2017年07月15日

個人面談

昨日は個人面談を開催。昼過ぎから1時間単位で4組続く。つまり4時間ずっと話す事になる。

 

旅行屋のビジネスの特徴は在庫を持たない情報産業であると言う点だ。製造業であれば原材料を仕入れて加工して完成品を作って在庫として倉庫に入れたりするわけだが旅行屋には原材料を置く場所も完成品を置く倉庫もない。すべては昔は紙のタリフ、現在はPCデータである。

 

旅行には車や冷蔵庫のような現物がないのでこれから始まる旅行について参加者に対してまだ観たことがない、経験した事がない体験を如何に相手にわかるように説明するのか、どういう切り口で説明するのかが大事である。

 

例えば旅行記がそうであるが、どんな立派な旅行記でもそれがフランス語で書かれていれば英語しか読めない人には無意味であり情報は伝わらない。こちらが何語で話せば話しやすいかではなく相手が何語を話す人かを理解して相手の言語で話す必要があるのだ。

 

僕の仕事の大事な部分は「相手に伝わるように話すこと」になるので4組の個人面談をすると相手に応じて言語を変えて4時間話し続けることになる。

 

日本でニュージーランドの移住情報と言ってもなかなか手に入るものではなく更に入手出来てもその情報が一定の色付けをされている事がある。

 

つまり不動産業者が不動産を売りたいが為にNZを褒めてみたり、自分の本を売りたいが為に「誰でもVISAが取れます!」みたいな事を書いてみたりして情報弱者を振り回しているのが散見される。けどそれでお客様の希望は叶うのか?

 

現在のニュージーランドは既にバブル状態でありこれはまだ数年続く。この状態で技能移民でやって来て生活資金はあるのか?不動産購入するにしても価格が高騰している現在、親の資産でもないかぎり購入は難しい。

 

賃貸をすればオークランドで4人家族だと一ヶ月の家賃が17万円程度になる。これに生活費を加えれば月間手取りで40万円程度が必要である。けど普通の技能移民でそれだけの給料がもらえるのか?そういう事実を伝えているのか?

 

僕の仕事は部品屋ではなく旅行屋である。この場合部品屋とは旅館、ホテル、航空会社等のサプライヤーになる。サプライヤーは自分の商品を買ってもらう必要があるから皆さんどこも自分が一番と売り込む。

 

けど僕ら旅行屋はそのような「部分の無謬」である部品を組み立てて「全体の誤謬」が出ないように参加するお客様の希望を突き合わせる必要がある「旅行工程完成品」組み立て会社なのだ。

 

だから時には売ってはいけない相手もいるのでその時には「何故あなたに売れないのか?」を説明してお断りすることもある。旅行は電気製品ではなく心理的要素が大きいので文句を言おうと思えばいくらでも言いがかりをつけることが出来る。

 

例えて言えば冷蔵庫にフリーザードアを開けなくても氷を取れる窓口があるけど、それだけを観れば確かに格好良いけど壊れやすい。そしてここが壊れると修理をお願いするけど、その為に自宅で修理屋さんを待たねばならない。「待つその時間はどうしてくれる?せっかくの旅が台無しだ!」。

 

そう考えると部分としてはすごく良い氷取りではあるが完成品として冷蔵庫を使うには、あってはいけない部品となる。全体の無謬は部分の無謬に優先されなければいけないのだ。

 

単体であれば良い航空会社でも発着時間など旅行全体の「部品」から観れば使えない事にもなる。これは他のサプライヤーも同様である。

 

常に顧客視点から観る、顧客の側に立って一緒に目の前の景色を見る、そしてプロとしてこの旅行には行かないと言う案も含めて最善の提案をする、これが僕の仕事である。

 

いつもこれを念頭に置いて面談を行うのだが、この「移住」と言う旅行仕事を扱うには二つの側面が必要である。

 

1つは実務経験である。いくら座学で学んでも実際には現場経験を積まないと使いものにならない。日本でも弁護士や税理士など資格は取れても実務経験がなければ合わせ技が使えない。

 

移住においてはVISAが最たるもので、誰でもVISAアドバイザーの資格は勉強すれば取れるが今まで何件のVISAを扱ったのか?技能、起業、投資、その他インターリムやVISA延長など移民局と議論になるような案件も含めてすべてのカテゴリーについて最低30件程度の取り扱いがなければ実務経験とは言えずそれがなければあわせ技は使えない。

 

そしてもう一つ大事なのが、移住希望者の求めているのが何かを理解してその希望が叶うように実現手段を作り上げる企画力だ。

 

実務経験があればたしかに必要最低限の事は出来る。けれどそれは自分の出来ることをやったに過ぎずお客様の希望に沿っている移住計画かどうかは別問題である。

 

ここが多くの人が勘違いをすることだが、VISAはあくまでも幸せな生活を作るための手段であり目的ではない。そのまま日本にいることが幸せな人達もたくさんいる。

 

しかし多くの人はVISAを取れば自動的に幸せになると考えているからビザを取ってNZにやって来て現実生活を経験して日本に撤退することになる。旅をする人の目的は何なのか。それを知り実現させる企画を作るのが旅行屋の仕事だ。

 

ここで言う企画力とは解決力である。多くの人は常識とか「出来るか出来ないか」で物を考えるが、解決力を付けようと思う場合はまず常識を一旦忘れてどれだけの解決方法があるかを考えるのが大事だ。

 

次に出来るか出来ないか等偉そうな批評家ヅラで考えるのではなく「どうすれば出来るか?」と言う視点で問題を観ることだ。

 

1980年代にツアーがPC管理されるようになりハネムーンのハワイツアーが日本全国どこの支店窓口でも空席確認がその場で出来るようになった。

 

ある時ハネムーンを申し込みに来たカップルに対して窓口の若い担当者は「ハワイのハネムーンは売り切れております」ときっぱり回答した。この若い担当者はハネムーンと言うのはPCの中に入ってるものが全てであり個人で航空券を予約してホテルを取ると言う発想がなかったのだ。これなどまさに「出来るか出来ないか」の発想である。

 

実務知識と企画力、これは今の時代も全く変わっていない。



tom_eastwind at 22:48│Comments(0)諸行無常のビジネス日誌 

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