2016年06月15日

親の都合で

今日は15年来の久しぶりの来客がある。北京に行ったりキャンベラに行ったりと忙しい生活をしているがあいも変わらず元気そうで何よりである。

 

それと面白いのはこの家族はいつもいろんな国でそれぞれに生活をしておりあまり国境のこだわりはない。英語はネイティブだし日本語の読み書きは親から仕込まれているので日本での生活も不自由しない。

 

これでご本人たちは日本国籍を保持したまま皆さんいろんな国で自分の好きなことが出来る。

 

しかしそれはあくまでも親が子供に言語も含めてきちんとした教育を施した場合の話である。子供が世界のどこでも生きていける能力を付けた場合は自由を楽しめる。

 

あなたの国はどこ?文字が書けるの?話せるの?

 

根無し草という言葉は一時期ニュージーランドでも流行った。親が自分の仕事が忙しくて反抗期の子供が面倒だからとニュージーランドや豪州に「留学」の名目で島流しをする。

 

現地の留学サポート会社は学校の手続きや病気、ホームステイ等の手続きはやってくれるが心のサポートはしてくれない。ましてや日本語を教えることもない。

 

中学生でAucklandに留学に来た女の子がいた。彼女にはガタイの良いマオリのボーイフレンドがいて一緒に住んでた。

 

するとある朝、すごい音で玄関を破られて警察が入ってきて彼氏を連れて行った。何と彼は強盗犯人だったのだ。

 

彼女は英語を話すことは出来る。けれどNZの裁判制度や警察のしくみが分からないから何をどこに聴けば良いか分からない。

 

日本語で話を聴くと中学生低学年のままである。敬語などもよく分からない。裁判制度を日本語で説明すると、日本の裁判制度自体わかってない。

 

つまり英語だろうが日本語だろうが「裁判」の概念自体が理解出来ないのだ。

 

つるむ仲間も似たような環境で親に捨てられたようなものである。こういう彼らの特徴は自分の根っこが無いという事である。

 

国籍は日本人だけど日本の事が分からない。けれど勿論キーウィでもない、根無し草なのだ。どちらにもルーツがなくその日を流して生きるだけ。カネは親が送ってくるから生活には困らない。けれどどちらの国の文化も理解出来ないまま年だけ取っていく。

 

勉強は適当にやるから成績はごく普通、日本語の読み書きは中学生で止まっている。そして何よりも親が側にいない。中学生の子供は自分の進路なんて分からないし親も適当に放置しているからますます先が見えない。

 

そのうち仲間同士で「ね、ちょっとあれ、やってみない?」となる。麻薬だ。

 

昔豪州を舞台にした留学生のドラマがあった。これも親から送り込まれた子供が現地で不良化して次第に麻薬に染まっていく筋書きとその悲劇的な後日談だ。

 

日本に戻ると何となく日本人じゃない、もちろんキーウィでもない。どちらの言葉も文化背景など根っこがないからおしゃべり言葉しか出来ずきちんと話せない。

 

こうなると子供が自分のアイデンティティを失ってしまう。

 

留学生だけの話ではない。「好きになった人がキーウィだったの」と勘違い結婚して現実観て離婚して母親はシングルマザーとしてニュージーランドで働くことになり忙しい、そうなると子供は自分のアイデンティティを失う場合もある。

 

親の都合でも子供に2つの国を行き来出来る自由が与えられるのならば良いことだ、人生の選択肢が増える。けれどそうでなければどっちつかずで根無し草になったりアイデンティティ失うことになる。



tom_eastwind at 16:13│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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