2007年07月
2007年07月31日
参議院選挙終了
選挙の間だから書かなかったのではなく、東京から名古屋、大阪、神戸、福岡、そしてオークランドに到着するまでの間が、かなり濃度の高い仕事だったので、途中から仕事に神経振り向けてしまった。
今回は、実は移動中も含めて、文庫本をたったの一冊も読んでない。これは僕としてはここ5年、ありえないざーいなばうあーの世界である。
本daisukiな自分だが、とにかく出発前からの忙しさと、出張先の色んなことがあってで、本に向かっても、文字が目に入らない。
なので、どうせならと思い、ガンガンと週刊誌を買い込み、右はさぴおから左はあえらまで、とにかく駅に着くたびに買い込んで、せっせと読んだ。
ついでに、買い込んだビデオも全然見ず、民間放送やNHKを、あふぉになった気分でじっと見てた。
それにしても選挙。これで政局が混迷する。それが日本にとって、どうすれば利益になるか?
ならんだろうな、ただ一点を除いて。
それは、日本の為替が下がることで、更に円安が進み、輸出系大企業の利益が膨らむという事だ。
今日のNZドルは、ここ数ヶ月ぶりに思いっきり値を落としている。93円とか出てる。それも長いことではないだろう。
景気ってのは、事実がどうかではなく皆がどう思うかで左右される。そしてここ1年近く、富裕層から出てくる言葉は、全く揺るがないままである。
日本国民が破産に追い込まれ、「民敗れて国家あり」の社会が実現するだろうって事だ。
そして日本でテレビを見ながら、今一番怖いことは為替ではなく、やっぱり北朝鮮だと感じた。
米国と北朝鮮が仲良くする背景は米国の国内事情だが、その結果在韓米軍の撤退が決まって米軍がこの地域からいなくなれば、朝鮮戦争の再来だ。
まず韓国は北朝鮮と仲良くするだろう。そして北朝鮮は、そよ風のような韓国に向かって、北風のように次々に支援を要求し、韓国民の中に共産党を作らせ、北と併合させるだろう。最後の手段が陸軍による実力行使。
大体、戦後に領土分割されて、占領軍がその後放置した場合、国内戦争が起っている。コソボ、セビリア、古くはベトナム、もっと遡れば、いくらでも例はある。
好き勝手にやって放り出した米国の責任とは言え、距離的に一番近いところにいる日本は、この戦争に巻き込まれる。米国が何かの支援をしない限り、5年以内に朝鮮半島を舞台として「何か」が始まる。
ほんと、歴史は繰り返すんだけど、歴史に興味がない人は「まさか〜」で終わりだよね。
他にもある。日本は地震銀座である。原発がなければどうするんだ、メルトダウンが起っても受け入れるのか、それとも原発自体を廃棄して他の手段を探す為の苦労を受け入れるのか、そう信を問う政治家はいないものか。
食糧危機も怖い。日本の食料自給率は40%。日本が輸入している食糧のうち、米国と中国がそれぞれ20%づつを占めている。
エネルギーも同じこと。
全く、歴史的に見てこれだけ危機に囲まれていながら、のんびりと「中国の食料は〜」とか「原発は怖い!」とか言ってる番組を見ると、その想像力のなさに、TwelveYOを思い出してしまった。TVって、どこまでいってもバカの塊だな〜、マスゴミと笑われるのも、よく分かるような気がした。
2007年07月20日
とてつもない日本
昨日は新幹線での移動日。東京まで6時間かかるが、せまっ苦しい飛行機に押し込まれての短時間の移動よりはずっと好きである。
のぞみは座席も広く、足元にはパソコンや携帯電話用の電源もあり、新幹線の旅は随分便利になったものだ。
食堂車があればもっと良いのだが、車内販売に自動販売機があるので、飲食には困らない。
今日は麻生太郎の「とてつもない日本」を読む。安倍首相の「美しい日本」と比較しながら読んでしまうのは仕方のない事。
安倍さん、あんな本、出さないほうが良かったのでは?と思わせるほど「美しい日本」は内容に具体性が乏しかったのだが、麻生太郎の方は、その辺をちゃんと計算して作ったんだろう、具体的な話が多く、数字や統計できちんと底支えしている。
靖国、北朝鮮、格差、ニート、高齢化などの問題を一つづつ取り上げて、彼の意見を述べている。内容的にはそれほど目新しくもなく、まあ麻生さんならこういうだろうなって意見だ。
靖国は国内問題、よその国が議論すること事態がおかしいと、いつもの麻生さんらしい、YesとNoをきっちり発言する性格が良く出てる。
ニートも一つの価値観、正規就職の労働だけがすべての価値であるなんてのは、大人の押し付けにしか過ぎない。いつの時代も新しい価値観があるべきだし、他人を認めるべきだ。
格差も、きっちりとページを割いて説明している。格差って何だ?平等は機会(入り口)と結果(出口)の両方必要なのか?
もうちょっと論理的に書けるんだろうけど、あえて簡単に地方のタクシーの例を持ち出して説明している。素人さん向けの入門書って感じに仕上げている。
米国におんぶされながら軍事よりも経済を優先させた歴史を否定もせずに、でもこれからはアジアの時代、そして日本はその中でリーダーシップを取れると、様々な実例を出しながら説明している。
イラク、東欧で日本が行った活動を例にあげながら、マスコミのバカさ加減を笑いものにして、「マスコミは大事なことは言わずに、悪い点ばかり取り上げる」と注文をつけている。
最後に、「民主主義」という価値観を持っている日本の良さを、江戸時代から続く伝統であり、日本人がこれから海外に輸出していくべき、大事な価値観だとまとめている。
裏を返せば、米国が進めている民主主義ってのは、米国が儲かるためだけの武器を使わない戦略だが、日本の民主主義はそうではない、本当に相手の国を良くする為の価値観なんだと訴えてる。賛成だ。
ただ、全体的に物足りない。もっと書けば良いのにと思うが、これから首相を目指すのであれば、あまり文章を書いて自分の手足を縛るような事も出来ないのだろう。
軽く読めるし、自民党の基本的な考え方の一つとして理解しておくと良いかも。
2007年07月19日
シャッター街
地方の駅前、昼間の商店街を歩いてみると、猫と店番のおばあちゃんしかいない。観光客さえも、昼間は街に出てくることもない。
閉まった錆びてよれよれのシャッターに、手書きの紙で「ここに自転車を停めないで」と貼ってる。だが今はもう、自転車をとめる人さえいない。
その横には不動産会社が数ヶ月も前から貼り付けている「貸し店舗」の看板が、埃をかぶってぶら下がっている。
「そうかえ、やっぱり福岡とかいいんやな〜、給料もずっと高いんやな〜」と、20歳代の女の子たちが口々に話す。
「こんな街じゃ、買い物いくにしても1時間で町全部見れるけん、何もおもしろないな。やっぱり買い物とかやったら、福岡やね〜」
だったら福岡で働けばいいじゃんか、そう振っても「いやや、やっぱり怖いしな〜」などと、笑ってはぐらかされる。
彼女たちからすれば、生まれ育った街がすべてであり、唯一安心して住めるところなのだろう。東京に出て行っても、いずれ地方に戻ることになる。だったら最初から、大した仕事もないけど、子供の頃から安心して住んでるこの街がいいやって事になるのだろう。
夢や大志がある若者は、都会に出て行く。どんな生活が待ち受けているかは分からないけど、何か出来るだろう、そう思って都会に向かう。
地方に残る若者は、基本的に保守派だ。ある程度親の蓄えもあるし、給料が安いと言っても、家賃などの生活費も安い。
日本の人口が都会に集中し、そこで大きな力を作って世界に進出していった。その結果として地方との格差が発生した。地方に残る人は、自分で判断して残ったのだろう。ただ、消極的な結果として残ったのであり、そのような人たちが集まっても、積極的な町興しなどの案は出ない。
「お客さんはいいな〜、あっちこっち行けて、楽しかろーね」
地方の活性化として財源移譲が進んでいる。これからは政府は地方財政の面倒は見ない、自分で頑張れよ、そうやってバトンを渡された自治体だが、住民税をたくさん取っても、ちゃんとした使い道を理解出来て、更に実行できるだけの人材がいない街はどうなるのか?
