2016年04月

2016年04月30日

東京二日目

今日は朝11時から個人面談開始。久しぶりの技能移民である。話しながら「なんか、懐かしい」感じがした。

 

昔から僕が30代の技能移民にお勧めしてるのは「手に職を付ける」である。代表的なのが料理人、とくに寿司刺し身天ぷらである。

 

料理人の世界では転職が多く常に職人募集をやっている。日本で働きながら手に職をつけて労働ビザが発行可能なお店がNZ大好きで求人かけるのを待つ。

 

8年ほど前か、東京での説明会に参加されたご夫婦と個人面談した際に「仕事して出来るだけお金を貯金しながら日本で料理、特に鮨刺し身天ぷらの勉強をしてください」と伝えた。

 

その後彼らのことはどうなったかなーと想い出す暇もなく他のお客様の対応をしていたら、ある日この夫婦がAucklandにいた。

 

え?と思って聴くとご主人が料理の勉強をして地元の日本食レストランでワークビザを取得して奥さんも自動的にオープンワークビザを取得したのだ。

 

その後二人は真面目に働き約2年後に永住権を取得した。実に一直線な話である。素直な話である。

 

そんな彼らの事を思い浮かべながら目の前のご夫婦にどのような技能移民が選択肢としてあるかを説明した。それぞれの選択肢を選んだ場合にかかる費用も含めて。

 

大変な道であると思う。しかしちっちゃな子供を抱えてこれから確実に悪くなる日本社会で学校教育でところてんにされて社会に出て老人の年金を払って、子供に才覚があれば良いがそうでなければどうする。

 

うちのオフィスの奥に留学移住を得意とする留学会社が入ってる。エレベーターがちーんと開いて子供たちの声と共にお父さんお母さんがそのオフィスに向かっている姿をよく見かける。

 

うちのオフィスはエレベーターの前なので彼らの姿を見かける事が多いのだが、無邪気に大声ではしゃぐ子供と少し不安そうなご両親の雰囲気が痛いように伝わる。僕がこの国に住む権利を持っていることに、彼らに対して申し訳無さを感じる時でもある。

 

僕がニュージーランドに移住したのは1988年、永住権の当たり年であった。その日その時ニュージーランドでワークビザがあれば健康診断不要、無犯罪証明不要、学歴不要、証明書不要、300ドルの小切手を挟んだパスポートを送れば数週間後に永住権のシールが貼られたパスポートが送り返されて来た。

 

運命の偶然はある。何時の時代にどこでどんな家庭で生まれたか、これは子供には選びようがない。神様が昇格試験に申し込んだ魂に対して「こいつならここだな」と決めて送り込む。

 

送り込まれた魂は生まれたばかりの赤ちゃんとなり過去の歴史は脳から消される。自分が何故この人生で生活しているのか思い出せない。けれどそれは神様が与えた昇格試験なのだ。

 

頑張ってAucklandにやって来た彼らはこれから語学学校、専門学校、ジョブサーチングビザ、ワークビザ、そして永住権へと繋げていくことになる。

 

5年の長い道のりだし、ほんとに永住権は取れるのか?その間お金は出て行くばかりである。どんなに自分を鼓舞しても夜に銀行残高を見ると暗くなる。

 

それでも、それが実は神様があなたに与えた試練なのだ。これから5年、長い道のりであるが夫婦がお互いを助け合えば必ず道は開ける。絶対にやっちゃいけないのは夫婦のお互いへの責任転嫁だ。

 

「あんたが決めたんでしょ!」

「お前だって行くって言ったじゃないか!」

 

外国では誰も助けてくれない。夫婦がお互いを助け合わなければ誰が助けてくれるのだ?「おれは疲れてるんだよ!」絶対に言うな。奥さんはもっと疲れているのだから。

 

大丈夫、声が出るならまだ元気だ、もう一頑張り夕食後の料理の皿は疲れた奥さんの代わりに洗ってあげろ。

 

日本はゴールデンウィークが始まった。去年まではGWに日本出張してもダメでしょと考えていたが今回の申し込みを観るとあまり関係ないようだ。

 

