2016年02月01日

行列

香港国際空港から羽田国際空港に移動。そろそろ春節を迎えるので空港も混み合っている。ここでは僕は外国人である。つまりその地域の習慣を守る、少なくとも尊重する必要がある。

 

香港には香港の習慣がある。例えば香港人は友達と歩道を道幅一杯に広がって歩いているようで香港人同士は決してぶつからない。つまり距離感が取れているのだ。

 

これを日本人はすぐ「香港人は道幅いっぱい広がってよくない」というが彼らにとっては狭い香港の道路を有効活用しているだけだとも言える。

 

香港人はバス停でバスを待つ時にもきちんと行列を作る。基本的に割り込みはしない。それは行列なしで乗り込むことでかえって乗車に時間がかかるしお互いに不愉快な思いをすることが分かっているからだ。

 

行列を作るとはある意味成熟した社会の暗黙的合意である。俺がルールを守って並ぶからお前も並べ、割り込むな、である。

 

その香港の空港の手荷物検査で面白いことがあった。香港はハブ空港でもあり世界中に向って飛行機が飛んで行く。中東行き、米国行き、中国行き、アジア各方面、いろんな習慣を持つ人々が一つの行列に並ぶ。

 

ここの行列は検査場所に向って左右に紐を引っ張って腸のように移動しながら前進する方法である。そこで行列の中の2人の若い香港人が同じグループだけどチェックインなどで時間がかかったのだろう残りの4人くらいのグループが後から来たので紐を上げて「おい、こっち来いよ」と言った。

 

4人グループは「え?いいよ、このままで」という雰囲気であったが、最初の2人が「来いよ来いよ」と言うので一人が紐をくぐった所僕の10人位前、2人より10人くらい後ろの香港人が大声で「おい、行列守れ!」とやった。

 

さてどうなるのかと観ていると速攻で怒鳴り合いが始まる。よく観ると割り込みを勧めてた2人のうち1人は首の上からしっかりモンモン入っており後ろに向って「並んでるだろ、見えねーのか!」と怒鳴り上げる。

 

後ろの男性も「行列を守るのは当然だろうが、元にもどれ!」とやる。多分後ろの4人組は仲間と言っても真面目なのだろう、いいよいいよと紐をくぐらずにいた。

 

するとこのモンモンが頭に来たのか「おい、こっち来いって言ってるだろうが!」と引っ張りこむ。4人組は仕方なく割り込む。

 

すると後ろの男性が更に大声で「お前ら行列守れよ、係員呼ぶぞ!」と怒鳴る。モンモンは今回は明確に後ろを振り返ってその男にピンポイントで「何じゃー、呼べるものなら呼んでみろ!」と大声で怒鳴る。

 

両方が怒鳴り合い係員が見えないふりをしている間に行列は進み若者グループは荷物預け検査に入ったのでお流れになった。

 

行列を守ると言っても香港の下町に行けばヤクザはたくさんいる。あいつらは行列を守らずにすぐ割り込みをする。彼らにそれを指摘して強引に止めようとするとそれだけでメンツを潰されたと考えて自宅を狙われる。

 

このあたり香港人は現実的であるから、行列の中に一人のヤクザがいて割り込みで喧嘩をすることで余分な時間が取られてバスの出発が遅れるよりも、一人くらい入れて流れをよくしようという判断が働く。

 

けれど空港では割り込みを指摘して怒鳴ってもこっちの身元を特定されることはない。だから香港の常識である正論「並べ!」と主張出来るのだ。

 

これなど中国大陸から来た中国人は行列を作らないので空港では香港人に怒鳴られているのだろう。客である中国人であれば何も言えないが空港で行列を作る人間であれば香港の常識を押し付ける事が出来る。

 

順番を守るというごく当たり前の、そしてそれは誰にも行列に並ぶ理由が保障された社会が香港にはまだある。

 

今度から中国人だけ別のレーンにして行列の紐をなしでそのまま手荷物検査窓口に押しかけたら面白いだろう。



tom_eastwind at 13:12│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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