2018年04月04日
好きなように食うから
博多長浜の24時間ラーメン店(元祖長浜ラーメン)は僕も30年前によく飲み終わった締めにタクシーで食べに行ってた。そこでは偏屈なおばあちゃんが若いお兄ちゃんたちをこき使いつつ、客にも平気で文句を言う。
夜1時過ぎにやって来てラーメン食べ終わった女性二人組が話し込んでると、つかつかとやってきて「あんたら、なんばしよーと?ここは喫茶店じゃなかとよ」と平気で言ってたものだ。
実際に僕も初めてこの店を仲間と行った時に丸いすに座って何を食べようかと思ってたらいきなりネギの入ったラーメンが出て来た。
「ま、まだ注文してないですけど」
「遅かとよ」
それ以来ぼくはこの店に入る前にメニューを決めて入店次第大声で「硬め!ネギなし!」と言うようにした、自分の胃袋を守るために。
そこで働いてたお兄さんがある日転職して天神のお洒落な喫茶店で店長になった。そこに二人の若い女性が入ってきてコーヒーとケーキを注文した。
食べつつ飲みつつ会話を楽しんでいる二人。手元のケーキは食べ終わりコーヒーも飲み終わったが会話は尽きない様子。すると店長がおもむろにカウンターから出て来ておしゃべりを楽しむ二人に向かって言った。
「あんたら、なんばしよーと?ここは喫茶店じゃなかとよ」
これはもちろん冗談であるがネットの発達のせいで最近は客と店の言い争いがどんどんネットで公表されて、その度に客と店の双方から様々な意見が出ている。
古くは身体障害者への対応が悪いと客が訴えて店としては「そりゃ無理だ」と言って結局は他の客からも「対応が悪いって、そりゃ言い過ぎじゃない?」ってとこで収まったり。
それとか最近は居酒屋の主人が宴会場に呼び出されて「サービスが悪い!」と殴るけるされて死亡。
勿論店に問題のある場合もあるだろうが、ニュージーランドのサービスを日頃身にしみている立場からすれば「その程度の事で問題提起したり怒って殴り殺すほうが異常じゃね?」である。
どうも日本と言う国は旅行に行くには良いが仕事をするには大変な国である。でもって単なる客に殴り殺されてはたまったものではない。
店は店で決まりを作り、客は客で自分の決まりを作る。勿論法的に店は私有地であるから客がおかしな事を言えば追い出せば良い。ところがそれが日本は客商売と言うことで何か店側が弱い。
本当は弱くも何もなくて、自分が自信のある料理を出していればちゃんとしたお客は再訪してくれる。
例え悪意のある書き込みをされてもその店の味が美味しければ客は必ず付いてくる。他店舗展開をするためにどうしても悪い評価は減らしたいと言っても、100人いれば1人は悪いことを言うものだ。
だから店側には言いたい、自分を信用して、お客様を信用しろと。
と、このあたりで客に押し付けを要求する店と店に文句をつける客と、何だかお互いに底辺同士のカス争いではないかと思うようになった。
つまり客も店も「カス同士の喧嘩」なのである。
店が自分に自信があればおかしな客には「お代はいりません、出てって下さい」でよい。ネットでどれだけ書き込みが入ろうが、料理にゴキブリが入ってたわけではないのだ、安心して客を追い出せば良い。
また客も店を訪問して不愉快な点があれば再訪しなければよいだけだ。
「味の分かる人、争いせず」なのだと思う。
客だって初めて行った寿司屋で寿司に醤油を付けるのかすでに塗っているのか、目の前に並んだ三種の調味料を、まさかクイズのように挑戦しろって話でもないわけで、そうなると当然お店のお勧めを聴く。それが美味しい。
何度か通ってそのうちに自分の好みが分かれば「大将、この前のあれ、下さい」と言えるようになり、そしたら店側の助言は不要である。
なのにそれ以降も店があーせーこーせーと言ってくると、これは流石にうざい。今日は帰ろうと思う。次は来るのは何時かな?ってなる。
これは店にとっても同様で、もし目の前の客が常連になったのなら余計な事は言わない。客の好きなものを好きな形で出す。けどもし客が「有名店で食事する自分はなんて素敵!」と思い、インスタとワインと店と個人的に付き合いしたいだけで無理を言ってくるなら断れば良い。
要するに店も客も底辺と付き合うなって事である。底辺客を相手にしたいならそういう店構えにすれば良いだけの事である。ここで言う底辺客とは遣う金額ではない。