2017年08月21日

働き方改革

人材開発コンサルティングや調査を世界規模で展開する米ギャラップ社が今年5月にある調査結果を発表した。

 

仕事に熱意ある社員は6%のみ。すわ中国か?そこは当たっているが日本も同様の6%なのだ。やる気のない社員は中国で75%、日本は70%だ。そして不満を撒き散らす無気力社員は中国19%で日本は24%という結果である。

 

日頃中国がどうのこうのと言っても社員の質が似たような割合であるのは、あ〜あと言った感じである。

 

ちなみに世界平均は15%。米国は32%、シンガポールは23%である。

 

社員のうちたった6%しかやる気ないってなればそんな会社上手くいくわけがない。おまけに会社の文句ばかり言ってれば何の新しい生産性に役立つ案を出すわけもない。

 

実際に僕が日本の新橋あたりのガード下や居酒屋で呑んでると周囲のそういう不満を撒き散らすのは良く聴く。これは日本に住んでいる方なら感じることであろう。

 

日本では誰もが感じているだろうが会社に対する忠誠心が要求されることが普通である。21世紀の現在でも日本人の二人に一人は一生に一社でしか仕事をしない。そんな環境では盲目的な忠誠は当然となる。そして忠誠の真っ先に来るのが直属の上司。

 

ところがそんな上司だってやる気があるのは100人のうち3人。残りはやらされ感の強い、部下を把握出来ずまともな仕事の指示も出来ず労働法が厳しく適用されてる中で部下にただ「残業するな!」「けど成果を上げろ!」と怒鳴る状況では更にやる気ナッシング、部下は悪くなるのみだ。

 

今の日本の問題が時代遅れの労働三法にあるのは分かりきった事である。けれど社会を構成する人々が現実を見ようとせず目の前の今日の自分が生き残ればいい、下手な問題提起なんてやって責任取らされたらどうする?って状態で、労働組合も経営側も政治家も官僚も本当の改革に手を出さない。

 

そして裁判所は戦後左翼思想に染まっているから現場を観ようともせずに自分が大学で習った左翼主義的知識で労働者を弱い者と位置づけて彼等を守ろうとする。それが結果的に彼等を潰し会社を疲弊させ社会全体の活力を失くすと気づかずに。

 

これは僕がよく書くことだが日本の裁判所も含めた官僚制度は明治以来責任はないけど権限だけは豊富にある役人を生み出し東大を卒業出来るから社会の支配者、僕何でも出来るもんねって意識で民を支配する。

 

そう言えばこんな話がある。ある時町内会で町の掃除をその町に住む男性たちが交代ですることになったのだが、ある家庭が掃除当番が出てこない。そこで担当者がその家庭を訪問して何で掃除当番しないんですかと聴くと奥さんもじもじしながら「あのー、うち、東大なんです」と言った。

 

本来なら民が動きやすく自活出来るように法整備をするのが行政官の仕事なのに自分が勘違いして執行官として現場の事を知らないままに直接手を下して民を疲弊させる、そしてその責任は取らずに次の部署に転勤する。

 

働き方改革だって何とかフライデーってどうなったのだ?女性の社会進出と言いつつその女性に「子供生むな」なんて平気で男が発言するわけで、じゃあお前は木の股からでも生まれてきたのかよって話である。

 

改革するのはまず男たちの脳みそと官僚である。そこを気づかずに上が責任を取らず現場を見ずに権力ばかり振り回すから日本はますます疲弊していくのである。

 

終身雇用、年功序列が保証されてればまだ良かった、正しい忠誠心も持てた。けど時代は変わった。労働者は正社員とか非正規とか派遣とかに分離された。これなど豊臣から徳川において行った「民を分散させてお互いにに組み合わせる統治」である。400年も前のやり方を今もやっているのが今の日本である。

 

それでも鎖国していりゃまだ良かった。けどバブル崩壊後にビジネス開国して中途半端に米国の成果主義を取り入れて組織を壊してみたり「フリーター格好いい!派遣は気楽じゃん!」とか煽てておいて社員間に給与格差を付けて数少ない正社員を頂点にした階級を作りこれが最終的に人件費の削減に繋がり経営者と株主からすれば拍手もん、やられたと気づいた若者はもう遅い、後は黙って安月給で夢もなく働くしかないって言うバカな話である。

 

それでもビジネス社会で転職の自由がある程度保障されていれば良かった。ところが現実は新卒しか採用しませんとか職歴に穴があると断られる、年を取ったら確実にまともな仕事どころか、仕事自体がない。そんな現実の中で誰が転職出来る。転職するためのスキルを学ぶ時間もない。だったら上司にボロクソに言われても会社にシガミツイて似非忠誠心を見せるしかない。

 

そんな仕組みを残したまま仕事に熱意を持たせてやる気出させようって、出来るわけがない。つまりこれも行政官である官僚(経産省、法務省、厚労省あたり)がもっと現場を観て仕事をしないから今の日本の生産性が上がらない理由である。

 

そして経営者からすれば今の仕組みを上手く利用して労働者全体から搾取する方が販売努力するより簡単に利益が出せる。その手法がより巧妙になり経営側と株主がより多く儲かる時代になったって事だ。

 

安倍首相が先頭に立って旗を振って春闘やって賃上げ要求しているのに経営者は答えようとしない。経営者と親しい官僚からすれば天下りもしたいわけで経営者の希望を忖度することになる。

 

その結果としてアベノミクスをいくらやっても物価は上昇せず賃金は上がらずどころか実質可処分所得は減少している状態が続く。

 

もし官僚が現在の日本の問題点を理解して日本の国力を強くして貿易を増やして国家財政を税収によって黒字化すれば賃上げも出来るし法人税も入ってくるし消費税を上げても国民は文句言わない。

 

だから本来は官僚と経営者と労組が手を組んで日本の労働問題を一気に解決すればまた強い日本が取り戻せるのだ。

 

働き方改革や春闘についてはよく頑張っている安倍首相に対して正直可哀想な気持ちになる。僕には合わないが彼の基本となる思想である「国家社会主義」は国民性が合えばそれほど悪いものではない。

 

今回の官製春闘から働き方改革については安倍首相が行政官にやっつけられた感がある。



tom_eastwind at 21:21│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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