2017年06月08日

1987

ずっとニュージーランドの話だったので今回出張した日本での話にしよう。

 

2017年の今年、株価は2万円に上昇した。安倍政権発足当時約8千円だった株価が2倍以上になった。

 

円安で輸出産業の利益は増えて株価上昇で企業に含み益も出て来て大手はどこも調子が良い。これから2020年の東京オリンピックまで株価は上昇して、まさにバブルでGO!であろう。

 

1987年、今から丁度30年前に日本の株価は2万円に達した。当時証券会社で働いていた人々には記憶に残る年であろう。翌年の1988年には3万円に達した。その年僕は日本からニュージーランドに観光気分で渡航してその2ヶ月後に永住権を取得してニュージーランドに移住した。

 

1985年のプラザ合意で急激な円高が始まりこれがバブルの発端となり東京や大阪の不動産価格が上昇して企業の株価は上昇してそこで含み益を得た企業や個人がその資金を利用して更にマネーゲームを仕掛けて不動産バブルを起こした。

 

証券会社は未曾有の利益を上げてボーナス年4回とか不動産会社はニューヨークの一等地を買ってみたり株価は4万円に向けて登り始めた。

 

しかしそれも大蔵省の総量規制がきっかけで実態の伴わない価格上昇に水をかけられて急速にバブルは弾けた。

 

1990年はバブル崩壊初年である。この年から株価は下落を始めた。1992年には三大都市圏の不動産価格が約11%下落して株価は16千円になった。

 

奇しくも東京オリンピック開催年の30年前にあたるのが1990年である。

 

歴史は繰り返すと言うが、日本は現在アベノミクスで株価は上昇しているしオリンピックに向けて建設会社は景気が良く原発復興資金も豊富にある。東京には資金が集まり人々の顔は高揚している。

 

今回も東京や大阪のホテルではどこも何とか紳士の姿を見かけた。彼らが数名固まってバーでお茶飲みながら何か景気の良さそうな事を話している。

 

そしてこういう時期に必ず動くのが建設会社と銀行と政治家と地上げ屋など現場仕事をする「懲りない人々」である。バブルよもう一度!とばかりに30年前の夢を思い出しているのだ。

 

今年の株価2万円ってのが一つの引き金でこれから日本の景気はオリンピックまで続くだろう。株価もさらに上昇していくだろうしトヨタも利益を出しているし実態景気も大きなところでは上手く回っている。

 

けど問題は2020年以降である。それまではオリンピック景気で盛り上がっていてもさあオリンピックが終わればその後に何が出てくる?

 

人口少子高齢化、年金と医療の圧縮、相続税や所得税の増税、日本中に人が住まない空き家が増えて土地の価値が失われてそれまでサラリーパーソン家庭がローンで建てた自宅の価値がどんどん減少していく。

 

最近人気のサラリーパーソンの賃貸アパート経営も資産の側で2億円あっても負債の側にも2億円があるわけで一旦金利が上昇して少子化でアパートに住む人がいなくなれば激しい勢いで歯車が逆転して確実に崩壊だ。

 

まさにオリンピックと言う宴の終焉に合わせて日本社会が激変していくだろう。

 

これからの3年は良い、けどそれ以降は日本での普通の人々の働き方が全く変化していくだろう。更にAI、ロボット、ビッグデータが人々の仕事に直接影響を与える。今まで人々が働いていた職場で失われる仕事が出てくる。

 

このような事は実際に今までも起こっていた。例えばコンピューターが発達してデスクトップパブリッシング(DTP)が発達した結果印刷業界では写植工が不要になった。

 

まさに今まで人間がやっていたインクに塗れる植字や写植が何ときれいな机の上ですらっとしたエンジニアがさらっとキーボードを動かして印刷画面を作るようになったのだ。

 

当時はイラストレーター、フォトショップ等がまさにベテランの人間から現場の仕事を奪っていったのだ。

 

今は必要とされている仕事でも果たして5年後にその仕事は人間に残っているのか?

 

1987年までの日本は平和で企業は終身雇用だから毎年慰安旅行でバスを連ねて熱海や箱根の温泉旅館で大宴会を開きお互いに何時までも一緒だよなーって酒を酌み交わしていたた。

 

それがたった10年ですべてが変わった。1997年三洋証券倒産、山一證券廃業、拓殖銀行営業停止、そして日本の雇用は根本から変化した。

 

1987と言う30年前が今の時代の過去コピーであるなら、歴史は繰り返す。2020年は日本が変わる時である。その時の大津波に巻き込まれずに生き残れるかどうか、それはすべて自分次第である。



tom_eastwind at 17:27│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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