げられないかと考えたことがあった。

 

各地の地元日本人向け情報誌がお互いに情報交換しつつ、海外の日本人社会が単独ではなく世界中にある日本人社会とお互いに繋がり情報交換をしつつ学ぶことやビジネスに繋げることが出来ないものか。

 

そんなことを目的に海外各地の日本人社会に住む日本人メディアビジネスマンたちを訪問した事があった。バンクーバー、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港、彼らからしてもビジネスに繋がる可能性があるだろうと思った。

 

ところが実際に会ってみると話にもならん。「なんですかそりゃ?」である。結局この企画は全滅、誰にも相手にされなかった。

 

良い話と思うんだけど、たぶんこれって情報誌を発行して広告を取るというビジネスモデルの人から見ると、世界がくっつくという概念そのものが理解出来なかったのだと思う。

 

ただ世界の日本人社会を回りつつ肌で感じたのは、日本人が5万人いれば日本人がお互いに必要とするモノを持ちあって自己完結する社会が出来るんだなって実感だ。

 

簡単に言えば例えばラーメン屋から始まり日本食、理容室、日本食材、自動車工場、大工、設計士、医者、看護婦、衣料品店などだ。

 

5万人いると内部需要で上記のようなビジネスが自然と成立する。そうなると上記のようなビジネス従事者が必要となるビジネスが出てくる。例えばネール、マッサージ、その他にもその土地に合ったビジネスが出てくる。

 

こうなると5万人社会は日本人品質で商品提供をするしサービスを受ける側も日本人感覚で接する事ができる。

 

するとそこには海外でありながら日本人が合法的に住み日本と同じ生活が出来るようになる。じゃあちょっと住んでみようかという気持ちにもなる。これが日本人が海外生活をするきっかけである。

 

気に入れば永住権を申請すれば良いし、または退職者ビザでのんびりと行き来してもよい。そしてそれはニュージーランドにとっても人口増加が経済発展に繋がるわけであり、地元の法律をまじめに守ってきちんと納税する日本人はNZにとって大変相性の良い国民である。

 

僕は10年ほど前かな、ニュージーランド政府観光局に行って「これからはツアーじゃない、移住だ」と日本人移住者向けの企画を提案した事がある。

 

当時はまだツアー客が毎年7万人くらい来てて、一番多かった時の15万人に比べれば半減だけどまだ日本人客が相手にされてた時だ。

 

一家族の移住者が平均4人としてそれぞれの友達が5人いれば20人と繋がる。20人が「そっか、あいつがいるなら行ってみようか」となり、その友達3人とNZに来る。4人かける20で80人の渡航客が出来上がる。

 

もし1万人の移住者がいて毎年5人の友達を呼べば5人がそれぞれ友達3人と一緒に来て20人かける1万人で年間20万人の観光客を呼べる。

 

ツアーの旅行客よりも圧倒的に安定した市場であり値引きも割引も強引なお土産販売もなくリピートが目指せる。

 

更にNZはリピーターを得意とする国である。彼らは航空券が安いから来るのではない、最初は友だちに会いに来て、それからこの国の自然に触れてリピーターとなるのだ。この時点でバーゲンハンターとは全く違った行動である。

 

などと話をしたが全く相手にされず、彼らはあいも変わらず旅行会社とNZへのツアーを狙うのみであった。

 

しかし10年後の今、何故ニュージーランド航空はビジネスクラスから先に売れているのか、誰か考えているのだろうか?答は明快であり投資家移民が増えてその友達がやってくるし、移住した本人だって年中日本とNZを行き来しているからなのだ。

 

現在ニュージーランドに在住する日本人はおそらく17千人くらいだと思う。そのうち14千人はAuckland在住であろう。

 

僕が出来ることは年間数百人の移住である。けれど市場はどんどん広がっている。5万に達するまで後5年だろう。

 

その時日本はAucklandという飛び地に経済的日本人社会を持つことが出来るし日本人の良さを地元の人々に伝えることが出来る。

 

ただしこれから注視すべき点は、日本からの技能移民労働者だけでは日本の良さを伝えることに時間がかかるということだ。

 

どんな社会も同様であるが、社会はお金を出す資本家、労働力を提供する労働者、両者を結んでビジネスに繋げる経営者が必要となる。労働者だけでは現地で安価でこき使われるだけになる。

 

現在のNZのビザルールでは、投資家ビザ、起業家ビザ、技能移民とあるわけで、このすべての枠で日本人が申し込み、同時に日本人投資家が提供した資金を日本人起業家がビジネスに結びつけ日本人労働者を集めて日本品質の商品やサービスを作り上げる。

 

こうすることでニュージーランドでキーウィに日本人らしさを理解してもらいお互いが行き来する機会が増えればと思っている。



tom_eastwind at 16:44│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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