2017年03月19日
すべての人々に平安を
今日も午前中の時間を使ってプールに行く。出張中は東京でプールに行く時間もなくオークランドに戻って週末のプールで泳ぐと日本で固まってた筋肉が引き伸ばされているようで気持ち良い。
僕は健康のためだけに水泳をするわけではなく元々実家が漁村で夏休みはいつも海に潜り中学生から高校生までの6年間はずっと水泳部だったので体が水に馴染んでおり、潜ったり泳いだりすることで気持ちもほぐれるからなのだ。
プールに行く前に出張中にずっと駐車場に入れてた車を洗おうと思いつつショッピングモールに手紙を放り込むと、そのすぐ反対側に洗車サービスがあった。
観ると中東系の小柄なおにいちゃんが車を拭いてたので近づいて料金表を観ると普通サイズで15ドル、大型で25ドルとある。安いな。
混み合ってないようだったので彼に「この車だけどいくら?」と聴くと「25ドル。タイヤも洗うなら10ドル追加だよ、45分で終わるよ」と言われたので、それならとお願いする。この値段はアルバニーの洗車場の半額くらいだ。
何せモールはプールに隣接しているし泳いでちょっと買い物して戻れば45分が1時間でも問題ないだろう。車内に盗られて困るものは置いてないのでそのままプールに向かう。
普通の日本人からすればびっくりするかもしれないがこの国では車中泥棒は多い。
第一日本からニュージーランドに車をおくる時だって社内のラジオやその他いろんな物が盗られるのはごく普通で今更誰も驚かないし保険も適用されない。「そんなもん最初から付いてない」と言われて終わりだ。
車がNZに到着後に引き渡されてさてと車で買い物に出かけてモールに駐めたほんの一瞬で車内泥棒に遭ったりもする。
なので例え車を洗ってもらうだけでもこちらは最低限の注意をしておく必要はある。盗られてぎゃあぎゃあ騒いで「こんなのー、日本じゃあり得ないー!」なんて言ってもどうしようもないのだ。
1時間ほど泳いで駐車場に戻ると案の定まだ彼はタイヤを洗ってるところで、まあそんなもんだろう、じゃあいいやと同じフロアにあるショッピングセンターで果物とハムを買う。今日のお昼ごはんだ。
買い物が終わって車に戻ると今度はきちんと掃除が終わってた。35ドルなので財布から50ドル札を出すとおにいちゃん、ちょっと首をかしげながらお札を両手で広げて透かしている。
偽札と思ってるのか50ドル札を観たことないのか、それともその両方なのか分からないが仲間が彼からすぐその50ドル札を取りあげて15ドルのお釣りを僕に渡してくれる。
彼らには彼らの独自文化があるし僕らと同じアジア人と思われるのもどうしても不思議なのだが、欧州人からすればトルコからあっちは全部アジアになるという実に大雑把なククリをしたからなのだろう。
移民東アジア人の車を移民西アジア人がビジネスとして洗う。昨日とは違った感じの異文化交流。ほんとにオークランドも移民が増えたな、実感する時である。
にこっと笑ってありがとうと言って注意して車に乗り込むがすべてのものが所定の位置にあるので「おー、わりかし親切ではないか」と思いながら車を出す。
値段の安い分カーポリッシュ、つまり磨きがないのでちょっと光ってないな、けどこれでいいや十分と思いつつ自宅に帰りお風呂に入り(これは日本独自の文化だな)昼ごはんを作って午後の読書を楽しむ。
今読んでるのが濱嘉之シリーズである。日本で3冊買ってすでに昨晩1冊読了、今日は2冊めを開始。作者が元警察の警察小説であるから内部情報に詳しくより信憑性があり読んでて楽しくさせてくれる。
特に小説の舞台が東京なのだけどよく出張ベースで福岡博多の場面が出てくる。中洲の描写などはまさに「あ、あそこか!」と目に浮かぶのでこれもまた一興である。今から20年前ならこんな気軽に本を読むなんて出来なかった。
今晩は昨日韓国マーケットWANGで買ったおでん料理である。用意された具材に春雨とゆで卵を別途作って鍋に入れて奥さんと二人でおでんを突きつつ、彼女が取った竹輪の中にイカの足が入ってて僕が取った竹輪の中身がゴボウだったのが何となくおかしくて二人で笑う。
今頃車を洗ってくれたおにいちゃんも家族と一緒に楽しく食事しているんだろうな。何気ない、世界のあちこちから集まった移民のオークランドでの夕食である。
すべての人の上に平安を。