2016年05月15日

万引き

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(CNN) 必要に駆られて少量の食品を盗むことは犯罪には当たらない――。スーパーで食品を万引きして窃盗の罪に問われたホームレス男性の上告審で、イタリア最高裁がこのほどそんな判決を言い渡した。

 

ウクライナ国籍のロマン・オストリアコフ被告(36)は2011年にスーパーマーケットでソーセージとチーズ4.07ユーロ(現在のレートで約500円)分を盗んだとして窃盗罪に問われていた。

 

レジでは盗んだ食品を上着の下に隠してパンの代金のみを支払っていたが、別の客が店員に告げたことから盗みが発覚し、警察に逮捕された。

 

2013年の一審では窃盗罪で禁錮6年と罰金100ユーロの有罪判決を言い渡し、15年の控訴審判決も一審を支持した。

 

しかし最高裁はこの判決を覆し、必要に駆られて少量の食品を盗む行為は犯罪には当たらないと判断。「被告人は緊急かつ不可欠だった栄養摂取のために少量の食品を手にした。従ってこれは必要性に駆られた状況における行為だった」と認定し、無罪を言い渡した。

http://www.cnn.co.jp/world/35082176.html?google_editors_picks=true

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ちょっと気になるのはこの人ホームレスだったわけで逮捕されてから裁判が続く間中寝る場所と3度の食事が提供されたのだろうからいきなり無罪になってシャバに戻されても寝る場所も3度の食事も自分で探す必要がある。

 

だったらもいっかい、今度は派手に万引きやって3食寝床付きに戻るかって想像も出来る。

 

それにしても貧困の問題は辛い。だから人情的にはこの判決にはYESと言いたい。けれど社会を維持する立場からすればこれはNOである。

 

法と道徳の違いは何か?

 

道徳は人が守るべき高みであり法とは人が守らねばならない最低基準である。しかし法を守っていれば生きていけなくなる時、人はどうするべきか。

 

ソーセージとチーズ。悲しくなる。

 

ある漫画でこんな場面があった。戦後すぐの東京である。腹を空かせて金がない親子が食堂に行く。「父ちゃん、俺たち金ないよ」気にするなと父ちゃんが答えてうどんを注文する。

 

二人で久しぶりに暖かくて美味しい食事をする時間である。うれしかった。

 

食事が終わって父親は子供に「お前は先に行け」という。子供は訳もわからないまま外に出る。

 

暫くすると店の中で大声で言い合いがあり父親が叩きだされてそのまま交番に連れて行かれる。

 

発展する街を背景に自分の父親が犯罪者として逮捕される、その現実って何だろう。世の中おかしくないか???法律では逮捕されるんだろうけど、こんなの親子にとっては全然平等じゃないし公平じゃない。

 

この裁判官はイタリアの名画「自転車泥棒」を観て育ったんだろう。



tom_eastwind at 07:28│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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