目先の安定を求めて「動かない」ことを選択した人たちは、動かない事のリスクに、これから正面から立ち向かわなければいけない。
2007年07月18日
参院選挙真っ盛り
今日偶然、安倍首相の街頭演説を見る。
何となしに立ち寄った街で、昔デパートがあった跡地を何となく見てたら、「本日15:30より安倍首相の街頭演説会があります!」だって。
面白いから見てみようと思い、近くの駅で缶入りのジュースとアイスクリームを買って時間つぶししていると、今度はこの駅に続々と私服警察やSPが出現。
どうも電車に乗ってやってくるようだ。そうこうするうちに人波も増えて、「はいはい、この線からはいっちゃいけね〜よ」ってな感じの私服警察が、行列の整理を始める。
そして安倍さんが、駅のホームからSPや秘書連中を連れて、どやどやと降りてくる。そのまま駅前の会場まで行くのかと思ったら、何と行列の皆さん一人ひとりに握手をして挨拶しだした。
結構真剣な顔で皆の話を聞いてて、おざなりの挨拶とはちょい違うなって感じ。
血色も悪くなく、赤城大臣みたいな親父にぶん殴られたような傷もない。
街頭演説でも、他の候補者よりよほどしっかりした声で、年金問題を大声で主張してた。
「10年前からの問題だし、」俺には関係ないと言いたそうだ。
「社会保険庁の組合が手抜きで無責任だ」悪いのは組合だ、俺たちは国民の側だって言ってる。
「JRが国鉄から民営化した時、野党はみいんな反対してたじゃないか!」その頃、民主党はなかったような気がするが?
「JRは今や素晴らしいサービスを提供しており〜」確かにその通り、民営化する際に当時一番大きくて抵抗の強かった国労を徹底的に差別して、JRに入社出来ないようにしたもんね。
「結局悪いのは組合なんです、そしてその組合の票が支えているのが民主党なんです!」おいおい、社民党も一応野党なんだけど、彼らを非難しなくてもいいんかい。今回は無視ですか。
年金問題で政府は急に国民向けのサービスをばしばし出し始めたけど、選挙対策としては当然だろう。ついでに選挙対策として、抜本的に国民の為のサービスをどんどん出していけば、自民党も国民の与党として票が取れるだろうに。
いずれにしても小泉時代に組織票を次々と排除していき、国民と直接対話を行う事で票集めをした自民党、今更組織票を取り戻すのは難しいし、そんな事やれば、またも古い自民党=総論賛成各論反対、全体よりおらが村の利益優先になってしまう。
選挙戦も半ば、これからは暑い夏が続きそうだ。
2007年07月17日
2007年07月13日
不動産
今日は一日、不動産の件で走り回った。
午前中は既存不動産の管理について打ち合わせ。
13:00丁度であるアパートメントの物件を購入のために、お客様と一緒に売主と会って現物を見る。
オーナーはアジア人で、物件も悪くない。
そのお客様は日本から来ており、短期で購入を考えていたので時間が全くない。
なので、無駄な駆け引きなしにやりたい、その事を告げた上で、その場で言われた料金を一切値切らずにOKとした。場で値段を決めて契約書作成となった。
オーナーは実にうれしそうに、「あたしゃ日本人daisuki!おはよ、こんにちあわ!」みたいに話しかける。13:30
いつお願いしても笑顔で働いてくれる韓国系弁護士のエレナのところに書類を持っていき、内容を確認、約10分で契約書を作成して、早速相手の弁護士にファックスしたのが14:00。
ところが契約書を作成した後になって、急にオーナーがずるそうな声で「あのね、他の人からもオファーがあってさ、もうちょっと値段上げてもらわないと売れないよ」と言い出したのが15:00。
他にも何だかかんだかと、決めた後にいろいろ言ってくるので、お客様はソッコーキッパリ「いらない。もう話しない」となったのが15:20。
するとオーナーは手のひらを返したように、おたおたしながら「いや、その金額は私じゃなくて親戚が決めた金額で、だから私もよくわからないくてetcetc」遅いっちゅうに。
「いや、貴方は私に嘘をついた。一度口からでた言葉をひっこめるんじゃない。もう貴方とは取引しない」
「ごめんごめん、すぐに元の価格に戻すから、考え直してetcetc」
「いやいや、そんな問題じゃない、信義の問題だから、今回はNOだ」彼らは、そんな交渉ばかりやって無駄な時間を過ごしてきたのかな。信義ってのを理解しないまま、この年齢まで来たのかな。
そうやって電話を切ったのが16:00.
