2017年04月08日

朝会議その2

金曜日の二つ目の会議は午前1130分から道路向かいの弁護士事務所で行う。今日はランドバンキングの派生商品であるコーポレート・ファイナンスについてである。

 

去年後半から大手銀行が不動産投資への貸付を渋り始めている。個人向け住宅ローンは銀行の稼ぎ頭なのであいも変わらず賑やかにやっているが商業ビル等の開発物件は大手銀行の親会社である豪州の銀行から「控えろ」と指令が出ているのだ。

 

豪州では以前は中国向けの鉄鉱石輸出など鉱物関連産業が隆盛を誇っていたが中国向けビジネスが低下していく中で国内商業不動産投資が不振で案件によっては貸し倒れ引当金を積む必要が出てきた。

 

世界的に銀行の自己資本を厚くする必要がある中で貸し倒れ引当金が積み上がると自己資本が毀損される。そこで子会社であるNZの銀行に対して商業物件への貸付を控えるようにと指令が出たのだ。

 

オークランドは政府主導で住宅建設が勢いを増している。何せ毎年5万人の人口増加をしている街だから一家族4名としても毎年125百戸の新築住宅が必要になる。

 

しかし住宅開発は政府主導とは言え実際には民間デベロッパーが開発をする。開発資金は投資家から投資を受けて投資額と同額を銀行から調達することになるのだがその銀行が資金の貸し渋りを始めたわけで、こうなるとデベロッパーは開発を半分に縮小するしかない。

 

しかし折角政府から払い下げてもらった土地であり住宅不足の現状では建てれば必ず売れる。まさに昭和後期の東京多摩ニュータウンが売れたようなものである。キーウィも当時の日本人と同様に自宅を持つことが1つのステイタスなのだ。

 

折角のビジネス機会であり逃したくない、そうなればそこに資金需要が発生する。そこで貸し渋りの銀行の代わりの役割を担うのが投資会社によるデベロッパーへの貸付である。

 

銀行と同様にデベロッパーが保有する土地や建物と建築資材を担保として担保の60%を上限として資金を半年から1年単位で貸し付ける。

 

期間を土地取得から建設売却までとすることで資金の流動性を高め担保回収順位を最上位として更に60%までの貸付とすることで万一の担保価値が下がっても投資資金の回収に不足がないようにする。

 

投資の際の担保には順位があり銀行は常に第一順位として保全を行う。二番目に来るのがメザニンと呼ばれる。普通の英語では中二階であるが投資の場合の意味は二番目の回収順位となる。三番目に来るのが回収リスクをたっぷりと背負っているが利回りの高い「不良債権」である。

 

勿論不良債権などと言うと売れないので何だかんだと美名を付けて名前を飾ってはいるが、利回りが良くても回収順位が低くてリーマン・ショックの火付け役でもあった不動産債権ビジネスがここに当たる。

 

不動産関連ビジネスは裾野が広いがどこに自分の立ち位置を決めるかが重要である。

 

一番確実に稼ぐのは建設現場で働く作業員である。これは確実に日当が入り仕事は今のオークランドでは常に存在するので腕に実力があれば食っていくのに困らないし10年も働けば自分で設計した家に住める。

 

クイーンズタウンも建設が盛んで一時期のカジノの一番の乗客は中国人ではなく現場作業員であった。

 

現場作業員は良い給料をもらえるがそれもやはり上限があるわけで、もっと稼ぎたいと思えばマスタービルダーなどの資格を取って作業員を使うプロジェクマネージャー、つまり現場監督がよい。

 

この次に来るのが設計会社で、彼らは与えられた土地でどのような建物が建設可能かを分析して設計図を作る。

 

ここまでは個人努力でやっていける世界であるがこの次に行くと上記のような不良債権ビジネスが出てくるので注意が必要である。

 

リーマン・ショックの時は当時1NZドルが80円前後だったのが一気に40円台まで下落したので円建てローンを利用していた日本人は「派手なとばっちり」を喰らったものだ。

 

当時円建てローンを販売していたHSBCも担当者が回収に躍起になっててうちにも相談された事があった。

 

そんな裾野が広くあちこちに影響の出るビジネスであるが肝心な点は流動性と担保確保である。これをしっかり抑えられるか出来るかどうかでビジネスリスク・コントロールが出来る。

 

コーポレート・ファイナンスは今のオークランドで成立する旬のビジネスである。20年後はオークランドも人口減少が起こるかもしれないが少なくともこの10年は人口動態調査を観ても世界の人口移動を観てもこのまちの人口は増加する。

 

よっしゃ、これで金曜日の会議終了。



tom_eastwind at 12:32│Comments(0)TrackBack(0)諸行無常のビジネス日誌 

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