2017年11月02日

最低時給の上昇が労働者の首を締める。

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来年41日から最低時給アップ

公開日:20171026

労働党政権となった新政府はまず、来年4月より時給(大人成人)を$16.50ドルに値上げする事を発表した。現在の時給は$15.75ドルなので75セントアップする。政府は2020年までに時給$20ドルにするという。

 

Auckland City Missioner Chris Farrelly氏は、現在の最低時給では生活できず食料配給を求める人々が増えているような状況。今回の時給のアップが貧困人口の減少に繋がると期待をしている。

NZ大好きより

https://nzdaisuki.com/news/life/2635-2017-10-26-1

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1ドルを85円とすれば1,338円が現在のNZの最低時給である。そしてこれを2020年までに20ドルって事は最低時給が1,700円である。今の日本じゃ考えられないな。

 

この最低時給には交通費などは含まれないから一概に比較は出来ないが肌感覚的に言えばサービス残業ゼロの国だから実質労働時間給は日本の最低時給より間違いなく2割以上は高い。

 

来年の時給は現在と比較して大体5%の賃上げである。これは最低時給のみなのでこれ以上の給料を受け取っている人には直接の関係はないが賃金の底上げに繋がるのは間違いない。この政策は国民党時代も同様で両党とも政権担当時に毎年最低時給を上げてきた。

 

ちなみにニュージーランドの最低時給は業種や地域に関係なく全国一律である。

 

毎年の物価上昇率はニュージーランド全体で約3%、オークランドでは約5%、家賃も貸し手市場で値上がりしている。だから5%の賃上げがないと実質給与減額、マイナスになる。

 

特に食料品は数年前までは中間層向けのスーパー“カウントダウン”に勢いがあったが今や低価格で展開する“パック&セーブ”にお客が集まり、その結果として食材の回転がよくなり毎日新鮮な肉や魚が安く手に入ると言う状況になった。

 

同時にFarro等の高級食材スーパーも調子が良い。不動産値上がり等上手く時代の波に乗れた人々は高級食材を買って男性はオートバイを新調してバリバリと走り回り女性は高級レストランで午後のお茶とおしゃべりを楽しむ。

 

つまりオークランドにおいても中間層がいなくなったのだ。8割のパック&セーブと2割のFarroに分かれた。

 

その一方で大学を卒業したばかりの若年層には仕事がない。何故ならパソコンとインターネットの発達で一昔前なら新入社員がやってたような後方業務がなくなって若年層の勉強する場所がなくなったからだ。

 

では今回の最低時給の上昇が貧困人口の減少に繋がるか?

 

逆である。貧困層は増える。

 

何故ならNZにおける「会社」は社会福祉団体ではない。企業にとって不要な人材を雇用することはない。それがましてや時給が上昇?

だったらいいや、パソコンの進化したソフトウェアで業務の自動化を進めよう、インターネットを使って業務の国外外注を徹底しようってなるのだから単純な賃上げは逆に若年労働者や未熟練工の仕事を奪うだけだ。

 

それでも昨日も書いたように経済成長している間は人口増加によって新しい産業や小売サービス業の規模が拡大して新たな産業の雇用を生むことが出来る。

 

ところが労働党の政策は基本的に労働者の取り分を増やすだけであり企業の経済成長や起業の促進を阻害する政策である。働けば働いただけ政府と働かない連中のみが肥え太る。誰がリスクを取ってそんなビジネスをしたいだろうか。

 

だから小売サービス業でも高い時給で文句ばかり言うレジ打ちを雇用するよりも文句も言わず24時間働き給料も要求しない自動精算機を導入して「合理化」するのだ。

 

ホテルだって昔はフロント業務は人間がやっていたが最近は自動チェックイン、自動チェックアウト精算機、更にはハウステンボスの「変なホテル」でAIを活かしたロボットスタッフ導入等、人を減らして効率的に業務を遂行する仕組みが出来始めてる。

 

単純な時給上昇、このあたりが労働党の発想の限界であろう。何せ象牙の塔に住んでる連中だ、下々の現実は分からずインターネットも使えず古い脳みそ同士がご立派な邸宅でホームパーティばかりやってるんだから世間の現実など知る由もない。

 

そんなのが身内の左巻き新聞記者の書いた捏造記事を自分に都合よく解釈して「社会派気取り」しているのだからどうしようもない。



tom_eastwind at 06:42│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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