今日で4月も終わり。久しぶりに技能移民の話をして古いことを思い出した。



tom_eastwind at 22:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月29日

東京初日

昨晩は個人面談を終えて伊丹から夜の飛行機で羽田に飛ぶ。お腹空いたので全日空の搭乗手続き済ませた後に昭和の雰囲気そのままの洋食堂で昭和の雰囲気の制服を着たウエイトレス(ここだけ平成)に昭和の盛り付けの生姜焼き定食を注文。

 

結構満席なのにすぐに出てきた料理もいかにも忙しかった昭和時代の盛り付け。大皿の上に野菜を敷いてその上に薄切り脂身付き豚肉が乗っかってポテトサラダはスプーンで盛ったように半球形。腹が減ってれば何でも美味しいが脂身は不要。

 

飛行機は10分遅れで出発したが羽田には定時到着。そのままホテルに向かいチェックインしてすぐ寝る。個人面談は意識を集中して話すので6時間も続けてやっていると脳みそが疲れてしまい睡眠を欲するようだ。

 

今日は3件の面談が続く。初対面の面談の方と話していると、その方も色々調べているのだけどいくら移民局のウェブサイトを読む英語力があっても移民局の書き方が曖昧であり、じゃあ具体的にどうしろと言ってるのか分からない。

 

そこであちこちに問い合わせするがこれもはっきりした回答が出てこない。当然だろう、この仕事は一件一件を永住権取得まで現場で移民局とやり取りをして具体的な内容が判明するわけで経験が非常に重要でありいくら問い合わせをしても経験のない人間には答えようがないからだ。

 

そこで今回お問い合わせを頂いたようである。

 

2時間で細部を説明しつつ全体像を描いていくのだけど、やはり色んな問題点が出てくる。本人も疑問に思ってた部分はそのまま間違いなく問題点。本人が気づかない部分でも問題点が出てくる。

 

こういうのを一つ一つ掘り起こして予め徹底的に問題のないように全体図を描き上げる。日本人の投資家ビザ申請でも30%は却下されている。書類不備によるものが多い。当社は投資家ビザは100%取得している。

 

最後は楽しい飲み会面談、昔Aucklandに住んでた古い知り合いだ。15年前と言えば生まれたばかりの赤ちゃんが中学校に行くわけで相当な過去であるが話せば話すほど古い思い出がよみがえってくる。

 

お互いに同じ時期に同じ街で過ごして仕事面でも協力しあって来た。それが今また東京で新しい仕事の話をしている。いいなーこういうの。



tom_eastwind at 21:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月28日

大阪二日目

大阪では午前から3件立て続けに個人面談を行う。一件平均2時間で合計6時間、ソファに座りっぱなしで話すので夕方仕事が終わった頃にはズボンが蛇腹状態になっている。

 

大阪の顧客層は一人ひとり個性があり情報収集の多様さが伺える。おそらく相当に仲間のクチコミ情報が入っているのだろうが、これが濃くて当たってるから面白い。

 

東京だとどうしても公表された画一的な情報をもとに相談されるのでまず正しい情報と間違った情報を整理する作業が必要になる。

 

1970年代に大阪では多くの優秀な若者が東京に行き東京で成功した。その後彼らは独自の情報網を作り仲間で情報共有してそれが大阪の友達にも送られてくるようになった。ここに官僚からの内部情報も入ると相当に正確な話になる。

 

初回の個人面談で話すことは事前に頂いた資料を基にその方がどのようなビザの申請が可能かを聴き取ることだ。人によって移住の理由や家族構成は千差万別であり、初回ではなかなか聴き出せないこともある。

 

そこはもし重要でなければ空欄にしておいて「そのうち聴く」事にする。どうしてもその場で必要であれば事情を説明して聴くが、大体において黙っている部分はブラックホールのようなもので周辺説明をお伺いするうちにホールが「見えてくる」ので初回で無理して聴きこむことは殆どない。

 

昨日の夜は個人面談を終わらせたらかなり疲れたので部屋で夕食を済ませる。昔はルームサービスなんて誰が注文するんだろう、外に出て食べるほうが楽しいだろうにと思ってたが今はよく分かるようになった。

 

