2017年06月14日

共通報告基準

税務の世界基準では現在「共通報告基準」と言うのがある。これは世界中の国家税務局が提携してお互いの国にある非居住者の銀行口座の自動情報交換をしようぜって協定である。つい最近出来た。

 

つまり日本居住者がHSBC香港に口座を持っていればHSBC香港は口座の登録住所が日本である場合口座資料をすべて香港税務局に提出して香港税務局はこれを日本の国税局に通報する仕組みだ。

 

これは随分以前から出てた話なので今更感があるが日頃経験のない人からすれば「えー!」って話だろう。

 

だって、口座作った時はそんな事一言も聞いてないよー、30万円も金払って海外口座作ったのに意味ないどころかバレバレじゃんかー、である。

 

そう、その通りバレバレである。

 

こんなもの最初から分かってた事なのに何で引っかかるかなー。どうせ営業マンの顔の良さに騙されたか?

 

実際に香港やあちこちの国で口座開設なんちゃらツアーとか言って先の見えているデッドトラップに人の良さそうな顔で引っ掛ける連中が数年前に点在した。

 

こういう連中は数年前にすでに日本の財務局に個別に叩かれ悪質業者は名前を財務局サイトで公表されごめんチャイをした連中は自分の顧客リストを財務局に提出して逃亡した。なので特定の名前は財務局はすでに把握して管轄税務署にデータは送られている。

 

こういう一発屋は今では商売替えしてなんちゃら新しい仕事をどうこう言っているけどやってる内容は以前と同様の客だけ沈める目先だけビジネスである。

 

彼らの顧客リストはすでに財務局の手元にある。財務省は必要に応じてこのリストを取り出してデスノートのように使う。人は見た目が9割と言うが、信用した方の負けである。

 

そして今、世界の財務省トップの会議では海外口座の把握のために情報交換を盛んに行う仕組みを作っている。米国はすでにFATCAが導入されて世界中の銀行に強制導入されている、銀行の経費で。

 

日本ではマイナンバーが導入されて今後は海外で口座を開くにもマイナンバーが必要となるし海外の既存口座でも資金移動の際に「マイナンバー出して下さい、でないと凍結です」と言うことが間もなく普通になる。

 

要するに銀行は許認可事業で政府の手下であり顧客は政府の手下に金を預けているのだから銀行口座を開設するのは自分からお上に個人情報を提供するようなもので逃げようがない。

 

銀行が安全安心と思ってた時代はもう終わっている。一番良いのはタンス預金である、金利は付かないが。金利が欲しければ純金を現物で保有する方法もあるが、これは購入する際の注意が必要である。

 

僕が香港に住んでた1990年代なら様々な蓄財方法もあったし橘玲の本に書いている事も現実に起こってた。僕も仕事柄香港ではいろんな業務をしてきたので橘玲の本の内容を読んで「よく現場を知ってるなー」と思ったものである。

 

しかしこれからの時代、銀行崇拝では生きていけない時代が来る。リスクを背負って一生懸命働き子供のためにお金を作ったが、日本に置いておけば所得税と相続税で手元に残るのは25%前後、75%は何のリスクも取らないお上が有難うとも言わずに持っていく。そしてこの残った25%だって日本の低金利では増えずに結局住民税や固定資産税等で持って行かれる。

 

僕は年に数回日本のバブル時代のサルベージ仕事をしている。これなどは本当に慎重にNZの裁判所で日本の法律を理解しつつ手続きをしないと一発でOUT!になる。まるで時限爆弾を扱うようなものだ。

 

それでも最後に無事に海底からすくい上げて当事者にお渡し出来た時はほっとするしうれしい。よし、これでまた一つバブルの残像が消せたぞって感じだ。

 

ただこれから来る時代は変わるぞって感じである。これからは間違いなく銀行が民衆にとって信用出来ない「公衆の敵」になるだろう。彼ら銀行が国民資産を管理してお上に報告する機関となるだろう。

 

インターネットやパソコンが急成長して世界が狭くなった分だけお上同士の力が強くなり民間への締め付けが厳しくなった。

 

オフコースの歌に「地球は狭くなりました」と言うのがあって、これはインターネットが出る時代の前に作られて、ある意味SF的な歌だけどそれが現実になっている。それは良い意味では個人がどこの国でも自由に生きられるって意味でもだし、悪い意味では個人がどこまでも監視されるって意味でもある。

いつも言うことだが、時代の一歩先を行かないと生きていくのがきつい時代になっている。 



tom_eastwind at 18:05│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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