2017年03月24日

これからNZ起業を目指す皆さんへ

今日はこれからNZで起業しようビジネスを立ち上げようと考えている人向けの話である。

 

それはNZであれ世界のどこであれだが、海外で日本人が立ち上げるビジネスを最も批判して足を引っ張るのは自分だけが正義であると言う自惚れ仮面を被り他人の努力を妬みつつ自分は何の努力もせず他人の悪評を振り撒いたりちくったりする日本人であるということだ。

 

なのでビジネスを立ち上げる時は必ず当該国の法律と日本の法律を学び自分のやっているビジネスの範囲ではどのような法律が適用されるのか理解して法律武装を行い法律の許容範囲ギリギリまでやるにしても決して一線を越えてはならないと言うことだ、例えそれが「だってー、他の人もやってるんだもん」と言う下らん感情論に負けそうになっても、だ。

 

ある具体例を出そう。僕は今から10数年前にオークランドのシティで日本人移住者や学生やワーホリ向けにビデオレンタルをやっていた。当時はシドニーに日本語ビデオを卸売する会社がありそこと契約をしてビデオを毎月仕入れていた。

 

当時は日本のテレビ局が集まって日本脚本家連盟を通じて放送番組協会(放番協)と言う組織を作りそこが海外の日本語ビデオレンタルを通じて著作権収入を確保しつつ日本のテレビ番組を世界に広めよう、同時に在外邦人の子どもたちに番組を通じて日本語に触れる機会を増やそうと言う趣旨だった。

 

趣旨は立派であるが実際には友好団体みたいなもので各テレビ局はほんとの売れ筋は自局で海外販売網を作って売りたい、だから放番協を通じて販売される番組は堅苦しいものが多かった。

 

当然僕らは放番協に対して「もっと希望の多いビデオを販売して下さい」と要望するのだがテレビ局の利害関係が優先されて売れ筋が出てこない。

 

そこで僕らのような小売店ではお客様から売れ筋を聴いてシドニーの卸会社に問い合わせるとそこには在庫があるというので仕入れた。

 

放番協から仕入れるビデオには認定シールが貼られているのだがシドニーから仕入れるビデオには認定シールは貼られてない。

 

僕からすればどのような仕入れルートであれきちんとお金を払って買っているのだから問題はない善意の第三者である、卸会社と当該テレビ局の間の契約はこちらの問題ではないので認定シールがなくても良いと言う判断だった。

 

ところがある日放送番協から連絡が入る。「お宅では違法ビデオのレンタルをしていませんか?」

 

何だろうと思いつつ連絡をしてみると

「認定シールを貼ってないビデオをレンタルしてるでしょ」

「してますけど何か問題が?」

「そちらに在住の日本人から通報がありましてね、詳しく教えてください」

との事。

 

そこで当社の仕入れ方法の説明をして現地でどのような番組を提供しているかも説明して、元々の問題が放番協にあるのでは?と疑念を投げかけた。

 

けど電話では隔靴掻痒の感があり翌週東京に飛んで放番協の事務所を訪問した。

 

すると責任者の方が出て来て何とニコニコしながらこちらの話を聴いてくれたのだ。何だこりゃ?と思いつつ話を聴いてみると実際の問題は米国西海岸あたりでレンタルをしている会社で、お金を払わずにビデオだけダビングしてレンタルしてたり影に隠れてアダルトビデオをレンタルしてたりするのでこれを取り締まる為に活動をしているとのこと。

 

けど通報窓口に通報、つまりチクリが入った場合すべてのケースで調査する必要があり連絡をして来たとの事。

 

当社はまず法的見解を述べる。当社はすべてのテレビ番組、映画についてもお金を払って仕入れておりそのお金が卸売会社を通じて放番協に行くのか当該テレビ局に行くのかは預かり知らぬことである。

 

そこで彼らから出てきた提案が「じゃあ空シール売りますからすべてのビデオに認定シールを貼ってくれませんか、それで良しとしませんか?」であった。

 

僕とすれば仕入れ費用が1ドル追加になるが、それでも放番協と揉めても意味はないので決着した。

 

