2017年09月26日

ユビキタス

今日はオークランド空港に行く用事がありついでに久々到着ホールを見て回る。何でかって言えば普段はチェックインカウンターと出発ホールを通って出国し帰国時は到着ホールをそのまま抜けて一切周りを観ないからだ。

 

何だかちょっと観ない間にまた店が増えたな。最近弁当屋「葉山」が出来てたのは視界にあったがその横にはダンキンドーナツがある。SIMを売ってる携帯電話会社は3社とも出店、レンタカー会社4社は以前からあったけど更に小奇麗になっている。

 

その向かいには以前なかったようなコンビニ。2軒あるのだが置いてある商品が微妙に違う。

 

おそらくオークランドに到着した人が小腹を空かせてサンドイッチや果物、チップスやチョコをちょこっと食べるのだろう。

 

それにしてもますます膨らんでいく空港である。僕がこの空港をベースにして働いてた20年くらい前は何もなくて、本当に何もなくてジーン・バッテンの銅像が一つ立ってるだけだった。何せ周囲数ヘクタールが何もなく馬や羊が走ってたから土地だけは広大にあるからどんどん拡大出来るのが田舎の強みであろう。

 

街の発展と言うのは本当にすごいものだと感じる。

 

シティと空港を結ぶ幹線道路もトンネル化されて信号待ちがない。空港を出て北に向かえば長いトンネルの向こうはもうシティの近くである。

 

昭和の東京が発展していく時もこんなものだったのかなと思いつつシティに戻り次の仕事にかかる。

 

今も出張中から続く案件を何件も同時進行で手がけており、どれも長く大きく重いのだけど毎日どうしてこんなに積み上がるように増えていくんだろうって本当に不思議だ。これも街の発展の影響なのか?

 

香港でワークビザを特別な条件で取得する方法、NZの企業売却依頼、東京にある日本企業のウェブサイトで宣伝する方法、大阪での10月出張時の日程組み立て、住宅購入の為の資金移動方法と購入した場合の納税方法等など、一つ一つが全く隣の案件とリンクしておらず独立しており毎回頭を切り替えていく必要がある。

 

こういうのを5分から10分単位で紙をめくるように案件を回しながら答を作ってメールで送りすぐに次の案件を脳の中に引っ張り出して選択肢を広げてどれがお客様のご希望なのか、言われた事ではなく言いたかった事を思い出しつつ答を作って送る。

 

今日は空港だったのでパソコンは持っていかずレポート用紙に重要な案件を相関図のように並べて書きペンと一緒にスーツの内ポケットに入れておく。これで空港で10分あれば一仕事出来る。

 

ただ昭和に比べて良いのはパソコンさえあればどこでも仕事が出来るので働く場所を選ばないのはありがたい。空港でもちょっと時間があれば鉛筆仕事が出来るし自宅に帰ってもパソコン立ち上げればすぐに会社にいる時と同様に仕事が出来る。

 

ユビキタスって元々は人間が動かなくても何でも手に届く範囲にある夢想的な状態を示していた。その一つの技術がコンピューターだった。

 

閑話休題。

1980年代にコンピューター(当時の電子計算機)やワープロを売ってた人たちは皆「これであなたの仕事が楽になります、見積もりが自動的に作れます、機械がやってくれるんです」と宣伝してた。

 

だが僕は高校時代に情報処理の授業で電子計算機を実際に動かしてたので実際はそんな事はないとわかっていた。

 

こちらが一台持てば競合企業も一台持つから仕事は合理化されて自動化されるがその分労働時間は短くならないし競争はむしろ機械を使いこなす必要が出て来てその分だけきつくなる。

 

きれいな見積もりを作るのに昔は和文タイプを使うしかなかったがワープロが出来てきれいな見積もりが他社から出るとこちらも同じワープロを持って競争するしかない。

 

結局コンピューターは時代の流れを劇的に早くしてくれたがそれは人間を楽にしてくれるものではなかったと言う事だ。

 

そしてそれは僕が旅行業を始めて40年経過した現在もこの状況は全く同様である。今じゃあどこにいてもどんな仕事道具にも繋がるユビキタス労働者である。



tom_eastwind at 21:31│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