2017年04月30日

晴耕雨読の日曜日

昨日から今日の午前中までオークランドはしっとりとした雨。晴耕雨読、この週末は本を読んだり映画を観ていろんな事を吸収する日である。

 

平日は昼間は忙しいし夜は9時過ぎには寝るようにしているのであまりまとまった時間が取れないので週末が役立つ。

 

大体人間の活動もコンピューターとそんなに変わらない。と言うかコンピューターの行動原理が人間に似せて作っているのかもしれない。

 

入力→演算→記憶→出力。これがコンピューターの流れである。人間は目で見たり耳で聴いたりの五感で身体に入力する。これを脳で分析判断(演算)して一旦脳のフォルダーに記憶させて何かあった時にその記憶を資料として取り出し発言または行動に移す、これがパソコンで言う「出力」するとなる。

 

つまり人間はどれだけ吸収分析判断能力のある脳みそを持っていても最初に入力がなければ何も出力出来ないのだ。入力のないまま身体だけ大きくなった人間の事を「生まれっぱなし」と言う。

 

今読んでる警察小説シリーズは元公安警察所属の作家なので詳細までよく描かれていて熱血刑事とは全く違うもっとドライでいながら大所高所からの視点でものを考えると言う理論的な警察行動をやってるので読んでて話が分かりやすい。

 

実際に起こった事件を背景にそれをフィクション化しているのだけど大体その背景が分かるので現実の事件と突き合わせつつ読むと非常に面白い。警察、特に公安の思考回路が理解出来るから実務にも役立つ。

 

多くの警察小説がどうしてもアオシマ刑事みたいな事やってるから現実味が薄く学ぶものが少ない。「事件は現場で起きてるんだ!」そんな事は百も承知。

 

けれど同時に真実は正しく正義は負けないと言うのは大きな間違いである。何故なら100人いれば100の真実があり正義も同様で自分だけの独りよがりで「俺の正義が正しいんだ、だから勝てるんだ!」なんて本気で思い込めばテロリストの一丁出来上がりでしかない。

 

大体こういうのが社会におけるモンスターとなるのだがやってる本人は自分が正しいと信じてるからどうしようもない。最後は警察に来てもらって法に基づいて冷静に法を執行してもらうのみである。

 

ちょっと話はそれるがこれは何も日本に限った事ではなくNZに移住して来た日本人にも目立つ現象で、日本と違う価値観の国に来たのにそのことを理解しようともせず自分の狭い日本価値観だけを真実として日本の他の地域から来た日本人や地元キーウィに文句を言ったりするのも目立つ。

 

話を戻してもう1つ言えば日本で法律を執行する権力を国民が警察に委譲している以上、そして相手が人間である以上必ずミスは起こる。または警察がその威信を守るために間違った法律の執行をすることもあると言う事実だ。

 

四国の白バイ衝突事件など冤罪が多いのも事実である。そんな時に「俺の真実」をいくら訴えても無意味である。市民としてはまず合法的暴力装置からいかに逃れるかを考える必要がある。その意味で警察の思考法歩を理解することが大事になるのである。

 

僕はどんな事でも本でも映画でも一回は学べると思っている。それは「これを選んだ俺はバカだ、もっと勉強しなくちゃ」と言うことである。

 

しかしその本から2度めの学びはないわけで、だから読み返すこともない。

 

それに比べれば例えば小説で言えば五味川純平の「人間の条件」は小学校の頃から読み始め高校時代まで年に一度は読んでいつも新鮮さを感じたものだ。読む度に以前分からなかった事が観えてくるのである。

 

社会人になってからも数年ごとに読んでいる。NZにも持参したからもう随分日焼けしているし今の時代では文字が小さすぎるから読みづらいが筋書きは大体頭に入っているので今も時々拾い読みしている。

 

日本にいる頃は梶の行動を尊敬の念を持って読んでいたものだがNZに移住して世界の様々な価値観と触れることでこの本を違った角度から見ることが出来るようにもなった、僕にとって大事な試金石の一冊である。

 

日本の国政では民進党が何とか篭池問題をやろうとしているし都政では小池知事が豊洲問題をやってるし政府は北朝鮮問題をやってるが、どれが個人にとって一番重要かは明白である。

 

北朝鮮ミサイル発射の影響を受けていよいよ地下鉄やJRが緊急停車する様相になった。政府のJアラートや避難誘導のウェブサイトのアクセスが急増しているようだ。

 

こんな時こそ国民は日頃蓄えた教養を用いて自分の目で周囲を観て自分の頭でものを考えて冷静に行動する必要がある。

 

自分の中に試金石を持ち常に情報を入手し分析判断して次の行動に移す。それが出来るか出来ないかが運命の分かれ道にもなるかもしれないからだ。



tom_eastwind at 16:23│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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