2017年05月15日

ハーレム・ジャパン

明後日から日本出張だ。いつも時間を追っかけているような生活だけどこれはこれでそれなりに楽しい。

 

18歳から旅行屋として仕事をしてきたので飛行機の長時間飛行もホテルを転々とするのも苦にならないのも大きな要素かもしれない。2週間の出張でも最小の荷物なので旅先のホテルでよくびっくりされる「これだけですか?」。

 

そして僕の場合時差ボケがない。まるで伝書鳩のように常に到着した国の太陽の位置で身体が自動調節するようである。

 

例えば10年以上前だがバンクーバーで会社を2社経営してた時はオークランドから香港に12時間かけて移動して時差5時間、香港からバンクーバーまで12時間飛行、時差は15時間である。

 

香港からの飛行機がバンクーバー国際空港に朝9時頃に到着するとそのままタクシーに乗ってシティの自社オフィスに移動してそのまま会議を始めて午後ホテルに荷物を置いてシャワーをしてからそのまま現地スタッフとディナーミーティングが普通だった。

 

帰路はバンクーバーを出発して香港に12時間かけて到着すると約2時間の乗り継ぎでオークランド行きのフライトに乗り更に12時間かけてオークランドに戻り、つまり24時間以上を移動してその後空港に置いてある自分の車でシティのオフィスに戻りそのまま午後仕事をしていた。

 

ホテルを転々とするのも慣れである。添乗員をする時はお客様の誰よりも早く起きて朝食の会場チェック、昼間は一日中皆を盛り上げながら観光場所の周囲に危険がないか見張り自分はカメラを持たず常にお客様の写真を撮りつつ一番近くのトイレがどこにあるかを確認してお客様の緊急に備える。

 

夕方ホテルに到着すればまず部屋割りを不平等にならないように「あ、この人は昨日のホテルの部屋が裏側だったから今日は景色の見える部屋にしよう」とその場で決めて皆に部屋に入ってもらい更にその後各自の部屋を訪問して設備に問題ないか確認してお風呂に入ってもらい僕はすぐに夕食レストランで椅子配置とメニューチェック、全員がレストランに来るのを待って夕食を開始する。

 

お酒を飲まない奥さんたちもいれば朝まで飲みたい親父もいるわけで夕食の終わりの時間を見計らいつつ早く帰りたい人には声をかけて帰して飲みたい親父には次のバーまで連れて行って一緒にお付き合いで飲みつつ彼らが部屋に帰ってから自分も部屋に戻り翌朝の日程を確認漏れがないか再度チェックして寝る。

 

そして翌朝一番最初のお客様が起きる前に起きて朝食会場をチェックして〜と、この毎日の繰り返しを旅行期間中24時間やるわけなので、一番早く起きるお客様より早く起きて一番遅く寝るお客様より遅く寝て、まさに体力勝負である。

 

1980年当時一番多かった時は一年に100日以上添乗してて日本にいる時は営業活動で午前1時ころから営業先を訪問なんてのもあったから体内時計はほんとに生活環境に合わせて伝書鳩のように設定されたようだ。

 

今の日本では添乗業務は営業担当者が客先で獲得したインセンティブツアーでも派遣会社に添乗を依頼する案件も多いようだが僕が日本にいた当時はまだ添乗員派遣会社は観光労連(旅行会社系の労働組合連合・JTBが中心だった)が設立したフォーラム・ジャパンくらいしかなかったので自分で取った仕事は自分で添乗するのが普通だった。

 

ところでこのフォーラム・ジャパン、当時は労働組合幹部が若い女性添乗員希望者を面接して採用してその後は女性添乗員をオフィスではべらかすので「ハーレム・ジャパン」等とお笑いで冷やかされたがハーレム達は今でも旅行業界でしっかりと地位を確保しているようだ。

 

そりゃそうだ、当時の組合幹部は組合員=社員を統率する能力があるわけでハーレムの管理は得意であり、さらに組合幹部卒業後は会社側の経営幹部になり自分たちのハーレムに仕事を回すわけだから彼女たちハーレムは安心して良い仕事が出来る。

 

フォーラム・ジャパンの設立の発想は元々は同一労働同一賃金と言う、やっと最近になって記事ネタになるような話を1980年代当時から意識して実行して労働組合が人材派遣会社を作った点にある。ある意味当時の労働組合としては画期的な発想だったと言える。総評系でありながら現実的であった。

 

今でこそ大手旅行会社は自前で添乗員派遣会社を持っているがそれでも季節ごとに必要人員が大きく変化するのでどの会社もハーレムとは契約をしている。

 

今週はオークランドから香港に移動、一泊して街の情報を得て翌日の朝の便で福岡に移動、ここで3泊してレストラン事業、その後大阪に移動して個人面談。次の日に東京に移動して恵比寿をねぐらにして都内移動やホテル内での個人面談と移動続きだ。

 

オークランドの仕事はあと一日で終わりその後は出張で5月末まで忙しくなるが僕にはハーレムがいないので自分の事は自分で面倒を見る。荷物をまとめるのも自分の仕事だ。これもまた楽しである。



tom_eastwind at 17:05│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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