2017年03月18日
WANG
土曜日の午後は奥さんと一緒にWairau(ワイラウ)ロードに買い物に出かける。
この地区はグレンフィールドに隣接する商業地区であり高速道路の出口に直結しており元々は住宅や家電製品の大型店が並んでいたのだが今では車のディーラーや気軽なレストラン、電気製品専門店、ボーリング場や学生向け塾とか各国食料品店も所狭しと並んでいる。
その中の一つにWANG TRADINGと言う韓国食材ショップがありここの見物がてらの買い物である。
韓国市場はノースショアに多く、元々は大きな倉庫の中を区分けして肉屋、キムチ専門店、野菜屋、服のリフォーム、レンタルビデオショップなど業態の統一しないお店がまさに市場のようにごっちゃ混ぜに並んでいたものだ。
が、ここWANGは単体で食材に集中していており外見も内装もそれまでの韓国市場と比べればずっとお洒落にしておりお店専用カートもありちょっとした地元スーパーマーケットの小奇麗な雰囲気を醸し出している。多分今までとは違った次元でいこうって事だろう。
入り口に積み上げてた韓国製のカップうどんが定価1.90ドルのところを1.14ドルで売ってたので早速2個をカゴに入れる。他にもLOTTEのチョコがあり「韓国原産!」とうたってた、うむむ、半分本当だけど。
LOTTEの歴史は戦後の日韓関係と密接なつながりがあるなーとか思いつつ奥さんと二人でお店を周りながら漢字で書かれた中国食材のコーナーに行くと早速奥さんが「ねえ、韓国の人って何でも韓国で作られたって言うよね、漢字が韓国発祥なんて平気で言うくせに漢字書けないのはお笑いだけど」
肉屋さんで今晩の夕食にしようと牛肉を観て「カルビもいいけどプルコギは味付きだから簡単に作れるね」と話してたらお店のおじさんが韓国語で「カルビxxっx、プルコギxxxx!」と言われたのだが、肉の単語以外は同じアジア人で隣国と言いつつ全く分からん。
今晩は手軽に食べたかったので味付きのプルコギにしてお金を払うときもやはり韓国語でxxx!と言われたが、やはり分からんものは分からん。お店は綺麗でもテナントさんは韓国市場のままなのか。まあいいや、英語の勉強に来たわけでもないし「カムサムニダー」でお金を払って次のキムチ屋さんに移動。
キムチはやはり韓国人オリジナルであり試食も出来る。この店の奥さんは僕らを観てニコッと笑って簡単な英語で「キムチ美味しいよー」とお勧め、1パックで5ドル程度の3種類入ってるキムチを買う。これは焼肉に合うし食べてて楽しい。
日本食材コーナーもあり冷凍食品や調味料やラーメン等が小奇麗に並んでいる。
ここでは明日の晩のおかず用におでんの冷凍パックを買う。「JFCフローズンおでんセット」とタイプされているけど、JFCは世界中で日本食を売ってる卸売会社でありメーカーではない。
ちなみにおでんセットが433グラム入りで9.20ドル。今の日本円だと730円くらいかな。
ついでにサンポ−食品という佐賀県のメーカーが作ってる豚骨棒ラーメンを買う。一袋3.70ドル(約270円)なので日本で買うより高いがシティで下手な店で食うより余程美味しいので輸送距離も考えれば十分に適正価格だろう。
同じコーナーで売ってた上州赤城素麺270グラムが2.70ドルだったので、ほー、素麺の方が安いんだと思ってたら奥さんが最初にカゴに入れてた韓国製らしい素麺と見比べて「ね、この素麺さっきの棚に戻して」と言いつつ上州赤城素麺をカゴに入れた。
その時に僕に確認するように「上州って日本よね?韓国の地名じゃないよね?」と聴いてきたので思わず笑ったが、中国から見れば上州と慶州のどっちがどっちかわからないのも現実であろう。
それから冷凍の鯖があったので僕の夕食のおかず用に買う。随分身が厚くていつも買う鯖とはだいぶ違うよねと言って「ほんとに日本人は商売が下手ね、こっちの方が安いし身が厚くてずっといいじゃん」と言い返された。
干物とまるごとの鯖を比較されても困るのだけど確かに彼らには区別がつかないだろう。こういう「文化責め」される時は僕が何故か日本代表になってしまう。困ったもんだが言い返しても勝ち目がないので笑うしかない、ははは。
土曜日の午後、香港から移住した奥さんと日本から移住した僕が移住先であるノースショアのワイラウの韓国スーパーでああだこうだ言いながら食材を買っている。
日本国内で日中や日韓を語るのと、実際にその人々と肩を並べて生活するのとでは実感が違う。そこには国家的どーちゃらこーちゃらはまったくない。
お店の名前は中国風のWANGなのに韓国スーパー、そこに色んな国の人が買い物に来てあーだこーだ言いながら今晩の食材を買っていく。
アジア人移民が本格的に始まってもう20年になろうかというオークランド。良きにつけ悪しきにつけ日本と韓国と中国が近いのを肌で感じた土曜の午後の買い物であった。
夜はもちろん韓国人の作った本格的プルコギとキムチを焼肉台に乗せてじゅーじゅーと焼く。奥さんはここでも「なによ、プルコギって肉が小さく切ってるわねー、けち」と文句を言い、僕は1980年代から観て食べてきた韓国のプルコギを説明しつつ、そんな移民たちの夜は過ぎていく。