2016年02月09日

福岡に戻る。

博多駅に到着するとタクシーで10分ほどのホテルに一旦戻り荷物を置いてから夜の街に出る。

 

福岡市は全国でも珍しく人口が増加している街である。Aucklandとほぼ同じ150万人程度であるがAucklandしかないニュージーランドと東京に直結して次々と新しいものが取り入れられる福岡では当然商品センスが違う。

 

Aucklandは今そこにあるものしかない。けれど福岡では今ここにないものが見えている。同じ人口でも人の動きが全く違う。

 

まずいつものようにホテル近くの観光客向け屋台の集客の様子を観る。8軒くらい並ぶどこの屋台も美味しいが客引きが一時期うざかった。最近はおとなしく声をかけてくるので警察の指導が入ったのはすぐ分かる。

 

いやいや、ビジネスの継続では無理やり引きこむのは駄目なのですよ。客引きのあなたがいきなり外人観光客の前に立ちはだかって中途半端な韓国語や中国語で無理に引っ張ればそれは確実にビデオに撮られてSNSで晒し者になるだけですよ。

 

それから中洲に入り客の入りを観ると、おーおー戻っているではないですか。勿論バブル時のように「人が溢れて歩けません」はないけど、どこでも「おっしゃー、次—!」と賑やかである。流石金曜日の夜である。

 

人口が増えて明日に希望が持てる街ってのは独特の匂いがある。それは街の匂いである。何だか甘くてほっぺたが紅潮するような感覚である。

 

馴染みの店に顔を出して最近の様子を聴く。中洲経済を一番よく分かっているのは現場で働く彼らである。

 

ちなみに偶然だけどこの店の入ってる通りのちっちゃいビルの3階には僕が30年以上前に一時期通ってたフリー雀荘が今でもある。賭け事に全く興味のない僕が麻雀を始めたのはポーカーなど西洋式のゲームがすべて統計学でいけるのに東洋式の麻雀だけは統計学が通用しない。何故だ?知りたかった。気の流れを知りたかったからだ。

 

フリー雀荘とはお互いに知らない4人が雀卓を囲んで半荘ごとに精算して、お互いに相手を知らないままに分かれていく場所だ。

 

ここなら何故統計学が通用しないかを勉強出来るだろうと麻雀に参加した。フリー麻雀は腕のたつ連中ばかりであり彼らがカネを稼ぎに来ているわけだから「カモられる」わけにはいかない。

 

こっちも真剣に場を見て(統計学)下家の顔を観て(心理学)こんな最後の一枚はないなと思ってテンパイを取るために最後の一枚を振ると上家が静かな声で「ロン」。心が凍るとはあの瞬間を言うのだろう、何の準備も予測もないままいきなり打倒された、そんな感じである。

 

麻雀をやって分かったのは「気」である。その場の気があり参加者の持つ気があり更にお互いハイを打つ中で段々と気が高まってくる、4人の間を物凄い勢いで渦巻きのように気流が回っている。

 

誰がどこで気流を分断するのか、自分にやって来た気をどうやって長いこと保持させるか。勉強になった。

 

所で麻雀の気は易経にも繋がっているようだ。一人で勝ちっぱなしというのは一時的には点棒が増えてもいつか仕返しが来る。又は麻雀で勝っても本来他の時や場所で得られてた筈の何かを失っている。

 

20代で福岡で仕事をしながらフリー雀荘に通い人生勉強もした。ある時は昨日までにこにこしてた対面のふっくらしたおじちゃんが今日は来ない。

 

どうしたんだろうと思うと制服姿の警官が3人来て雀荘の事情聴取。対面のおっちゃん、どうやら先週銀行強盗やらかしたとの事。

 

ヤクザ屋さんも打ちに来る。彼らはプライドがあるから負けられない。けど盤上の勝負に誤魔化しは効かない。丁寧語で「ロン」と接しつつ頂くものは頂く。悔しいのはよく分かるがそれで闇討ちなしよって感じである。なので時々負ける。このあたり距離感である。

 

お店ではすでに予約の席もあり賑やかさを感じる。景気が、つまりお金がこういうお店にまで流れ始めているのだ。安倍政権がトリクルダウンといって頑張っているが中洲では少しづつ実感出来始めている。

 

今回の「北部九州ぐるり散歩」は移動距離も長かったが観るものも多かった。福岡空港から久留米、街を視察して翌日は佐賀に行き時間があったので吉野ケ里も見学させてもらった。

 

久留米の不思議体験を終えて福岡に戻り荷物を置いてそのまま大分へ。途中北九州の街を見ながら到着した大分。僕の生まれ育った街がこうなったのはまさに時の流れと生き残りの結果である。

 

そして夕方のソニックで福岡に戻り最後の晩を過ごす。うーん、今回は前半の東京よりも後半の九州の印象が強すぎて、今でも頭の中で北部九州の景色が次々と回っている。



tom_eastwind at 21:07│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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