2017年04月05日

時をこえる風

原題は“Whispering Wind”、フレデリック・フォーサイスの2002年の短編集フォーサイスコレクションの1つであるが、この140ページあまりの短編を読了することでこの週末がとても心豊かになった。

 

子供の頃からSFが大好きでハヤカワ文庫が大好きで星新一をリアルタイムで読んでハインラインの奥深さに学びアシモフの宇宙観に魅入られ光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」を夜通し読んでたものだ。

 

フレデリック・フォーサイスと言えば本来は「ジャッカルの日」や「オデッサ・ファイル」、「戦争の犬たち」など如何にも英国らしい文体の戦争や謀略を得意とする作家であるが今回は何とSF

 

それも時を越えて愛する二人が英国ではなく米国の原野を舞台に繰り広げる恋愛物語である。SFと恋愛、これを英国人が書くとどうなるのか、どうなるのか?

 

Amazonでいろんな分野の本をまとめ買いして東京のホテルに送ってもらいNZの自宅に持ち帰りその3ヶ月後にやっと読んだわけだが、これは「大当たり」だった。

 

本を選ぶのに僕の場合は「学べる」「当たり」「大当たり」「深い学び」と区別している。

 

「学べる」という意味はその本に書かれている事実、推測、思考方法等などまさに「学び」の材料になるわけで作者がどうのこうのはない。例えば「江戸料理読本」等は作者が誰かもよくわからないが江戸時代の食べ物の勉強になる。けど本来の意味の読書の楽しさはない。

 

まるで銀座の三越デパートの食堂街で落語の格好をした若者たちを見かけるようなもので「ああなるほど、いいよね日本文化」とは思うけど伊吹吾郎が東京で売血してやっと食堂で注文して買った卵焼きを観た貧しい女の子が「た、ま、ご、や、き」と言ってその声の痛みに耐えきれず食堂を出て行く時のような感傷は湧かない。

 

つまり一度読めば学べる、二度読む必要がない本である。

 

「当たり」は大沢在昌の「新宿鮫」のように、読んでる間は歯ごたえがあり自分がまるでお化け屋敷に入ったようなドキドキ感で読書を楽しませてくれるから読んでいる間の喜びは楽しい。けど読了すると飲み終わった翌朝のようなものである。またこれかーってやつか。もう一回読むか?うーん、ちょっとなー、けど良かったよ。

 

「大当たり」は今回のような作品「時をこえる風」である。短編でありながら読ませてくれて心を豊かにしてくれて読了感が酒と違って心地よい。酒が脳を麻痺させるのと違い心を暖かくしてくれる。

 

これは映画で言えば「タイムライン」だろう。これもSF作品であるが作者は医師免許もあり「ジュラシック・パーク」の作者でもあるマイケル・クライトンである。

 

時代を飛び越えていくだけでどんな未来も作ることが出来る、未来は変わる、そんな無限の世界を楽しむ時に心はどこまでも時を越えて跳ね跳んでいる。

 

僕がハインラインの「夏の扉」を好きなのもやっぱり時代を超越しながら人間を信じている作者の気持ちを感じるからだろうと思う。「バック・ツー・ザ・フューチャー」も、源流をたどれば「夏の扉」である。未来は、変わる。

 

日本から戻り約一週間ずっと企画作りで弁護士税理士投資会社開発業者色んな人々と会議しつつ現場でどっぷりと漬かっていたのが、週末のフォーサイス作品で随分と心を洗ってくれた。

 

さあ、これでやる気が出た。有難うフレデリック・フォーサイス、明日も頑張って働こっと。



tom_eastwind at 08:01│Comments(0)TrackBack(0)諸行無常のビジネス日誌 

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