その後雑談の中で相手から「ところで今回の通報、つまりチクリですがオークランド在住のこういう方ですよ、ご存知でしたか?」と聴かれてポカンとした。

 

と言うのもその男性は僕が会ったことも話したこともなく仕事で色んな事業をやってたがそのどことも絡まなく全く安倍晋三の森友状態だったからだ。

 

オークランドに戻って担当スタッフに事の顛末を話すと「えー?!」。と言うのもあるスタッフはその人物のことを知っており当社に全く関係のない存在であるのに「何であいつが?」であったからだ。

 

結局推測するに要するに妬みなのであろう、オークランドで後発企業でありながら偉そうに何かやりやがって、気に食わねーからチクってやれ、そうだあいつんとこはビデオレンタルなんてやってるけどシールの貼ってないのは絶対に違法だろう、よっしゃこれをネタにしようって魂胆だったのだろう。

 

ここから導き出せる答えがいくつかある。その1つは法律武装である。レンタルショップは小売業でありそこで何を売るかは小売店の自由である。放番協「だけ」から仕入れるというような縛りはない。

 

実際にレンタルショップでは弁当も売ってた。何を売るかはこちらの自由である。そして何を仕入れるかも法律の範囲内であれば問題はない。

 

しかし当社を批判する人間の目的は自分の憂さ晴らしであり法的側面なんて全く考えていない。だから「あいつが叩かれれば俺は気持ちいい」だけなので法的理性なんて期待する余地もない。

 

放番協が日本の国内法で問題と出来るのは著作権である。基本的には脚本家が作品を作りテレビ局または脚本家が著作権を持つのだろうがいずれにしても日本国内法においては著作権が法的根拠となる。

 

最近ジャスラックがカラオケ店、パチンコ屋、喫茶店などで流れる音楽の著作権裁判をやって和解に持ち込んだり勝訴したりしているのも同様の流れである。

 

ついでに言えば当時日本のご両親が海外に住む子供達に日本のテレビを録画して送っていたがあれも著作権法では違法である。つまり日頃立派なことをのたくってる偉そうな連中が真っ先に法律違反を犯しており自分の違反については「その程度、誰でもやってるからいいじゃん」で誤魔化そうとする、それが現実である。

 

つまりこの法律のポイントは「対価を支払ったか?」である。気に食わないやつには使わせないとか利用者を恣意的に選択するものではなく、あくまでも対価支払にある。

 

実際にオークランドで仕事をやってみて法律を理解した上で他の日本人を観ていると、自分に関係ない時はまるで紳士淑女のように「ほーりつがー!」とか立派な事を言うがいざ自分が当事者になった途端「あ、これは良いんです、だって誰でもやってるしー」とか「あ、これは好意でやってて報酬は寄付だから良いんですー」とか平気で姿を変える。

 

こういう地域においてこれから新しく仕事をしようと思えば一番良いのは地元の変な日本人と付き合わない事でありそれがだめなら最低限の付き合いに抑えて自分の仕事の内容や趣味や家族など余計な事は一切言わない。そして自分が何をするにしても常に法律武装をして何かあった時に弁明ではなく対決出来る状態でいることだ。

 

ビデオレンタルはその後すぐVHSDVD に変わったりネットの進化やワーホリ市場が急速に縮小する中で撤退した。なのでそれからは社員向けの福利厚生の一環としてDVDをシドニーの卸売屋さんから買っていた。リーガルハイ等面白い作品も楽しめたものだ。

 

けど時代の流れは元に戻らず遂にシドニーでも卸屋さんが去年撤退した。

 

時代の波は逆らうものではなく乗るものである。随分と大変な思いをしたビデオレンタルであったが感傷に浸ってる暇などない、古くなったビジネスモデルは衣替えをするしかない。

 

ビジネスモデルは常に変化する必要があるので起業家に対して言えるのは「上手くいってる時に次のビジネスモデルを育てろ、そして古くなったビジネスは撤退の時期を見極めて迅速に動け」である。



tom_eastwind at 14:29│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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