2017年11月24日
明日の仕事、人間の仕事。
昨日の「失われる仕事」に続いて今日は少しは夢のある話を書く。
僕が子供の頃にハヤカワSF文庫に大変お世話になった。小学生の頃から文庫本をひったくるように読んでいた。
その本の中ではロボットが人間のような行動を起こしたものだ。アシモフの作品はロボット三原則などロボットの将来の在り方を実に想像力豊に描いたものだが、あれはアシモフの頭の中に観えていた未来である。
- A robot may
not injure a human, or allow a human to be injured.
・ 第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また人間が危害を受けるのを何も手を下さずに黙視していてはならない。
- A robot must
follow any order given by a human that doesn't conflict with the First
Law.
・ 第二条:ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。ただし第一条に反する命令はこの限りではない。
- A robot must
protect itself unless that would conflict with the First or Second Laws.
・ 第三条:ロボットは自らの存在を護(まも)らなくてはならない。ただし、それは第一条、第二条に違反しない場合に限る。
何故アシモフが未来を観えたのか?それはアシモフが人間を理解しているからだった。こうなったらこうなる。まるで囲碁や将棋のように先を観れば途中にどのような自然災害があろうとも人間は望む方向に進む、たとえそれがレミングの行進であっても。
そんな彼の頭の中を理解して漫画にしたのが手塚治虫だ。彼は元々医者の道を目指していたのに漫画家になったが、これは漫画界にとって素晴らしい奇貨である。
もし手塚治虫が医者になっていれば彼は日本中にいる医者の一人だったのが漫画家になることで世界に一人の人間になり世界中に夢を与えた。そしてその夢の中に将来への機械との付き合い方を明確に示した。
それが例えば「火の鳥」である。
人は何故生きるのか?平安の時代の権力抗争、火の鳥の絵をめぐる戦い、その血を飲めば永遠の生がと火の鳥を狙う人々、舞台は果てしない未来に繋がり人類が死に絶えた星で何とかロボットを人間に近づけようとする博士。
悠久の歴史をテーマにして描かれた「火の鳥」は今も小学校の頃に読んだのと同じ內容だけどその独自性と世界観は今も全く古びていない、古典音楽やビートルズが今の時代にも人々に感動を与えるように。
いつの時代も感動を与える仕事。機械が人間の仕事を奪っていると思わず機会が人間にもっと自由な生活を与えてくれて日常の些事に悩まされずもっと人間本来の時間が使えるように「助けてくれている」と考えれば自分が次に何をすべきかが観えてくると思う。
戦後の日本で洗濯機が出来て冷蔵庫が普及して炊飯器が出来た事で家庭の主婦には思い切り自由な時間が作れた。その時間をどう自分や社会の為に活かすか、それはまさに本人次第であるが、間違いなく戦後の機械化は女性の社会進出に貢献した。
それと同様にこの時代にやって来た機械化を奇貨として自分がやりたい事をやる、それも機械を利用して人間がより人間らしく生きていける世の中を作る、そう考えることで「失われる仕事」よりもたくさんの、もっと生産的な仕事を生みだしていく、僕はそう思う。