お客様と別件で打ち合わせしている時に再度ファックスが来て、元に戻った金額の契約書が来たが、その場でお客様と目を見合わせ、NOと決めたのが16:30
オーナーに再度電話して、はっきりと「NO」といったのが16:45。
その後、税理士の件で打ち合わせをしながら、お客様が「いや、実はね、xxxxx」という話になる。毎回、良く聞く話だ。
どうしてこの街の日本人は、人の足を引っ張るのが好きなんだろ、て〜か、日本人なのに、ビジネスの信用というものが全く理解出来ず、次々とお客様の信頼を失う人々。
結局今回は契約が成立せず、エレナに契約書を作ってもらった分は、うちの負担だ。しゃあないな。エレナに電話をしたのが17:00。
「エレナ、今日はありがと。請求書送ってね。でもって、今回の契約は破棄だ。」
「え!そうなの!・・・そっか、まあいいや、じゃあ今日は私もフリーにしておくわ」だって。彼女は韓国系キーウィ。
すべてが終了したのが17:10。
まだ少し痛む右手で、オークランド最後のブログを書いている。
今日は、日本人の気持ちよい性格、アジア人のずるい性格、移住した後に日本人でなくなった人の性格、そして一番最後に、とってもうれしいお隣の国出身者からの心温まるギフトと、人生って楽しいねって思ったのが17:30。
明日の飛行機で香港経由日本。来週は日本が舞台。
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2007年07月12日
公聴会
昨日は夜の6時から公聴会。
山水の入ってるスタンフォードプラザホテルが現在工事中で、ビルのてっぺんにクレーンが張り出しているのだが、今度はシティカウンシルが、山水前の道路を根こそぎ剥がして、新しい敷石を使った綺麗な道にしようとしているのだ。
世界レベルの立派な歩道を作り、観光客に買い物や散策を楽しんでもらうのが趣旨である。
儲かっているから出来る芸当ではあるが、全部の工事が終了するには、後1年くらいかかるらしい。
クイーンストリートがある程度目処がついたので、次々に枝道のUpGradeにかかっていく。そのうちの一本が8月から工事予定の、山水の前の道、約100メートルだ。
今日の会議の趣旨は、沿道の商店やレストランの関係者に集まってもらい、それぞれの立場から今回の計画をどう思うか、また、工事の時間や曜日を調整すること。
関係者のお店は全部で20軒近くあるのだが、参加したのはスタンフォードホテルの総支配人を含む7人くらい。あれれ、結構少ないな。
工事が始まれば当然売り上げに影響が出るわけだが、他のお店の人は、あんまり興味がないのか?
市役所の建設課の司会でテーマは進む。写真と設計図を次々とプロジェクターで映し出しながら、みんなが「うちの店はこうだ!」とか「うちの客が減るから工事は朝4時からやれ、どうせ居住者の居ない地域じゃんか」とか、あ〜でもないこ〜でもないとしゃべってる。
う〜ん、段々眠くなってきた。夕方だし、どうせ決まったようなものを微調整しても、たいした違いないじゃんと思うのだが、白人の考え方なのか、結構細かいところで、工事開始の時間を7時じゃなくて7時30分にしろとか、騒音値はどれくらいかとか、色々と聞いてる。
自分の性格の問題か知らんが、大雑把なところが決まれば、後は工事しやすいように工事の人に任せればよい、それが結果的に早く工事を終わらせることになるんだからと思った。
そんな時、「tom、どう思う?」と、スタンフォードの総支配人から聞かれたもんだから、つい、「どっちでもいいよ、あんまり影響でないしね」と思わず本音でぼろっと言うと、このおっちゃん、まじな顔で「おいおい、影響あるんだよ」と返された。
う〜ん、それは分かるよ。でもな〜、全体の効率を考えれば、個人の贅沢はある程度抑えるべきじゃないのって思った今日この頃、やっぱり僕は日本人かも。
写真はスタンフォードホテルの工事中写真
2007年07月11日
お天気爆弾、オークランドを直撃!
月曜日の朝は6時に起きて、空港へ。8時15分に到着するお客様を迎えに行く。
朝6時に起きた、とは言っても雨の音で目が覚めたようなもので、軽くうどんを食べて車を駐車場から出すと、そこは滝。
いやいや、凄まじいなとか思って空港に向かうが、普段はラッシュでも30分でシティまでいけるのに、ラッシュ(朝7時ですよ!)にぶつかって、結局1時間近くかかってしまった。
途中でスタッフを拾って空港へ向かう。気温は15度くらいだけど、雨脚がすごく、横殴りの雨だ。
お客様を車に乗せてシティに戻り、今回の視察目的である「レストラン開業」に関する話をする。会社の作り方、契約、レストラン市場、平均売り上げ、家賃、利益などを、色んな店を例に取りながら説明する。
お昼ごはんは行きつけの「写楽」で、外国人がどのようにお昼ご飯で日本食を食べているか、見てもらう。
「ほう、ビジネスマンが昼間から酒を飲むのは、普通なんですか?」
「ビジネスランチの場合は日本の夜の商談とほぼ同じ意味を持ちます。普段はテイクアウェイを買ってオフィスに持ち込んで15分でランチを済ませますが、ビジネスランチの場合は大体2時間程度かけますね」
その頃はニュースで、「この雨と風は、夕方から夜にかけて激しくなります」と言ってた。
夕方、何とかオフィスの仕事を終わらせて帰路に着く。4時半ごろにシティから車を出すと、そこは激風。ネルソンストリートを歩く人々の傘は次々とひっくり返り飛ばされ、横殴りの雨は、風に向かって傘を90度に向けている人を直撃し、傘がまるでキャンディと棒のようになる。
ハーバーブリッジに近づくにつれ、益々風が強くなる。右側から吹き込んでくる風は、時速30km程度で走る僕の車さえも掬い上げるように、車体の下に入り込んでくる。
夕方5時過ぎにハーバーブリッジを渡り終わった時は、正直ほっとする感じ。この国、こういう建築関連は弱いからな〜。
スカイタワーを見てても、今日は正直やばいんじゃないのって思うくらいの風。(案の定、閉鎖してました)
自宅に戻って真っ先にロウソクとライターの準備をしてシャワーをする。今年になってすでに3回停電しているし、今朝はすでにノースショアの他の地区が3つほど停電してたから、備えておくのだ。
そうこうしているうちに、夜7時のニュースで、ついにハーバーブリッジがウェザーボムによって走行制限された(らしい)との報道が入る。時速140kmの強風に耐えられなくなったのは、橋か車か?
高速道路に入った車の最後の行列なのだろう、ノースショアに向けて亀さんのようにのろのろと赤いランプを点けて走る車が映し出されてた。
とりあえず橋が落ちても、車がなければ人は死なないから大丈夫。でも、明日は会社に行けるのか?
