2017年03月22日
死ぬのは奴らだ。
先週末にオークランドに戻った時の宿題もたくさんあり今日は午前中地元大手会計事務所で3つの議題で会議。
一つ目の議題は日本とニュージーランドの今年の租税協定において日本居住者がNZに居住を開始した場合、NZで株式会社を設立してビジネスをするのと個人でビジネスをするのとどちらが有利かを現在の日本NZ租税協定をベースにしての議論。
結論から言えばくだんの日本居住者が今後10年以上NZを居住地として生活するなら会社を作ったほうが絶対とは言えないが一概に有利な点が多いと言うこと。何故なら現在の租税協定では二重課税の相殺が出来る案件はいくつかの縛りがあるからだ。
僕がこの手の議論をする時は先にまず自分なりに分析して自分なりの結論を作りそこに至る論理を根拠法を基礎にして相手と議論に入る。だから相手に何故僕がこの結論に至ったかを説明出来るしその結果として答えが出れば会話の意味がある。
一番ダメなのは自分が答を知らないままに質問をすることだ。知らない事は聴かないのが基本である。
こうしておかないと一発で相手に引っ張り込まれて論理的にぼこぼこにされて相手に旨いとこだけ吸い取られて終わりである。
特にNZと言う国の面白い点は、キーウィは個人的にはとても良いやつばかりであるが仕事となると全く別でポールマッカートニーそのもの「死ぬのは奴らだ」である。俺かお前か、最後に生き残るのは一人である。
だから彼らとやり取りする時はまず相手にこちらを理解させて「下手をすればお前が負けるんだぜ」と理解させて話を進める必要がある。その為にも弱みは見せられない、つまり「知らない」と言うことは美徳ではなく自分に対する死亡宣言を下すようなものなのだ。
だから議題で出て来るであろう英単語は頭の中で事前に記憶する必要があるし日本とNZの両国の法律体系が違うので僕がAと言えば彼らにBと聴こえることもあるのでこの点の言葉のすり合わせ=「俺たち同じ船に乗ってるよな?」も大事である。
二つ目の議題は投資ポートフォリオの具体的作成についての今後の見通し。通貨の三分割では日本円はお勧めしないとのこと、いくら日本株式が上昇しても通貨安で結局利益を失うぞ、これは僕も同意見。
長期的に日本が円安に進む中、円で資産を持つ危険性は高い。日本で鎖国生活を送るにしても輸入品は確実に値上げされるので結局為替リスクから逃げることは出来ない。
米ドルはトランプがどうであれやはりドル高に向かう。イエレン議長が公定歩合引き上げに積極的であり日欧が量的緩和と言う輪転機ぐるぐるをやってるが米国はそこから先に逃げ出していく姿勢が明確なのでドル高に繋がる。ここも同意。
最後はM&Aの話を聴き込む。最近は日本の飲料メーカーがNZに進出して飲料メーカーの買収をやっているがその近況、今後のNZで売れそうな企業、日系企業が理解出来そうなビジネスモデルを持っている企業の話を教えてもらう。
この会計事務所にとって僕の立ち位置は「顧客を紹介してくれるエージェント」であり一発屋ではないので彼らも長期的付き合いをしたい、だから良い話を聴かせてもらえる。これは有り難い事である。
今後M&Aの具体的情報を提供してもらうようにして次の議題に移る。つまり雑談。お互いに堅い話をした後は「イースターはどうするの?」とかである。これはお互いにリラックスする意味でも大事な息抜きでありこの時に軽い冗談を交えながら次にどっちに話を持っていくか、お互いになぞなぞをかけてみたりもする。
そんなこんなで会議が終わったのがもうお昼。この事務所からうちのオフィスに戻る途中に洋食屋のMORITAがあるので、昨日に引き続き今日もここでお昼ごはんだ。
このレストランは本当に日本にある洋食屋であり所謂キーウィの料理ではないが伝統的な日本食でもなくあくまでも日本にある洋食屋である。
僕らが日本で食べてきたオムレツやビーフカレーやパスタ、それに和食の海鮮丼などもあり、落ち着いた内装でゆっくり出来るので午前中の会議で話した事を頭のなかで整理するのにもちょうどよい。
いつも言うことだけど僕は英語が得意ではない。何せネイティブでないし高卒だし英語勉強したのは28歳の年でクイーンズタウンに住み始めてからだから発音など話にならない。
それでも何とか語彙を増やして適切な場所で単語を選ぶだけは学んだので発音が悪くても何とか通じている。
つまりボロボロの飛行機に絆創膏貼り付けて空を飛んでいるようなものだが航空力学的には何とか空を飛べている状態である。
だから会議では何とか会話も成立するが1時間以上色んなネタを喋っていると終わった時は脳みそが豆腐になっており気をつけないと耳からとろけだしてしまう。なので会議後の一休みはとても役に立つ。
今日はスコッチ肉ステーキランチ20ドルで脳みその再生を図り無事に脳みそが固まってくれたのでほっとする。
さあ、午後は議題を一つづつまとめて顧客向けレポート作成だ。そう思って仕事を再開したら早速会計事務所からM&Aに関する情報が送られてきた。「今年もダッシュしてますね」と言われたが、休むのは死んだ後で十分。生きてる内に出来るだけのことを後悔しないように全部やる、それのみである。