2017年10月26日

M&A

昨日は外部の会議2件。今ちょうどM&A案件をやっておりその関連での会議が一つ。

 

ニュージーランドは最近諸外国から「食べ物資源の豊富な国で安全な食料」と言う位置づけを受けているようで中國からのM&Aがよくお声がかかっている。

 

けどNZの農家からすれば相手が中國だと安心して売れない。相手がフランスならあっちも農業大国で自然と安全を理解しているから安心して売れるけど中國の場合は焼畑農業なので売却には二の足を踏む。

 

その点日本からのM&A案件はNZでは好印象であり「何欲しいの?」と聴いてくる。

 

けどそうは言っても買う方からすれば損する案件を買うわけにはいかないので様々な指標を使って費用計算をする。内部収益還元法とか費用対効果をしっかりと計算した上で自社が買収した場合にどのような付加価値を付けることが出来るか、そういった事をしっかりと下調べすることになる。

 

しかし日本から進出しようとする企業はNZの実情がわからないので表面の数字だけでなく国の政治の方向性、今後の農業の在り方、国民性などを検討する必要がある。そこで当社のような地元日系企業にM&A案件の依頼が来ることになる。

 

こちらとしても評判が大事なのでそこはしっかりと地元情報を裏ネタから取り寄せて調査する。

 

青空の広がるニュージーランド、人々は大らかで他人に優しく、食べ物は美味しくて老人の顔が心豊かで、そんな国で裏ネタ?

 

これは、ある。個人的には皆人の良いキーウィだけど、いざ仕事となると全く変わる。俺かお前か生き残るのは一人だ、そんな感覚で、けど契約観念だけはしっかりしてて、そんなビジネスの殺し合いが毎日狭いシティの中で起こっている。

 

けど狭いシティなので誰もが誰をもを知っている。狭いシティで限られた生き残ったプレーヤー達はお互いに「こまめ」に情報を交換することでカネに代えられないネタを仕入れることになる。

 

この街では限られたプレーヤーが相手の力量を見つつ「ここだけの話だけどな、」って感じで情報交換をしつつ、ここで相手に貸し借りを作り次の裏ネタの交換につなげる。ここで交わす情報はフォンテラの最新情報からNZ中央銀行の今後の動向、インフラ系企業の今後、不動産市況、為替の動き、何でもありだ。

 

最初の会議では日本のバイヤーが欲しいものが明確なのでその裏ネタを求める。相手はその筋を知っている。日頃はどちらかと言えばこちらが貸しているものがあるのでその分を返してもらう。有り難い。

 

これでバイヤーに情報を提供出来るので感謝して「今度飲む時は俺がビール代払うよ」と言うと苦笑いされて「まだ借金払い、終わってないし」と言われる。

 

シティではそんな会話が交わされる。

 

2件目は香港脱出作戦である。5年ほど前かな、海外口座開設ってのが流行って香港に口座を作る日本人が増えてた。

 

あの時は「止めときゃいいのに」と思ってたが案の定今になって香港口座にもマイナンバーが必要になり口座閉鎖が続出。けど問題は閉鎖した後のお金をどこに送るのか?

当時は日本から現金で持ち出して香港口座に入金したけどそのお金を日本の自分の口座に戻せば確実に「お尋ね」が来る。「このお金は何ですか?」

 

無申告なのか過少申告なのか、利息に対する日本での申告は?様々な角度から突っ込まれるので「やんなきゃ良かった」と思っても、そりゃもう遅い。やってしまった事をどうするか、いかに問題なく処理するか、その後の問題を最小化して税務署にも納得してもらうか、そういう筋書きを作る話である。

 

朝からそんなこんなの会議を2件続けて頭を絞る。唯一うれしいのは常にそばで助言してくれるスタッフがいることだ。こっちが話をしていると「それ、常識からずれてます」とか「それ、日本人には理解出来ません」とか指摘してくれる。

 

数日前にも書いたが僕のブレーンストーミングは常に法律を外れたところから開始する。その時に地に足がついた助言は学びの里である。

 

裏ネタ情報の交換、香港、そういうとんでも話の最後に「日本の常識」でまとめてくれるのは有り難い。

 

そうやって今日の一日を過ごす。



tom_eastwind at 10:58│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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