家の前にある樹齢50年以上の木が、ものすごい風で幹の部分からぐにゅ〜って曲がってる。
こういう点を見ると、日本の都会の方が災害に強いな。日本は元々、地震、雷、火事、津波などの各種自然災害の博覧会みたいな国だから、備えはすごい。それに比べると、ニュージーランドは今まで何度もこんなことが起こっているけど、防災にはあまりお金をかけているとは思えない。
壊れたの?あ、そう、じゃあ修理するねって感じ。なんか、予防よりも後処理、人には金かけるけど、道路や橋の安全には、あんまり興味がないのかと思ったりするけど、間違いなく日本とは発想が違う。道路が陥没して誰かの車が沈んだとしても、道路管理者には責任はない、それがこちらの基本的な考え方。
今朝のTV1ニュースでは、オークランドでどれくらい停電が発生したか、テレビで賑やかにやってた。何となくだが、皆様大変でした〜と言うより、「いや、昨日はすごかったね!」的と感じたのは僕だけか。
オーストラリアのジョークに、こんなのがある。
シドニー在住のビジネスマンがオークランドに来た。
Sydney Man : Still there 「まだあるよ」
たぶん、明日シドニーから来るビジネスマンはキーウィに楽しそうに聞くだろうな。
Sydney Man : Hey, How is
今日も朝10時から19時過ぎまで面談と会議が7個だ。室内なので、停電さえしなければ、まだまだ仕事はやれるぞ。
2007年07月10日
痛風その2
早速という訳ではないが、禁酒初夜は痛風のサイトを検索する。
GOUTという病気は、元々欧州やアジアの貴族などがかかってた贅沢病で、日本で目立つようになったのは1960年代以降で、現在は50万人程度の病人がいる。
男性が99%近くを占める病気である。
足の親指の関節に、ある日突然、万力で締め付けられるような激痛を感じる。ニュージーランドでは痛みの大様=The king of Pain と言われる所以である。
病気の原因は普通の人間の体内にあるプリン体。
プリン体が尿酸となるのだが、この尿酸が血液中に増えすぎると、ナトリウムと塩の結晶(クリスタル!このことか〜)となり、この針状の結晶が関節に沈着する。そこで関節を針で刺すように攻撃するのだが、この時白血球が防御に回る。
この時の戦いと、針ちくちくと、最後には白血球が負けて、またも針が関節をちくちくするのが激痛の原因である。ふむふむ、なるほど。
このプリン体が含まれる料理や飲み物を大量に摂取するからやばい。つまり暴飲暴食。
それに、ビールはプリン体を、他のアルコールの数倍以上含んでいるから、ビールの飲みすぎは命取り。ちなみに蒸留酒、ウイスキーは殆ど含まれておらず、焼酎はゼロだ。
そして定番のタバコ、ストレス、運動不足、こんなのが重なって、プリン体を排泄(排尿)する力がなくなって発病する。
なるほど、だからニュージーランドの病院で貰ったパンフレットには、痛風はニュージーランドの中年にはごく普通の病気くらいに書いてるのか。
でも、ちょっと待て。僕は、間違っても暴飲暴食はしない。食事は小鳥の餌くらいで、スキーなどの運動をした後以外は、食事量はとても少ない。ダイエット中の16歳の少女並みだ。
でもって、炭酸飲料は殆ど飲まず、お茶、水、ウーロン茶が殆どだ。だから、常に水分を吸収してトイレにもしょっちゅう行ってる。
タバコは勿論吸わない。運動は好きだし、よく歩く。ストレス?どっかにあるはずなのだが、最近すっかりご無沙汰。
おまけに痛くなったのが右手首で、痛いと言っても「風が吹いただけで痛い」わけではない。触らなければ大丈夫だし、今日は続けて2件ブログを書いているから、推して知るべしだ。
てーことは、アルコール以外は至って健康的な生活をしている僕が、それでも今回の痛風を起こしたのは、やっぱりウイスキーしかないな〜。
確かにここ3〜4ヶ月、体が無茶苦茶調子良くて、体重管理、健康管理、精神管理などなど、すべてにバランスが取れているから、お酒を飲んでも、自宅で飲むときはボトルの半分くらいはすぐに呑んでしまう。
それに自宅で飲むと、殆ど酔わない。最近は奥さんとも「何だか俺、飲む量増えたよね〜、その割りに酔わないよね〜」と話してたばかりだった。
要するに、いかにウイスキーがプリン体少なくても、アルコール自体がプリンの生育を進める効果があり、どれほど健康的でも、さすがに毎晩のアルコールが限度を越すと、神様も警告!てな事ですね。
痛風は足に出るはずが、僕の場合は珍しく右手首の関節でしょ。
これって、僕が右利きで、この手を使って水割りをがんがん作ってるから、やはり神様の警告ですな。あんまり調子に乗るんじゃないよって。
ところで痛風、これは広東語では「とんふぉん」と発音する。うちの会社はイーストウィンド、東の風で、やっぱり広東語では「とんふぉん」に非常に近い発音になる。とんふぉんの社長がとんふぉんになってりゃ世話ないね。
禁酒初夜、たまには早く寝よう。
2007年07月09日
採血!
日曜の昼過ぎから、右手首が痛くなった。関節がうまく曲がらずに、どうもこりゃ、昨日の夜、竜馬君と寝てた時に蹴られたのかと思った。
打ち身ならそのうち、って思ってたら、月曜日の朝になって、ついにYシャツのボタンを留めるのも一苦労。何とか車を運転してシティに出てきて、当社の医療部門に行く。
キーメドは5階建ての立派な建物だが、うえの2フロアは何故か今も入居なし。
賑やかな外来で、うちの看護師に付き添ってもらいお医者さんに見てもらうと、先生いわく、どうも打ち身じゃないねってこと。
じゃあ何なのよ?と聞くと、Goutって、聞いたことのない単語が出てきた。
体内で作られたCrystalが関節に集まり、炎症を起こしているみたいな事を言ってるが、クリスタルって、俺の体の中に水晶があるんかい?この時点でほぼ先生の言う事は信じてなかった。
その後診断書を貰い、ここは私立病院なので、診察費用60ドルを払って、ノースショアホスピタルに行く。
紹介された先はEmergency!で、単なる打ち身ではないような雰囲気で、先生がいきなり
「今から君の手首の関節にぶっとい注射をして、内容物吸い出してマイクロスコープで見るね」と、いきなり袖まくり。
あたた、本気かよって思ってたら、注射器が2個。一つは局部麻酔で、最初にこれを打つのだが、何と打ち込んだまま、針をぐるぐると回し始めた!
そして1分ほどすると、関節の部分が痺れてきて、そこに、本当にぶっとい注射器を突っ込む。もう、殆ど手首を貫通するんじゃないかってくらい、針がどんどん体内に入っていく!
このぶっとい針も、またもぐるぐると回して、あっちこっちからサンプルを取っているんだろう、やりたい放題にやられてしまった。
あまりの急な事態にびっくりしていると、今度は反対側の腕を出せという。
おいおい、もう注射したじゃん、右手首が痛いのに、左手になんで注射するのよ?って聞くと、もしかして感染症もあるかもしれないから、血液検査もするんだって。
でもってこれが、最初は手の甲の静脈に針を入れようとするのだが、2回やって、両方とも失敗。
ごめんねと謝る先生は、訓練生医師(Trainee)です。まあ、医者も最初からプロじゃないし、人体実験も必要だモンねと思い、「うん、大丈夫」とは言ったものの、何度も謝る先生、反省の意識はありですね。
流石に3発目を失敗するのは怖かったのだろう、ベテランの先生がやってきて、二の腕のところに管をさす。この先生はすらすらと刺してくれた、、ぐいぐいと血を抜き取る。そして更に一本、よっしゃ終わったって思っても、てゆ〜か、針、付けっぱなし?
