2018年03月25日

こおろぎ

昨日からコオロギの声が盛んだ。自宅のベッドで夜仕事をしているとコオロギの合唱が始まって、何だか日本の昔のようだ。

 

最近の東京でマンション住まいだとコオロギの声を聴くこともないだろうな。

 

そういえば夏のオークランドはセミが鳴く。シティのオフィスからドア2ドアで昼間なら15分で行けるんだけど、こうやってみるとオークランドはまだまだ緑の街である。

 

これは1800年代に英国から入植した人々が次々とカウリなどの自然大木を伐採して英国に送り英国で様々な形の家具になったからである。

 

山にある自然木を目先の利益のためだけに切る。

 

その時の反省を基にNZでは早い時期から自然林伐採禁止、その代わり米国カリフォルニアから導入したラジアタ松を植林して様々な木材製品を製造輸出するようになった。ラジアタ松は成長が早く加工もしやすいので現在もNZの主流木材となっている。

 

その結果としてカウリ等の歴史のある古い木は自然の中に残されるようになり北島各地で自然公園として人々に親しまれている。カウリはそれだけでなくて公園に入ると空気が変わって人に安らぎを与えてくれるようだ。多くの観光客が「ここだけ空気が違う、、、何か違う」と言われている。

 

実際にマオリ族の言い伝えだとカウリはマオリ族誕生時の神聖な役割を果たしたとのこと。高さ50m、幹の太さ16m、樹齢2000年、そんな大木が自然公園の中に堂々と立つ姿は観光名所でもある。

 

観光資源は再生資源である。木は一度切れば終わりだが観光と自然を資源としてビジネスにすれば同じネタで毎年利益が出るわけだから余程良い。

 

これだけ自然が豊かなニュージーランドは偶然に緑が守られてるわけではない。例えばNZでは自宅内にある木さえ勝手に切ってはいけない。眺望が悪いからと木を切ったらシティカウンシルが来て「もとに戻せ」とか「罰金だ!」とかになるほど、例え私有地であっても緑を大事にする。

 

1980年代初頭、僕が初めてオークランドに来た時、成田空港からオークランド空港までの飛行機がたまたま機材故障でオークランドに朝到着する予定が夜になってしまった。

 

ところが夜のオークランド市街に近づくと窓から観る市街地が、まるでビロードを敷いたようななだらかな場所にぽちぽちとあちこちに光る地元自宅の様子が何だか宝石のようだったのを今も覚えている。

 

長い時間をかけて自然と緑を大事にしてそれが現在の観光地としてのNZの価値を高めていく。

 

これからも政府は自然と緑を守るをテーマにいろんな施策を打ってくるだろう。良い事である。自然を大事にしてその自然で観光業を発達させて再生ビジネスを確立させたのだ。



tom_eastwind at 11:16│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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