ところで大阪はいつも何かこう歯車がずれることがある。

 

例えばホテルに入りそのまま27階でチェックインしようとエレベーターに乗ってボタンを押しても動かない。仕方なく近くのコンシェルジェで聴くと「エレベーターに載るには部屋の鍵が必要」だとの事。

 

いや、だからその鍵を取りに行くのに27階に行きたいんですよと言うとニコッと笑って「ご案内します」

 

要するにここは「ご案内」がなければチェックインも出来ないご立派なホテルでありどこの街でも「ご案内なし」で生きて来た僕には何だか歯車がずれた感じになるのだ。

 

今回は面談を行っていたカフェでのこと。紅茶を注文するとヒーターに載せたポットで出てくるのだがずっと喋っているので紅茶がなくなった。

 

そこで僕はウエイトレス(そろそろ顔なじみ)に「すみません、紅茶をもう一杯お願いします」と言うといつもの笑顔で「はい、分かりました」とテーブルのポットなどを片付けて一旦立ち去る。

 

かと思ったら途中で振り返って戻って来て聴いてきた。「あの、お湯差しでしょうか?それとも追加ご注文でしょうか?」

 

むむむむ。僕は持論であるがこういう高級ホテルのラウンジで飲むお茶は高くて当然、何故ならそれはお茶を飲むのが目的ではなく一定時間場所を借りる費用だと思っている。

 

今回も合計で6時間も座っているのだからお客様には勿論飲み物を注文して頂き(代金は頂かない)僕も何度か追加注文をする。だからお湯差しなんて思いもつかないし恥ずかしい事である。

 

ところがこのホテルでは立派なソファに座ってお茶を飲み、空っぽになったらお湯だけただでもらうという客がいるという事だろう。そしてホテルもそれを受け入れているのだろう。むむむむ、僕の中にある「恥」の認識がずらされた。

 

このホテルでのお湯差し、これは僕の倫理ではない。他人に強制するものではないが自分の中であり得ない選択肢である。



tom_eastwind at 10:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月27日

ざU-don

ちょっと話は戻るけど今回関空に到着した時お腹が空いてて出発ターミナルのレストラン街に行った。荷物を積んだトロリーを押しながらお店を観てると小綺麗なうどん屋さんがあり何やら朝早いのにお客さんが入ってる。

 

じゃあいいやここにしようと決めて荷物を外に置いて清潔そうな店内に入る。20席程度の店は入り口プレートを取って讃岐うどんを注文して、そこに天ぷらやおでんやおにぎりを組み合わせて食べるスタイル。

 

でもってふとよく観るとお客さん、何と殆どがモスリムだ。男女関係なく日本風のうどんを食べておりそこでキッチンを観ると、おお、この店ハラール認証を得ているのですね。

 

皆さん美味しそうに、中には追加で天ぷらかごの中の鶏天を買ったりしてて雰囲気良かった。

 

マレーシアからの観光客は日本に興味を持ってくれてるが何せ食べ物や祈祷室の問題でなかなか日本に観光旅行というわけにはいかなかった。

 

けれどこれから日本がインバウンドを取りに行くのならイナゴのようにやって来てある日突然消え去って市場がゼロになる可能性がある中国よりもマレーシア、インドネシアなどから安定した数が旅行に来てくれる方が良い。

 

以前日経ビジネスでも読んだがスキー場がスキーをしないモスリムに雪を楽しんでもらう企画を作っている。

 

何せ日本に到着して空腹の一杯なので料理は美味しく店内は清潔でありモスリムも食事が出来るようになっているのはうれしくなった。



tom_eastwind at 12:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月26日

何で日本を出るねん?