聞くと、これはプラスチックの針で、ぐにゅぐにゅ曲がるから折れることはない、安心しなさいって。
いやいや、そうじゃなくて何で採血した後も刺しているのと聞くと、後でまた必要になるかもしれないし、その時痛い思いをするくらいなら、刺したままのほうが楽でしょだって。
そんなもんかな、メディケアのスタッフさんと思いながら、結局この針は、それから約4時間、退院のすれすれまで刺さりっぱなし。
でもって、次はレントゲン。骨折の可能性もあるからとレントゲン室に行くと、そこで針を刺したままの状態で30分ほど一人で待つ。
待合室で遊んでた韓国のちっちゃな兄妹が、時々こっちを覗き込んでた。
レントゲンを撮ってる最中も針はそのまま。
結局、Goutと感染症と骨折の3つの方面から調べられた僕は、かなりノースショアホスピタルで学ぶ先生たちの材料になったようだ。そういえば、僕を見てくれた先生、一人だけ40台で、後は全部20台後半くらい。
Reviewって言う、診断結果が、最初の針から始まって4時間半後に出てきた。
やぱりGout!だって。それって何よって感じだが、メディケアのメンバーから「それは通風です」って言われて、ちょいとびくり。
あれはりゅうまちみたいなもんだよね、一応運動しているし、そんなオオメシ喰らいでもないし、なんて思ってたら、医者も血液結果などを見ながら、不思議そうな顔をする・・・・、「あ、分かった!君、お酒を飲むだろう、それもかなり!」
ぴんぽ〜ん!日曜の晩なんて、一晩でボトル半分以上飲みました。
それが原因ですね、医者はそういって、僕の診断書の横に手書きで「へびーあるこーるどりんかー」と、しっかり書き込んでいた。今も手元にあるが、医者としても原因が明確になったので、安心してた顔で処方箋を書いてくれた。
とき既に16:30、病院は公立なので、これだけ診断してくれても無料、約6時間近い無料院内視察ツアーだった。
実際に費用を計算すれば、これだけ先生がついてくれて、レントゲン、血液検査、マイクロスコープなど、合計で2千ドルは下らないだろうな、たぶんもっとかも。
公立でも病気は有料のはずだが、今回はよく分からないまま、お金を払わなかった。Emergencyだから、ACC扱いって事らしい。
道路向かいの薬局に行き、処方箋を出して薬をもらう。3日分で60ドル。これでも永住権があるから安いそうだ。コミュニティカードがあれば、もっと安くなるが、僕は持っていない。
来週から日本出張なので、少なくとも今週は禁酒だな。
さて、通風の勉強をしよっと。
2007年07月08日
新移民パーティ
土曜日は昼過ぎから山水で、当社の移住会員の中でも、比較的最近に入国された若いご家族に集まっていただいた。
生まれて6ヶ月目の子供も入れて約20名。普通ならバーベキューなのだが、今の時期は雨が多いので、山水の寿司刺身パーティとなった。案の定、土曜日の午後も雨だった。
立食形式で開始したパーティでは、皆さん自己紹介をして頂き、その後は歓談。年が近いとか職種が同じとかで、皆さん共通の話題があり、盛り上がって頂いた。
すでに永住権を取得した方も、これから申請する方も、これから英語の勉強から入る方もいらっしゃるが、今回のパーティの目的は、自分の目指す方向に、同じような考えの方がたくさんいらっしゃるという事を理解してもらうこと。
ニュージーランドが田舎で人口が少ないと言っても、日本から来る移住者の数は、もっと劇的に少ない。そんな中では、同じような環境の方に会うことは難しい。
同時に、普通にワーホリで来てる人と英語学校で移住の話をしてもとんちんかんだし、「何となくずるずる永住組」と話していても、将来は不安になるばかりだ。
何となくな人々は、大体自分のネガを他人に植え付けようとする。
「そんな良いことばかりじゃないよ、いやな事ばっかり〜」みたいな、NZのネガだけを植え込む。
ネガな部分があるのは事実だし、それは僕も常に説明している。ブログにも書いている。が、その部分だけを感情的に自分の経験を交えて話をされると、誰だって不安になる。
勿論良い面ばかりじゃないのは事実。ただそれを、両面ともに理解してもらい、それでどちらを選ぶかというのが、お客様の選ぶべき道。
冷静で中立な情報を提供するのが僕の仕事だ。出来ないことは出来ない、でも人が夢を見ることは大事だと思う。
どうせ移住なんて出来ないよ、来たってろくなことないし・・・、そんな諦めきった人生の、一体どこが楽しいんだ。
少なくとも今、何となく永住権が取れて何となくこの国で住んで、努力も勉強も何もせずに、この国がどうのこうの、日本だったらどうのこうのという人たちは、早いとこ日本に帰ってサラリーマンをすればよいと思うのだが、どうもそういう人たちに限って帰ろうとしない。
なのに、後から来る人には、自分が努力しない事や学ばない事や、やる気のない事を棚に上げて、ネガばかりをばら撒く。
判断はお客様の仕事、情報を提供するのは僕の仕事。その意味で、これからも新移住者向けの定期的な情報交換会を開いていこうと思ってる。
ちなみに、最近は記憶力の低下に弱っている。せっかくのパーティだったのに、全然写真撮ってなかった・・・。ぴ〜んち、やばし、って感じ。
なので、写真は、パーティで使った焼酎です。ちゃんちゃん。
2007年07月06日
弁護士、税理士
今週も、あっという間に金曜日だ。
月曜日から、ほぼ1時間ごとに予定が入っており、弁護士、税理士、不動産業者、お客様との個人面談、銀行、店舗視察、不動産視察、不動産契約、FXなどなど、実にぎっしりと予定が詰まってしまった。
それでも仕事が進んでるなって感じるのは、以前だと下見、問い合わせだけで、そこから発展しないケースも多多あったが、最近、特に今週の動きは、不動産でも即決に近いし、弁護士との打ち合わせでも、その場で今後の予定を作ってみたり、とにかくスピード感があるからだ。
お客様も結構切迫感があるようで、下見前は、4〜5年後でも渡航かなと考えていたのが、現地の事情と先々の事を考えると、いやいや、やっぱり早く退職して先倒しで予定を組まないと、やばいよねと考え直している。
移住のお客様は、基本的に前向きで危機感を持っているから、話が早くてよい。うじうじして、どうしようかな〜なんて事がない。
