2016年02月12日

魂をなくした男

ブライアン・フリーマントルのチャーリー・マフィン最新作「魂をなくした男」邦題はあいも変わらず編集者の教養素養のなさを感じるが本編は実に面白い。

 

このシリーズは1977年に第一巻が発行されて以来ずっと愛読している。ベルリンの壁がある頃に初老の英国スパイチャーリー・マフィンが自国諜報部に狙われてその罠を非情な手段で切り抜ける。

 

その後も生きる、ただそれだけの事に徹底して頭脳を使う英国スパイは各国スパイとの諜報戦で常に敵を出し抜き最後に生き残る、敵が例え英国諜報部であっても。

 

毎回このシリーズを読んで思うのは常に何事にも偶然はないと疑いを持つことである。ほんと、世の中で起こることは必ず必然がある。極端な話をすればあなたが今日会社から自宅に帰るまでの間に何もなかったのは、それが必然であるからだし、何かあればそれも必然。

 

何かある、又は何もない、どちらにも共通するのは必然である。その必然を呼び寄せているのは自分自身である。

 

チャーリー・マフィンは常に自分の置かれた状況を冷静に判断して常に自分を甘やかさない。毎回主人公の発想や考え方に学ぶものが多い。

 

ところで「チャーリーさん、あなた今何歳?」であるが、それはゴルゴ13の年齢を聴かない礼儀である。

 

特に僕が個人的に好きなのは中国返還前の香港を舞台にした「呼びだされた男」である。チャーリー・マフィンが英米諜報部やソビエト諜報部からも追われる中、古くからの知り合いでどうしても断れない仕事を引き受けてしまい香港に渡る。

 

英国諜報部のお好みは香港側のマンダリンホテル。米国CIAのお好みは九龍側のペニンシュラホテル。当時の深センは何もない田舎で香港から中国に行くためには香港側最北端の電車駅を降りて10分ほど歩くようになる。

 

英米情報部からも追われつつそれでも中国の鼻先をかわして何とか事件を解決するのだがとにかく縦横奇才、実に楽しめるシリーズである。

 

今回は前回と連作になっているがマフィンがロシアに囚われながらも尋問官を通じて情報を入手して自分なりの仮説を立てて行動に移すその思考過程が実に面白い。

 

福岡から香港経由Aucklandに戻る途中で読了。良い本は心を楽しくさせてくれる。



tom_eastwind at 18:16│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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