2016年10月04日

蒼氓

今日も会員が到着した。本渡航である。東京で何度もお会いして綿密に準備を進めてきた。この方は2014年に移住の相談を開始して永住権を取得して今回の本渡航まで2年だ。

 

2年前と言えば2014年の移民局スキャンダルと総選挙、それに当社が弁護士同士の縄張り争いに巻き込まれた年でもある。大変な年であった。

 

移住なんて簡単だーとか永住権なんて簡単に取れるよーとか平気で言う人がいた。今はそんな人達なにしているんだろうか?

 

石川達三の本に「蒼氓(そうぼう)」がある。昭和初期の日本各地からブラジル移民の為に神戸にあった国立海外移民収容所に集まった人々の移民船出発までの不安と期待を描く作品だ。

https://www.amazon.co.jp/蒼氓-新潮文庫-石川-達三/dp/4101015058

 

昭和初期は移住先の情報も少なくて下見に行くなんてあり得ない話で、行った先の生活はどうなるんだろう?畑ではどんな野菜が出来るのだろう?ほんとに現地の生活に馴染めるのか?

 

それでも当時の日本では貧しい農村地帯の次男三男からすれば行く先は日本より広くて豊穣なる大地があり土地をもらえて耕せる、そう考えれば期待も膨らむ。子どもたちにもしっかりご飯を食べさせることが出来る。そんな期待もあった。

 

この続編「南海航路」では移住船でブラジルまで渡航する際の様子が描かれている。そして最後がブラジルで辛苦に耐えながらたくましく働き出す移民の様子を描く「声なき民」の3部作である。

 

当時の日本では国策で移民を推進していた。現地に行けば土地と住居がある、そう言われてブラジルに渡った移民の中にはアマゾン川の植民地に放り込まれた人々もいた。それでも生き抜ける人は生き抜いた。

 

勤勉な日本人はよく働き子供に教育を与え育ててブラジルに日本人社会を作り上げた。

 

ただその裏では同じ日本人同士でも頑張って成功したものを妬みつつ自分は何もやらない、そういう人がいたようだ。

 

当時だと「じゃあ移民やめた!日本に帰る!」と言っても、船賃、食料、日本に戻った後の仕事のことを考えると帰国に踏み切れない、仕方ないから日本人社会にしがみついてるけど社会の成長には阻害要因である。

 

これから移住をお考えの方、すでに手続きをしている方、渡航した方すべてに読んでほしい内容である。



tom_eastwind at 10:35│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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