明るく前向きに、健全な危機感を持って生活を続けていければ、これは楽しい。
反対に、うじうじして、結局何もせずに、後になって文句ばかり言う人は、周囲を暗くさせるから、よくないな。
何となく、字数を埋めただけの今日のブログ。時間作らんといかんな〜。
2007年07月04日
ランボー2
本当に偶然は重なるものだ。
僕の場合、仕事で使っている車は、一週間に1回、週末に自宅の近くで給油している。
1リットル1.65ドル(ハイオク)で、実に高くなったものだ。
石油がUSドル建てでやっているなら、もうちょっと安くても良いのではと思うが、NZの場合はBPが仕入れとかやってればポンド又はユーロ決済だろうから、そしたら安くはならないな。
その後、グレンフィールドショッピングモールに食料の買出しに出る。雨降りの日曜の午後なので、大きな駐車場も、いつもほぼ満車だ。
ぐるぐる回ってやっと見つけた場所に車を停めて、食料購入の前に、何気なしに近くのDVDショップに入った。そしたら何と、安売りのかごの中に「ランボー2」が10ドルで売られていたのだ。
ずいぶん汚れてるカバー、これ一枚しかない状態なので、お店が卸から、内容も見ずにどかっとまとめ買いしたんだろうな。でもって、ランボーはNZであまり人気ないから、売れ残ったんだろな、そんな、手垢と汚れのついたカバーを見ながら思った。
それにしても、ちょうどランボー3を観た後だったので、速攻で購入した。ついでに、ブルースウィリスの「16ブロックス」も15ドルで購入。まだ新作なのに、売れてないのかな。結構面白いのにな。
「24」とか「プリズンブレーク」を見慣れたキーウィには、少しスピードが遅いのかな。
さてランボー2.ベトナム戦争で捕虜になった米国軍人を探すためにベトナムに単身乗り込むという筋書き。
KIA、MIA、POWという言葉がぽんぽん出てくるので、子供たちがついてこれない。その度にビデオ(DVD?)を停めて、略語の説明をする。戦争用語なので、一般の人には理解不能だろう。
1960年代、ケネディ政権時代に始まったベトナムへの侵攻は、結局米国の甘い見通しによって長期化され、1973年の撤退までに5万8千人の米国軍人が死亡、これは参加総数の10%にも上る。
戦闘の最中に死亡した兵士がKilled In Action、戦闘の最中に行方不明になった兵士がMissing In Action、戦闘後に捕虜となった兵士がPrisoner Of Warである。
2002年にはメルギブソンによる「 We were warriors (邦題ワンスアンドフォーエバー) 」が映画化され、日本でもまたベトナム戦争が人の口に載るようになった。
ベトナム戦争はジャングル戦だった為に小部隊同士の戦いが多く、米国兵士が捕まると北側の捕虜収容所に送られた。その収容所のあまりの凄まじさに、ハノイヒルトンという別名が付いてたのは有名な話だ。
今は本物のヒルトンホテルがハノイに建っているのは皮肉か。
1980年代に入って、ベトナムには多くのPOWが生存しており、今だ収容所生活をしているという情報が米国中に流れた。国民は、もしかして自分の家族が生きているかもという一縷の望みを託して政府に請願行動を行った。
そんな時代背景をもとに作られたこの映画は、戦争の悲惨さよりも、自国民をアジアの片隅に放置したまま逃げ出した米国政府の対応に焦点が当てられている。
メルギブソン演じるムーア大佐率いる第一空挺師団では、大佐自身が「俺が最初に戦場に足をつけ、俺が最後に戦場から離れる。一人も残していくことはない!」と、部下全員に向かって伝えた。
英雄を好む性質の米国人としては、これは当然であろう。
一人も残さない、そういう海兵隊の伝統を、米国政府は正面から踏みにじっている、仲間を見捨てていくな!そういう切り口で作られた映画は、ランボーの人気も合わせて、当時大反響だったのを覚えている。
ちなみに今は、米軍は侵攻にあたって、最後の一兵まで連れて帰る、たとえ死体になっても回収するという方針を明確にしている。70年代の失敗から得た、唯一の教訓かもしれない。
ベトナムと言いアフガニスタンと言い、そして今のイラクといい、米国は「懲りない連中」だな、でも軍事産業を食わせる為には、数年に1回は戦争をしないといけないという構造が、相次ぐ米国主導の戦争の後押しをしているのも事実だ。
片方では軍需産業で生計を立てながら、片方では戦争反対というのも、どうなのか?平和が続けば軍事産業は衰退する。米国では産軍共同体というシステムがあり、これが国家経済活動の中心となっているのは事実である。
ランボー2は1985年、ランボー3は1988年製作の映画だ。まだ飛行機の手荷物検査も厳しくなく、テロなんて考えもつかず、世の中は冷戦で東西に分割されていた時代。
21世紀、果たして人間は成長したのかな?
2007年07月03日
ランボー3
「ランボー3」を前回の日本出張で発見して、先週自宅で、家族と一緒に観た。
「ランボー1」は、探せばそれなりに見つかるが、3は、書店ではなかなか見つからない。旧作だし、1ほどの人気がなかったので、あまり観る人もいないのかな。
物語は、ランボーの元上司がアフガニスタンでゲリラの指導にあたっていたらソ連軍に捕まってしまい、元上司を救うためにランボーがアフガニスタンに乗り込むって筋書きだ。
ランボー2の延長線上の、そういう意味では1のベトナム反戦からは少し話題がそれて、っつ〜か、悪しきソ連邦に民主主義とアメリカ国民ヒーローの代表であるランボーが懲らしめに行くって、好戦的な単純アクション映画。
でも、今の時代から観るとこの映画、1988年当時の時代背景をよく表している。
みゆきがこの映画を観ながら「あれ?お父さん、アメリカってアフガニスタンを占領しているんだよね?何でアフガンゲリラをアメリカ軍が指導しているの?おまけにゲリラが使っているロケットランチャーって、アメリカ製じゃんか?!」
そうそう、普通にこの話を観ていると、疑問だらけになる事、確実な作品だ。
何でソ連(ロシア)がアフガニスタンを支配しているの?
何でアメリカ軍がムジャヒディン(つまり今のタリバン)を軍事指導してアメリカ製の武器を供与しているの?
