2017年11月22日

アリとキリギリス

日本では新卒の給料が3年間毎年上昇しているとの事。へー、そうなんだ、けど全然実感ないよねってのが一般的な意見であろう。てかそれよりも大卒でも月収が20万円程度って1980年代から殆ど変わってないな。

 

1990年代から物価が下落しているからそれでも良いのだと言えばそうかもしれないけど、これじゃ貯金も出来ないぞ。1970年代なら貰った給料を貯金して夫婦共働きで30代後半には自宅が買えた。けど今の時代で普通のサラリーマンが給料だけで自宅買えるか?

 

おまけにこれから消費税も上がるし円安だと輸入製品の価格が上昇する。ガソリン等は原油価格が下がっているから良いけど、一旦世界の原油価格が上昇すれば確実に物価が上昇する。

 

更に問題は所得税ではなく実質的な税金化している健康保険とか厚生年金とか介護保険の負担が次々と増えていくって事だ。

 

2020年に向けて政府は一般サラリーマン国民から如何に薄く広く課税するかの仕組み作りをしている。そしてそれが実行されれば確実に庶民の可処分所得は減る、そしてそのうちゼロになる。

 

そうなると毎月もらう給料はすべて家賃や食費や携帯電話代に回って遊ぶお金もなくなるし貯金なんて夢のまた夢である。

 

それなのに「初任給上がったー!」と記事になるのは、政府が声を大にして訴求したいのだろう。

 

他にもアベノミクスでGDPが伸びて相対的な国家の借金が減ったと言うけど絶対的な借金額は変わらないわけで更にその借金は毎年発行する赤字国債によって毎年膨れ上がっている。

 

国の借金を減らす方法は2つある。国民から集める税金を増やすかインフレーションを起こして通貨価値を下げて実態としての借金を減らす方法である。

 

どっちになっても国民の負担が増えるわけで雀の涙ほどの給料が上がっても増税や通貨価値下落に依る物価上昇で全部食われてしまう。

 

そう考えると今の日本で一番危険なのは何も準備せずに2020年を迎えることである。

 

日本も1980年代のバブル期には誰もが「この幸せな時代が何時迄も続く、株価は上昇を続ける」と本気で思い込んでいた。

 

証券会社のボーナスは年3回とか銀行が特別賞与とかだったり、商社では「稼ぐ財務」と言う言葉が流行ったものだ。

 

「私をスキーに連れてって」が流行して国内スキー場はどこもカップルスキーヤーで賑わいお昼ごはん時になるとでっかい山小屋セルフレストランで料理を載せたトレイを掲げて目の前のテーブルでご飯を終わりそうな人の後ろに立ってた。

 

時代は確実にバブルだった。しかし多くの人はその事実に気づかず毎日を楽しく生活していた。そしてバブルが弾けた。

 

最初は1990年後半まで上昇していた株価が、少しずつ上昇が止まり翌年から少しずつ下がり始めた。それでも証券会社は「まだいける!」と考えていた。ところがそこから株価は段々下落を始めた。

 

そして不動産の総量規制が不動産市場を直撃、一気にお金の流れが止まり不動産の暴落を招く。住専が吹っ飛び長銀などが「飛ばし」を行い粉飾決算をするがそれも及ばず1997年の銀行や証券会社の倒産により完全にバブルは崩壊した。

 

1990年までに資産を形成した人々はそれでも生き残れた。ローンを払い終わった自宅、保険、貯金があればバブル崩壊に依る物価下落は逆に現金価値を高めるために生活に大きな影響は出なかった。

 

けどバブル時代を謳歌して何の資産も持たずとか「来年も給料上がるだろう」と自宅をローンで買った人には大変な時代になった。まさにアリとキリギリスである。

 

バブル期にずっと給料が上がることを前提にローンを組んでボーナス払いを入れたけど、何と給料が上がらずボーナスが支給されずでは自宅を手放すしかない。それでも日本ではローンが残るのでアパート生活で家賃を払いつつ更に残債を払うダブルパンチになった。

 

そこから始まる「失われた20年」は家族の離散を招きお父さんはブルーシート生活。

 

2017年の今は目先の景気が良いと言うがこれは一部の話であり日本全体では国民生活は上昇していない。そして問題は2020年が来れば国民生活は決定的な打撃を受けてまさに「その日暮らし」生活に突入していくのだ。

 

とにかく働かないと食っていけない、けど一生懸命働いても貯金も出来ず自宅も買えない。そんな状態が65歳まで続く。結婚もできなくなるだろう。退職金も出ない会社が増えるだろう。

 

そして65歳過ぎると更に悲惨である。老後生活に必要な資金は年金では賄えない。なので65歳過ぎても道路工事などで夜間の仕事を得て働く必要があるけど、身体が動くか?

 

3年しか残されていない。バブルの時も多くの人々はバブル崩壊の準備をせずに滅びた。3年後に向けて今何が出来るか。しっかり準備しておかないと人生後半はブルーシート生活になる。



tom_eastwind at 03:37│Comments(0) NZの不動産および起業 

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