早朝に関西空港到着、ホテルに移動して部屋の準備が出来るまでホテル内のプールで泳いで体をほぐす。

 

機内では殆ど固定されて寝てたので泳いで体を動かすと調子良くなるのがよく分かる。

 

午後はスーツに着替えて面談開始である。ニュージーランド出店計画を検討中の方のお話をお伺いして助言する。

 

この方は大阪でずっと長くビジネスをしている様子で海外とのビジネスにも慣れている。面白かったのが最近の30代移住家族の話をした時だ。

 

「ほー、そらすごい、皆さんどんな夢持っとるんでしょうね」いや、日本がやばいから脱出するんですよというと本当にびっくりした顔で「えー!逃げたらダメやろ、人生は戦いやで、前に出ていかにゃ。」

 

そりゃそうだろ、大阪でビジネスに成功して今だ拡大中であり常に前向きに戦ってきた彼のようなビジネスマンからすれば生きるとは逃げずに勝つことだ。

 

年齢も60過ぎなのでバブルのような良い時代を知っているから上記のような発言になるのだろう。カネもある、仕事は成功した、これからも事業を拡大していくぞ、やる気まんまんである。

 

けど誰がそこまで出来る?普通のサラリーマンが起業して成功する確率は?これからもサラリーマン続けてもその先に見える危険な未来はほぼ確実に起こる。

 

日本に残って戦えという助言であるが、この場合戦う相手は日本政府である。制度や法律を変える連中相手にこれから何十年も戦って勝ち目があるか?

 

そう考えると日本ではない場所で生きるという選択肢が出てくるのだ。別に日本人であることをやめるわけじゃない。ただ家族の安全を守るために移住という二つの国で生きる戦いを選んだのだ。

 

しかし大阪で幸せな時代にビジネスに成功して義理や道徳を大事にしていそうな、人の良さそうなおっちゃんにはどうしても理解出来ないらしかった。「なんでやねん?何で日本を出るねん?」



tom_eastwind at 12:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月25日

地球儀

今回の日本出張はAucklandから香港へ11時間、その後4時間の乗り継ぎで翌朝香港発0140分発である。関西空港に着くのが朝の630分なので時差を引けば飛行時間は4時間である。

 

日本出張の前夜顧客と食事をする。この方とも長いお付き合いであるが普通の人々とは全く違った視点を持っており話してて楽しい。

 

Tomさんは現状をどう観てどう予測しますか?」僕はまず地球の俯瞰から始める。一番大きなところから入って小さな現場に降りていく作業だ。

 

情報源は世界中どこにでもある公開情報だ。現在米国で起こっている事、中国で起こっていること、欧州で起こっていること。

 

将来は1つの要素だけで決まるわけではなく世界中のすべての要素を考えていく必要がある。ポイントは各国民や民族の価値観である。この要素がこうならこれは彼らの価値観でこうなるな、そうやって要素同士を合体させていくと地球全体の方向性が何となく見えてくる。

 

次にそれが日本の政治や経済にどう影響を与えるかを考える。日本の官僚がやっている方向性は全体主義でありこれは明治時代から何も変わっていない。

 

ただその速度が早いか遅いか、または他国に干渉されて後ろに下がるか、例えば金融ビッグバンなどが外国に干渉された良い例である。けどいずれにしてもそのうちまた全体主義実現の為に財務省は法律を変更して銀行を指導して自分のやりたい事をやる。

 

ここまでは机上の数字や本を読めば分かる。

 

次に大事なのは肌感覚だ。政府は日本経済成長と言ってるが実質的に賃金は上がっておらず雇用が増えても国民に「正社員になる」という見果てぬ夢を観させながら現実にはサービス残業増加である。

 

定点観測とは数カ月ごとにある同じ場所に行き人々の顔を観たり価格を観たりすることだ。そこで政府発表と現場、つまり街の空気とのずれを見つけることだ。

 

昔はワンコインで弁当が買えると言ってたが今ではコンビニで300円で弁当が買えるて恵比寿のファミマだと隣には休憩室があってそこで温めた弁当を持ち込んで食べることが出来る。

 

ここ、昼時に行くとよく若い大工さんが数名で昼飯食べてる。今までだと現場や公園でしか食べることもなかっただろうが、こういうコンビニで食べることが出来るのは良い休憩だ。

 

完璧にマニュアル化されたサービスは良くなり価格も安くなりますます進化するコンビニ。特にプライベートブランドをナショナルブランドの横に置き価格競争、おお東京もここまで来たか。

 

同時に高品質の商品も売れている。一個200円のおにぎりが一個103円のおにぎりの横においてある。

 

今これが何を意味するのか?一年前と比べて何が変わったか?