実は1979年にアフガニスタンでクーデターが起こり、社会主義政権が主導権を握った。その地位を守る為に、翌年政府はソ連に軍事援助を依頼した。
請われてアフガニスタンに侵攻したソ連は、当初はさっと来てゲリラをぱっと蹴散らして、政府に武器の使い方を教えてからさっと帰る予定だったのが、タリバンが強くなりすぎて、政府を残して帰るわけにはいかなくなった。今の米軍がイラクで嵌っているようなのと同じ状況。
そこで冷戦中の米国はソ連の軍事的野望?を挫くために、アメリカの軍事指導団を送り込んだ。要するに、池に落ちた犬を叩く行動。これがランボーの登場に繋がる、元上司のアフガン行きと米軍による軍事支援である。
結局1989年にソ連軍は撤退するが、その後タリバングループと政府軍が内戦状態になる。でも米国からしたら、ソ連がアフガンから撤退したら犬たたきは終わり、後は中東の連中が勝手にやっとけ、知らんっつう事で、内戦を放置した。
てゆ〜か、下手に手を出すと、第二のベトナムになる可能性がある国に軍隊を送り込むなんて出来ない。
結局タリバンが内戦に勝利して、これが2001年の911テロに繋がってくんだから、全く皮肉なものだ。
所詮自分の利益ばかり考えて相手の事を考えない米国の政略に、いいように振り回されたのはアフガニスタンである。
ただ、その隙を作ってしまったのは、やはり国家が二つに割れたという問題だ。日本だって、明治維新の頃は、危うく国家が二分して、フランスとイギリスの代理戦争になるところだった。
そのような諸外国の目的を見抜いた、一部の優秀な武士によって引き起こされたのが明治維新だ。攻める西郷も、内戦をやって国を二分すれば、必ず外国に支配されると分かっていた。守る勝海舟もあっぱれ、日本国全体を見て、国家としてどうあるべきかを考えて、さっさと大政奉還させたから、内戦にならずに済んだのだ。
だが、アメリカも歴史から学ばない人種らしく、自分が教えた軍事集団によって逆に911テロ攻撃を受けてその仕返しにアフガニスタンに突っ込んだのは良いものの、結局ソ連と同じように泥沼にはまってしまった。今は欧州に手助けをしてもらいながら、それでも痛い目にあってる。
面白いのが、イラクとの関係だ。元々イラクのサダムフセインはイラクの大統領になると1984年に米国と国交回復し、米国から大量の武器を供与してもらい、イスラム国家となったイランとの戦争を拡大させた。
当時の米国にとっては石油利権が大事であり、それまではイラン王朝と仲良くやってたのが、ホメイニ率いるイスラム原理主義グループが政権を崩壊させてイスラム国家を創り上げて、それまでの石油利権をすべて没収された米国は、自分の代理としてイラクに戦争を仕掛けさせたわけだ。
サダムフセインがクルド人に対して毒ガスを使った事も、当時のパパブッシュ米政権は十分承知していた。にも関わらず問題としなかったのは、フセインが米国のために働いていたからだ。
この点、人道主義とか言う米国の嘘がよく分かる。人道を楯にして自分の利権のみを追及する方法は、結局自分だけが良けりゃ、他人なんてどうでもいいって姿勢が見え見え。まさに「衣のたてはほころびにけり」である。
イラクイラン戦争の停戦後、結局フセインは、誰かにはめられたのだろうが、元々イラクの領土であったクエート奪還に向けて軍隊を侵攻させた。
そこでフセインの運命は決まった。米国と英国の主導により、多国籍軍が結成されて、あっという間に蹴散らされてイラクへ逃げ帰ったのだ。
この時日本は、戦費のうち90億ドルを負担したが(芸国の負担は70億ドル)、金だけ払って兵隊を送らない日本という事で、米国から袋叩きにあったことも記憶に残ってる。他人の戦争に金を払って、それで怒られてりゃ世話ないわな。もともと米国の戦争なのに。
これによって米国軍が中東を監視する為の拠点がサウジアラビアに置かれたが、ここからまたタリバン政権の擁するビンラディングループが1990年代後半に、米国駐留軍や大使館に対して大規模な攻撃を仕掛けるわけである。そして仕上げが911テロ。
全く、中東の歴史は、古くは英国によってかき回され、第二次大戦後には米国による石油戦略に巻き込まれて、この100年というものは、落ち着くヒマさえない状態だったのがよく分かる。
それにしても米国の乱暴さと、自分のためなら嘘でもつくし暴力は振るうし、筋なんて全然通さないし、好き勝手にやっといて、取るものだけ取った後に反省する振りをしたりして、そんな国を頭から信用して付き合ってる国民って、よっぽど幸せ者?
米国がこんな状態で「日本は米国の核の傘に入ってるから安全だよ〜」と言われても、はいそうですかと信用は出来ない。いつ、中国や北朝鮮の噛ませ犬に追い込まれるか、それこそ米国の意思次第だ。
米国を信用出来ない愛国者からすれば、自分の身を自分で守る為に、早いとこ核を持って武装しようぜという事になるだろうな。中川さん、親父さんの事を考えれば、気持ちはよく分かる。
そんな事を、ランボー3を見ながら思い起こす。もしランボー4を作るとしたら、行く先は日本、北朝鮮から送り込まれた特殊部隊と、石川県あたりでジャングル戦でもやるんじゃないかな。
2007年07月02日
今日の日曜討論(NHK)
昨日の日曜討論は、各党入り乱れての年金問題議論だった。
自民党は茂木、民主党は長妻、共産党はいつもの小池、社民党は、どうも好きになれない、議論が下手ですぐ感情論に走り、意味不明にうちがうちがと威張ってるのに、いざ議論となると、とっても話の下手な女性。
その中で一番目を引いたのが、偶然にも昨日公約の話を書いた、国民新党の糸川氏。
議論の最初は消えた年金をどう処理するのか、各党ごとに意見を述べたが、これ生放送でしょ、いきなり茂木さんと長妻さんが、一年ずれた話をした。いや〜、すべってるよ、これ。
「国民全員に年金のデータを配るべきじゃないか、7月からでもやるべきだ」と迫る長妻氏に対して、茂木氏は堂々と「何言ってんですか、うちは6月からやりますよ、6月から!」と切り返す。
長妻さん、少しどきってした顔で「え、本当に出来るんですか?」と、軽く狼狽の様子。だって民主党よりも前倒しなんて、責めどころないじゃんか?
