2016年05月08日

卒業写真

金曜日に出社するとビクトリアストリート沿いに人が集まっていた。いつものAuckland大学の卒業パレードだ。この大学は年に一回の卒業式ではなくよく分からんが学部ごとにパレードやってる。年に10回くらいやってるのではないか。

 

集まったご両親たちは無事に大学を卒業した子供を誇り高そうに迎える。パレードでは色んなパターンがあるけど基本黒いマントに四角い帽子の学生たちが次々と坂の上のAuckland大学から誇らしそうに降りてくる。

 

歩道に人が集まり始め警察が誘導を始めてバグパイプの音と共に降りてくるパレードの途中に家族を見かけた子供は軽く彼らにアイキャッチしてにこっとする。それで十分、大学生活を無事に終わらせた喜びが家族全部で共有出来る。

 

ニュージーランドで若者の大学進学率は25%程度である。単位さえあれば自分の希望する学部に行ける。けれど卒業するのがむちゃくちゃ大変である。例えばAuckland大学法学部は一年目の終わりのテストで70%が落第する。つまりAuckland大学法学部卒業と言えばNZ社会では超優秀な人材である。

 

しかし弁護士業の現場に行けば仕事は自分で穫るしか無い。優秀な先輩の後につき客をもらい何とかその客からの仕事を増やしつつ実績を付けて新規顧客に自分の実績を見せて仕事を獲っていく。

 

その為に新米弁護士に必要なのは上司に喜ばれる技術であり顧客に喜ばれる技術でありそんなもんGolden Rule(ゴールデンルール・弁護士入門編)に書いてなかったぞって話になる。

 

つまり大学を出たからって言っても誰にも赤いカーペットが敷かれているわけではないのだ。大学を出てもそこから先は個人が持つ実力である。

 

世の中の表も裏もよく知っているうちのスタッフがオフィスの窓から学生の流れを見ながらぽつっと「あなた達、卒業しても仕事ないんだよねー」と言ってた。

 

そうなのだ、実際に世の中で仕事を見つけるのは毎年厳しさを増している。それは何度も書くことだがコンピューターとインターネット進化による「人間が必要とされる仕事」が減っているのだ。

 

大学で勉強する時も、その学問が好きなのか、そして卒業後に食える学問なのか予め理解しておいたほうが良い。若者はたくさんの道が選べるのだから。



tom_eastwind at 06:49│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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