2018年02月24日

今のニュージーランドの景気

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NZ経済は10年にわたり成長しているが第二次世界大戦後のブームと比較してどうなのか?

 

過去数年ホームオーナーと株式投資家にとっては素晴らしい日々であったが給与生活をする人々にとっては生活維持が大変だった。

 

現在の経済成長は戦後3度目である。しかしその力強さだけで言えば戦後5番目である。20179月のGDP34四半期続けて上昇しておりこの間GDP25.7%上昇した。

 

しかしその成長は1950年代から1960年代のNZの黄金時代の成長には遥かに及ばない。あの当時の成長は郷愁以上の懐かしさがある。

 

1952年から58四半期続いた経済成長は合計で86.7%の経済成長を生みだした。1967年に羊毛市場が崩壊するまで。

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最近のNZ経済に関してNZヘラルド記事である。

 

この10年間でNZ経済は急激に成長した。

 

2008年のリーマンショックを国家が銀行や金融機関を100%保証する形で乗り切りその後は民間企業が成長して、

・地政学的に仮想敵国がいない。

・水力と石炭火力で電気を賄い原子力発電所を持たない。

・国策として核爆弾を持たない。

・宗教戦争がない。

・食料自給率が約300%ある。

・美しい青空と澄んだ空気がある。

・美味しいワインがある。

等の理由で北半球の人々の旅行先になり移住先になり21世紀の人気国の一つになった。

 

けれど20世紀のニュージーランドを覚えているキーウィからすれば現在の好景気も1950年代の繁栄から比較すればまだまだと言いたいところだろう。

 

現在のNZでは農業、観光、教育が国家収入を三分割している。

 

農業ではMade in NZがブランドとなり中國向けに高級農産品や酪農製品を輸出している。

 

観光ではロード・オブ・ザ・リングが大当たりして米国人の観光客を引き寄せることになり、実際にNZの景色を観て映画がCGではなく本当の景色であることに驚きそれが口伝てに広まりNZ21世紀の観光地として世界の人々を集めている。

 

教育産業は主に外国からの留学生受け入れだ。留学といえば米国や英国が主流だったが、英語を学ぶとかだけなら治安が良くて学費の安いNZとなる。

 

しかし1929年の世界大恐慌を社会主義国家として国家統制経済で切り抜けたNZはリーマンショック時と同様に北半球の大失敗の影響を大きく受けず、逆に農業大国としての地位を固めた。だからこそ人々はノスタルジアを感じるのだ。

 

1939年から1945年まで続いた第二次世界大戦で英国は大きく疲弊した。しかしNZは戦争の被害を受けず英国の食料庫として成長した、1967年に羊毛市場が崩壊するまで。

 

羊毛市場の崩壊は様々な意見があるだろうが、僕は個人的には第二次世界大戦でボロ負けしたドイツの優秀な連中が親ドイツの南米に移住して、それまでのデタラメな南米経済をドイツ式に鍛え上げて大草原で羊を飼い羊毛を北半球に売ると言うビジネスモデルを成立させた事にあると思う。

 

その後も南米はその広い大地を利用して放牧や農業で成功した。それに対してNZは南半球の小さな島国なので、それまでの公社経営では立ち行かなくなった。

 

公社経営は競合相手がいなければやっていける。しかし品質管理と言う面では話にならない。公社は腐ったキーウィーもきれいなキーウィも同じ値段で買う。だから生産者は品質管理を考えない。

 

北半球の人々からすれば同じ品質のキーウィフルーツや羊毛なら安い場所から買う。だからアルゼンチンの羊毛が売れるようになりそれまでの売り手相場が崩壊する。

 

羊毛景気が崩壊した後は食料の輸出先である英国がECに加盟してしまい食料の輸出先を失ったNZは太平洋に売る先を探してそれまでのポンド通貨をドル通貨に切り替えた。

 

しかしそれでも公社経営は変わらず悪い品質の商品を海外で売ることは出来なかった。

 

更にThink Big Projectで戦後日本のような加工貿易国家に変化しようとしたがこれも失敗。その結果として1980年には国家デフォルトを起こした。

 

そして1984年にデイビッド・ロンギ率いる労働党が政権を取りそれまでの国家統制経済から自由市場経済に舵を取り替えて現在に至る。

 

現在のNZは自分たちの国家が持つ特色が何なのかを理解している。

 

豊かな自然が育む有機栽培農業で作られた食品や酪農製品。

100PUREな自然による観光。

安全安心安価な教育。

 

21世紀のNZは先進国世界で最も遅れた国であり国防能力としては世界で最も弱い軍隊であるだろうが、世界の中では比較的住みやすく過ごしやすい国として存在する。

 

現在のNZ景気が何時まで続くか誰も分からないが、少なくともテロや犯罪の多い街で家族と一緒に生活するよりは、仕事だけは北半球で、けど家族生活は南半球でって家族が増えていくのは何となく理解出来る。



tom_eastwind at 05:59│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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