 

とここまで降りてくるのだがその次に大事な作業は今の日本の動きは何時の時代のどこの国で起こっていた動きかを探しだす。歴史は繰り返すというがあれはほぼ正しい。人間が進化しない限りやることは大して違わない。

 

頭のなかの歴史を引っ張りだして今の日本を突き合わせて、あ、ここ一致!みたいな作業をやる。この事で先の事が予測出来るようになる。

 

そんな話をしていたら「あ、それ分かります」と言われた。お客様の業界でも歴史は繰り返すようである。



tom_eastwind at 12:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月24日

報道の自由

今年は日本が72位だと。報道の自由って何だろう。報道の自由が無責任なスキャンダル暴露だと話にならないけど高度に政治的な判断で沖縄密約。どこまでが自由でどこから先が国家機密か?

 

けど分かっているのはメディアが民間企業であるかぎり政府の思惑(おもわく)を忖度(そんたく)して記事を書くという事だ。記者個人のレベルではどうかな?と思っても上司の言うことを書くしかない。記者は上司の思惑を忖度するのだ。

 

こうやって政府が作った記事をマスメディアが既成事実のように報道して、そしてテレビと新聞で情報を収集する人々にとっては大本営発表が全てとなる。

 

自由度が韓国よりも低いなんておかしいって意見もある。しかし韓国と比較することに意味はない。韓国より上位かどうかよりも自国の空の下で言いたい事が言えるかどうかだ。

 

明治維新以来日本では西洋式の媒体が発達した。言論の自由は国民が守る。けれどそれは国民に「俺は民主主義国家の主体である国民だ」という意識があればこそだ。日本のように江戸時代から「お上」すべてで明治維新も武士のクーデターであり農民は全く関わってないから農民は「国民」になってない。

 

その後も天皇陛下の「臣民」は黙って働き政府の意向に従い日清日露戦争にも従軍して最後には第2次世界大戦に突入した。ここまでの時代、日本に言論や報道の自由は少なかった。

 

時の政府の制御ボタン次第であるが天皇機関説が出ると潰され蟹工船を書いた小林多喜二は本人が殺されて、共産党は非合法化されて逮捕されれば特高による拷問が当たり前、そんな時代に報道の自由など殆ど存在しなかった。

 

唯一第二次世界大戦後すぐの日本では政府が全く国家のコントロールが出来なくなりそこに共産党が入り込み更に中国とロシアで抑留されていた旧軍人が洗脳されて日本に戻り、この時は随分派手に報道の自由は広まった。

 

1970年代の日本は栄えていたし、政府も心の余裕があるから「言いたい事は言わせとけ」であった。インターネットのなかった時代の個人の口コミは横の広がりがなかった。

 

2000年代に入りネットの普及が個人の意見を一気に日本中に広げる時代になってきた。「保育園落ちた」などがその良い例である。

 

しかしそれはあくまでもネットの世界の話であり国会で取り上げられるようになったのはほんの偶然に過ぎない。

 

今政府は報道規制を厳しくしている。災害報道はじゃんじゃん流すけどアベノミクスの実績については規制。

 

日本の空の下で言いたいことが言えるか?結局日本国民は仲間と居酒屋談義で立派な事言ってガス抜きして「おう、明日も早いから帰ろう」で終わりである。

 

僕は日本と香港とニュージーランドと生活をしているがそれぞれの人々を観て感じるのは、日本の場合は「言いたいことが言えない」ではなく、今だもって「言いたいことが何だか分からない」である。

 

つまり国民自身の政治意識の低さが報道の自由をメディアから奪っているとも言える。



tom_eastwind at 18:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月23日

B列車で行こう

ニュージーランドは今日から三連休である。土日のお休みにアンザックデーが425日と続くからだ。

 

それに今はスクールホリデイでもあるので道路がすっからかんのがら空き、正月の霞が関みたいである。

 

僕はそろそろ出張の準備を開始する。スーツケースをクローゼットから引き出してメモに沿って順々に揃えていく。全く三連休に関係ない生活である。

 