いや、そんな事より前に皆さん、今日は7月1日ですよ。
6月って、何の話をしているのって思ってたら、案の定、茂木さんの6月は来年、長妻さんの6月は今年の話、お互いに話を1年、全然勘違いしていたのだ。
生放送って、良いですね。
それからも長妻氏の攻勢に対して、茂木さんは肝心の問題点を少しずつそらしながら、政府の対応が真摯であると反論、公明党のおじさんも、時々援護射撃してた。でも、今回の問題、公明党はあんまり関わりたくないのが見えちゃん。
だって公明党は創価学会政治部だし、学会と言えば一般大衆、中にはおじいちゃんおばあちゃんもいるので、少しでも自民党の味方すると、こりゃやばし。俺たちの政権の時代の話じゃないもんね〜みたく、距離を置いてる。
やばし、自民党、四面楚歌でっせ。
ところがNHKの画策だろう、番組途中から自治労に対する攻撃にネタをすり替える。
こうなると国民感情を味方に出来る茂木さん、おお張り切り。
「45分パソコン使ったら15分休憩とか、一日?000文字しか打たせないなんて、今の時代にあり得ますか?」
「社会保険庁の労働組合が現状の体たらくを作ったんでしょ、だからそこを直そうとしているのに、民主党も社民党も、一番肝心な問題になると、何でそこを語らないんだ、結局、票田にはメスを入れられないんでしょうが!」
これは確かに一理ある。長妻さんは労組など相手にしてないが、執行部はそうはいかない。自治労という大きな団体は、とりあえず選挙の際には強力な味方である。だから、この点を責められると、執行部からすれば「黙っておけ!余計なこと言うな」って口止めされてるんだろうね。
社民党に至っては、そこだけで成立しているから、社会保険庁組合問題を責められると、とにかく問題をすり替えるな!って吠えるしかない。このあたり、本当に議論が下手ですね、このおばさん。政治に素人の僕でも、自民党がどこから攻めてくるかは分かりきっているのにね。全然対抗策を検討してない。
国民が観てる前の一騎打ちなんだから、この場でどう返すかが勝負なのに、これから社民党、ますます落ち目で、最後は解散するしかないんでないの?もう殆ど議席も残ってないし、負の遺産を抱えたままでは戦えませんぜ。
共産党は労組支持と言っても、職場単位ではなく地域で個人参加が中心なので、そこんとこ責められても、あまり痛くない。むしろ共産党は、労働者に対しても「やることはきちんとやれ」って言う体質があり、この点非常にクリーンだ。
何せ昭和初期の時代は非合法集団として扱われ、戦後も公安庁の一番の敵だったのだから、脇の甘いことは絶対にしない。この点、戦う集団だけに、民主党や社民党とは一味違う。
そんな中で面白かったのが、国民新党の糸川氏である。
国民新党は元々自民党が郵政選挙で割れた時に出来た党であり、ある意味保守本流の思想を持っている。だから労組の票なんて関係ないし、郵政選挙でついてきてくれた支援者がいるので、新規の顧客を取り込まなくても、とりあえず現状は維持出来る。
年金問題の5千万件は自民党がひっかぶってるから、自分とこは関係ない。労組問題は民主党と社民党がひっかぶってるので、これも関係なし。
利害関係が全くないから、言いたいことが言えるという、実に漁夫の利がある立場。
その後糸川氏の経歴をウェブサイトで見たら、彼ってエリートなんですね。でも役人ではなく起業独立を選んで、国民新党に参加している。
長妻さんとか馬渕さんとか、労働組合という負の遺産に関わっていない、本当に政策を考える人たちと共通点があるように思う。
そうこうしているうちに、一時間番組も終了。
参院選では確実に負ける自民党。安倍首相が政権を継続するかどうかは分からないが、自民党も民主党も、若手の政策通が脱退して国民新党に入れば、面白いことになりそうな気がする。
あ、そうだ、あるアンケートによると、中高生の安倍政権に対する支持率が5%で、中には「経験不足でしょ」と女子高生に指摘されたとある。はは。まさにその通りですね。
写真は糸川衆議院議員
2007年07月01日
参院選公約
ニュージーランドでは、選挙と言われてもあまり日本のような白熱した街頭演説がないので、知らずにいれば、「え、今って、選挙期間中なの?」って感じがするくらいだ。
でも、その気になって毎日新聞を読んでたりニュースを見てれば、静かに選挙戦が行われているのがわかる。テレビでも、候補者同士が公開討論会を開いたり、自分の意見を述べる機会がある。
間違っても日本のようなお涙ちょうだいは、ない。候補者の奥さんが涙ながらにマイクを握り締めて、「うちの主人を男にしてやってください〜!」なんて、それが選挙ですかい?って突っ込みたくなるような情けない事はやってない。
ニュージーランドでは投票率も大体70%くらいと高い。もちろんこれは日本に比べてであってだが、少なくとも選挙民は、自分らの代わりに代表を雇って政府を運営させているって気持ちを持っているので、けっこう政府に向かって言いたいことを言ってる。
良い悪いは別にして、ある国民は以前国会の前に車で乗り付けて、社内に満載したマリファナの木を見せて「マリファナのどこが悪いんだ!タバコよりよっぽどましじゃね〜か、お前ら国会議員はわかってんのか!」と訴えてた。もちろんすぐに逮捕されたが。
そんな中、日本もマニュフェスト、公約が選挙の中心に取り入れられるようになり、これは一定の進歩だと思う。
でもって、国民新党が今回の参院選で公約を発表した。
「夢と希望を持てる国づくり」というキャッチはださいが、年金制度改革をもってきたのは、なかなか良い戦略だ。
年金受給に25年の加入期間が必要とする規定を撤廃して基礎年金を全額税方式とし、給付額を生活保護費相当額へ増額するという考え方だ。
これが選挙民にどう映るかは別として、元々年金とは税金なのだから、基礎年金を全額税として徴収するという仕組みは、年金本来の仕組みに戻ったわけで、これは分かりやすい。
その代わり給付額を生活保護相当額に増額ってのも、簡単だが根本的な問題解決を図っている。
こうなれば年金額も確実に増えるから、お年寄りが死ぬまで働くって必要もなくなる。出来れば生活保護額をもっと上げてもらいたいと思うが、まあそれは後日対応できる。
25年の加入期間を撤廃するんなら、もっと踏み込んで、日本国民なら誰でも年金をもらえる、払った払わないは関係ないって言うニュージーランド方式にすればよいのにと思うが、まあそれは早すぎだろう。
少なくとも、払った期間分はもらえるという仕組みなら、国民に分かりやすい。それに税金として徴収するのだから、「(年金を」もらえんから払わん!」という言い訳は、通らなくなる。源泉徴収してしまうのだから、払うも払わんもないのだ。
年金制度を導入した昭和の時代に、国民の目をごまかすために、税金ではなく年金と言い換えたのが問題の発端なのだから、そこを訂正すれば、ボタンの掛け違いはなくなる。
郵便局の問題は、国民新党の内容がいまいち不明なので、ノーコメント。ただ、郵政解散で自民党から飛び出したメンバーとしては、きちっと筋が通っているから、内容は別にして、日本人には納得しやすいだろう。
忠臣蔵みたいだな。過激派集団による長いナイフを使って夜中に個人の自宅に押し込み、刺し殺すという「殺人」が良いかどうかは別として、感情的には「おう、なるほど、分かるよ」と選挙民に思わせるのではないか。
ニュージーランドの郵便局では、民営化せずに黒字化したという実績があるし、競争の原則の導入で郵便サービスに新規で参入する会社が出てきている。
小泉元首相がニュージーランドを訪れた時にヘレンクラーク首相に対して「ニュージーランドは規制緩和、民営化ですごい実績を出しましたね、郵便局も民営化して黒字化した、いや、立派!」と言ったら、ヘレンクラーク首相が申し訳なさそうに「いいえ、郵便局は民営化せずに黒字化したんですよ」と、小泉首相の勘違いを訂正してた。
国民新党、比例代表制では議席が取れそうな気がする。
写真は、ニュージーランドポスト(つまり国営郵便局)の投函箱(ポスト)の横に立つ、民間の郵便局の投函箱。同じ場所に3つもポストが立っているのが、規制撤廃の象徴である。