2018年05月24日

視野狭窄




「かぼちゃの馬車」破綻を受けてスルガ銀行が相当ヤバイ。

http://biz-journal.jp/2018/05/post_23419_2.html

 

金融庁に追い込まれて去年まで地銀のヒーローだったのが今では金融庁から総攻撃である。

 

詳細はウェブで検索すれば出てくるが、一体なぜこのようなビジネスモデルがまかり通ったのかである。

 

まず銀行融資を受けていた人はそれなりの年収があり優良企業で勤務していたわけで、普通に考えれば「あり得ん」と分かるだろう。

 

またスルガ銀行からすればビジネスモデルを見れば到底貸せるわけがないことはプロの銀行員なら一発で分かる。

 

それでもこの図式が成り立ったのは、今丁度オーム真理教を小説化した「カルマ真仙教事件」の中で教団信者に対して警察幹部が呟いた言葉「エリート揃いらしいけど、皆おそらく視野狭窄でまわりが見えなくなるタイプなんだろうね」

「彼らはサリンやパソコンやらを作ってしまう頭脳を持ちながら、子供でも首を傾げるようなデタラメな教義を馬鹿真面目に実践しているんです」が分かりやすかった。

 

「かぼちゃの馬車」は最近のシェアハウス増加と言う噂を聴いた一般サラリーマン、特に東京の本社が大企業で給料は良いけど将来年金がないからどうしようと考えている30代から40代の人々にまるで福音のように聴こえた。

 

優秀な大学を出て優良企業で仕事をしているのに何故このビジネスモデルの問題に気づかなかったのか?そこがまさに視野狭窄、どんなに頭が良くても全方位に意識を払っていない証拠である。

 

これはFXで失敗する人、今年のビットコインFXで大損した人、彼らに共通する問題点である。周りがやってるから大丈夫なんて、完全に理性の向こう側である。

 

次にスルガ銀行であるが、彼らは実はお金を借りる人の担保はそれほど重きを置いていない。借りる人の属性を評価して貸すのだ。だから大手企業で働いて家族があって両親もしっかりしているようなら遠慮なく貸す。

 

何故なら属性の高い人は社会的地位を非常に気にする。自己破産なんて恥ずかしくてできない、だからシェアハウスビジネスが上手くいこうといくまいと、取り立てに問題がなければ貸すのである。

 

ここが今回の大きな問題点であったが、そこはカボチャの馬車を売り込む部隊が上手く話して「いやー、スルガ銀行さんが融資してくれるんだから、間違いないですよ!」と説明する。

 

すると借り手は「そうか、スルガ銀行が融資する案件なら間違いない」と思い込むが銀行が貸すのは借り手本人でありかぼちゃが壊れても御本人の給料でしっかり払ってもらいますよだったのである。

 

つまり借り手の美しき誤解をかぼちゃが逆用してスルガ銀行もそれに乗っかって高い利益率で金融庁からお褒めの言葉を頂いたのだ。そして最後に残るのは借り手の山のような借金。

 

しかし自分のメンツがあるから何とか返済しようとなるが、さすが優秀な大学を出て一流企業で勤めているだけに一旦冷静になって計算すると、どうやっても返せない、または一生銀行の奴隷。最後は退職金巻き上げられる事に気づく。

 

だから最初の時点でかぼちゃのビジネスモデルを自分の頭で分析していたら引っかかることもなかった案件である。この点がオウム真理教に引っかかった優秀な大学卒業者と同様に、賢いけど視野狭窄である。

 

今後スルガ銀行が債権放棄をするのか、他行と合併するのか、金融庁の判断次第である。金融庁だって去年までは手放しで褒めてた銀行であるから頭の痛いところであろう。

 

どれだけ頭が良くても、誰もが視野狭窄に陥れば終わりと言う好例である。



tom_eastwind at 15:14│Comments(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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