2018年05月18日
即時対応能力
朝が寒い。11度であるからベッドから出るのが面倒くさくなるオークランドの冬の季節が来た。でもオークランドは昼頃になると10度近く温度が上がるので会社に到着する頃は少し暖かくなっている。
東京、大阪、大分、福岡と回ったが初日の東京のみ冷え込んだが後の日程は結構暖かくて良い天気だったのでやはり気温差が大きい。
そうは言ってもオークランドは南緯37度、東京とほぼおなじ緯度だけど冬に雪は降らないし夏場でもクーラーなしで過ごせる。
これはオークランドが南北に長く東西に細く、東に南太平洋の暖流、西にタスマン海の暖流が流れているため、冬場は暖流がこの街を温めてくれ、夏場はこの海の水がオークランドを冷やしてくれて過ごしやすい環境が維持されているのだ。
全く東京の人からすれば11度で文句言うなであるしクイーンズタウンの人からすれば11度は「暖かいですね」なのだから、まさに「文句言うな」ではある。
そんなこんな思いながら出社するとビルの中はすでに暖かくなり始めておりオフィスの椅子に座ると背中に当たる日光がきついくらいでシェードを下ろす。ほんとに一日の中に四季があると言われる所以である。
11日ぶりに出社したけど何が変わったわけでもなく何時もと同じようにいつものスタッフが普通に働いてる。
うちの会社は基本的に年俸制である。入社してから5年間は自動昇給するようになっている。年率5%程度の昇給率である。その代わり残業代はつかないので自分で自分の仕事をしっかり把握して効率的に時間内に終わるようにしろよってことだ。
実際にうちの会社は17:30終了で、殆どのスタッフは定時に帰るし帰れる社会環境がある。もちろん緊急案件が入り残業好きな人は残ることもあるが、土日はお客様の送迎がない限りおやすみ。
年休も一年目から4週間取得出来て実際に会社のクリスマス休暇は3週間あるのでこの時期に固めて年休を取ってもらい次はイースター休暇などに合わせて取得出来るし取得している。
勤務体系はNZの企業とほぼ同様(ただ金曜日にオフィスでビールを飲む習慣はない)だから日本と比べれば随分ゆるい労働環境であると言える。
体育会系でもなく皆が結構言いたいことを言える(もちろん限度はある、ハゲ!等は言語道断である)。
そんな事を思いつつ今朝の日本のニュースにアクセスしてみるとまたも過労死。
http://blogos.com/article/297807/
昨年8月に死亡したのは過労死であったと今年4月労災認定されたのだ。
昨年7月の本人のツイッターによると
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「ねむい。13時から翌日の18時までってなんなん」(4日12時24分)
「仕事終わるまであと22時間」(同日20時20分)
「外明るいと思ったらもう6時かよ。アーメン」(5日6時32分)
「うおー! やっとしごとおわったぁー!社会人になってから36時間ぶっ通しで働いたの初めてやがな」(6日1時20分)
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ちなみに彼は専門型裁量労働制度の適用を受けていたとの事。男性は去年8月に自宅で死んでいるを発見された。クモ膜下出血である。
こういう事があるからいくら安倍首相が「働き方改革」と言っても要するに労働者のこき使い倒しだけじゃんかとなるのである。
もちろんそれだけでなく普通これだけ残業したら本人がどうなるのか、管理職はしっかり管理していたのだろうか?第一本人もここまで無理して働く前に「辞める」と言う選択肢はなかったのだろうか?
いずれにしても、NHKでも既に死者を出しており、まずは自分から労働の仕組みを考えて社会に発信しろって話である。
実際に僕も日本社会を観ていると「実に無駄な仕事」をしている場合が多い。その理由の一つとして資料作りがある。「もしこうだったら?」を考えてすべての場面に対応出来るように準備するのだが、そんなもんいくら用意しても必ず「想定外」が起こる。
第一想定内であったとしても実際に使われるのは多くの資料のうち一つだけだ。それなら責任者が日頃から知識と知恵を身に付けておけば良いだけだ。
山ほどの資料がなくても自分で大体の回答と方向性が示せるようにして部下の「無駄な仕事」を省かせる事が必要だ。
ところが相手が自社の部下で大手企業の正社員となると、どれだけ仕事を押し付けても辞めるわけがない、だから自分の手抜きの為に「あれやれこれやれ!」となる。
それより自分が日頃から学び即時対応能力を持っていればどんな状況でも対応出来るはずである。つまり日本では上に行けば行くほど楽をしたがるバカが多いから下が苦労をする仕組みなのだ。この仕組みは1918年以降現在まで全く変わっていない。
そうそう、ちょっと話が逸れるが民主党の小西議員に喧嘩を売った自衛官が処罰されるそうだ。この事自体の良い悪いではなく国会議員たるもの国民の陳情を受けるのは当然でありその場で罵倒されて言い返せなかったのか、これが即時対応能力のなさである。
その場で言われたら国会議員として論点整理して反論するか納得するかである。更にそれが明らかな暴言であれば「それは論点ではないですね、暴言ですね」と返せばよい。そういう能力もなく国会野党として下らんことをタラタラとやってるから自衛官にもバカにされるわけだ。
日本の組織を観ていると二流社員が二流上司に引っ張られて昇進する傾向がある。何故なら二流上司は一流社員が昇進すると自分のポストが奪われるから一流社員は出世させないか早いうちに外に出してしまう。結局組織の真ん中に残ったのは即時対応能力のない二流社員のみになり大企業でさえ崩壊してしまう。
話を戻すとこの「労災認定」は専門型最良制度だけでなく他にも様々な要素が含まれており、その中でも一番大きいのは労働者自身が「自分だけ生き残れば良い」と思っていることだろう。
大企業の社長でも多くは元労働者、現役サラリーマンであり、自分が上に行く過程で周囲の社員と共同して皆が同時に成長出来る良い労働環境を作り決して落ちこぼれを出さない、そういう環境構築が必要だと思う。
誰しも得意技や苦手なことがある。自分がリーダーであれば部下の出来ない点を突くのではなく、部下の得意な点を早く見出して適材適所の業務を与えて皆で一緒に成長していくことだ。
足の引っ張りあいではなく皆で一緒に成長していく。これが出来れば過労死は減るだろうが今の日本の労働環境では、これから過労死はますます増えていく。