2017年05月23日
国策の喜劇又は国民の悲劇
大阪でテレビをBGMにして仕事をしていると民放の広告が賑やかである。
中高年向きのお肌宣伝ではもう宣伝と言うより番組である。というか番組に仕立てた広告かそれともテレビ通販番組か?
その中でやはり最近は弁護士の宣伝が目立つ。以前はサラ金の過払い金返還事件で弁護士が多額の利益を得たがその延長で今度はB型肝炎訴訟をやっている。
最大3600万円返還されますよ!と宣伝しているが訴えると言うか訴える相手は国で訴えることが出来るのは昭和16年から63年まで国の集団予防接種でB型肝炎ウイルスに持続感染している人。
これなら相当数の患者数が期待出来るというのであちこちの弁護士事務所が参入してきている。着手金無料なんてのは手続きが簡単な割に成功報酬を高く取れるからだろう。
しかし日本の弁護士は以前は広告を控えると言うのが一般的であった。弁護士としての社会的地位の維持、弁護士とは正義を実現する人々、そんなイメージを持つ為に「お金儲け」ではないから「広告はしない」と言う立場だった。
ところが弁護士の数を増やすと言う国策によりそれまで1万数千名しかいなかった弁護士が急増した。問題は新しく弁護士の資格を取った人々が食っていける仕事がなかったと言う事である。
つまり弁護士の仕事は増えてないのに数だけ増えたから若い弁護士に仕事は回ってこない。そこで企業内弁護士として大手企業法務部に就職する道も出来た。
しかし開業した場合はそういうわけにはいかない。そこで若い弁護士が選んだ道が今までの日本になかった集団訴訟裁判である。
最初が過払い金訴訟に始まり次第に訴訟が儲かると分かり弁護士事務所が次々と参入して現在の広告宣伝に至っている。
国家として弁護士を増やすって一体どんな理論だったのか?税金を使って法学部を増設して学生を増やしたのは良いが弁護士資格が取れず学部自体が存立の危機にある現場って何なんだ?
国策の結果として国家が告訴されたのを観るのは喜劇ではあるがその為に税金を払ってた国民には悲劇である。