僕のような仕事では基本的に休みというのはない。面談が入ってなくて描き上げる企画書がない週末などは映画を観て過ごすが膝の上には常にパソコンが乗っかっている生活である。

 

今回は大阪に入りそれから東京に向かう。例年なら連休の時期は外すのだが今年はあえて連休に組んでみた。大阪はすでに面談予約が満席である。

 

今回も伊丹から羽田までは飛行機で移動の予定。昔は新幹線ばかりだったけど、それぞれ空港からホテルの近さを実感してみると、もう新幹線はいいかなー、ぎりぎりかなー、やっぱり飛行機がいいやって事になる。

 

土曜日の昼飯は近くのモールにある香港人経営の日本食弁当屋で持ち帰り弁当を買って自宅で食う。弁当を食いながら今進めている企画の1つが居酒屋系日本食レストランであることを考えた。

 

これから日本からやって来る日本人家族やすでにNZで専門学校に通っている人々の職場の受け入れ先をどうするのか。その1つとして日本食レストランがある。

 

しかし現状では多くの日本食レストランは実態は労働法大嫌いな中国人経営などである。

 

ぼくは16年前にバンクーバーで観た景色が今も忘れられない。

 

バンクーバーのシティ内にはたくさんの日本食レストランがあるのだが、オーナーは殆どが香港から移住して来た中国人、マネージャーも香港系中国人。現場でまじめに働くのが日本人ワーキングホリデイ。何で日本食なのに日本人が下働き?

 

日頃は日本の事を文句言いつつ自分がやる時は日本食かよって思ったものだ。その後バンクーバーのレストラン事情がどうなったか分からないけど、Aucklandも今は日本食レストランと言いつつ日本人以外の経営者が多い。

 

日本食レストランビジネスは非常に微妙な点がある。それは純粋に日本人の味に合わせると単価高いし日本人が少なくて商売にならない。これをキーウィや中国人に合うようにすると今度は数少ない地元日本人から無責任に「あんなの日本食じゃねー」と言われる。

 

ビジネスなんだから開き直ってやればいいんだけどそこが日本人の微妙な点であった。

 

しかし今は潮目が変わってきた。B級料理の居酒屋という業態であればいけることが分かった。B級であれば日本人でもそれほど高い味は要求しない。

 

日本人が経営して日本人が料理して日本人がサービスをするB級居酒屋、それでいて一定の味を保つ、そして何よりきっちりと労働法を順守して働く、この流れが出来てきた。

 

世界に飛び出していく和食文化であるがあまり高級化してはビジネスとしての成功は難しい。まずはB列車でいこう、である。



tom_eastwind at 18:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月22日

NZ不動産相続

ニュージーランドで1億円で不動産を購入する。その後この不動産を子供に譲渡する。納税資金の55百万円は父親が子どもとローン契約を作成して別途納税する。これで第一段階は終了。

 

次にテナントから入る家賃を原資に父親にローン返済する。理論値であるが不動産は10年後には50%程度値上がりしている。これで父親が納税した5千万5百円もほぼ取り返すことが出来る。

 

実際には様々な條件があり両国の法律があり簡単に売った買ったでは終わらないが大きな筋書きは上記である。

 

この條件としてAucklandの不動産市場がこれから10年間平均5%程度の値上がりをすることがある。また物価上昇率も目安になる。現在はAucklandなら毎年5%程度上昇している肌感覚だ。政府発表はNZ全体で3%とのこと。

 

これは人口動態とAuckland不動産市場を数字で見てみれば分かる。毎年人口が増えて住宅が足りない。昭和30年代の東京が今のAucklandなのだ。

 

為替リスクもあるが、これも最近20年のNZドル対日本円の動きを見れば4年単位で為替が戻ることが分かる。

 

不動産管理リスクもあるが損害保険をかけて地元の不動産管理会社に依頼してしまえば自分が直接テナント募集や家賃回収や補修をする必要はない。

 

しかし何よりも大きな点は二つ。

 

1つは収益物件を被相続人である父親から早期に子供に移してこれ以上被相続人の資産を増やさない事だ。

 

もう一つは、相続税はこれから確実に上昇する。昭和の時代には85%という相続税があった。これはすべて政府の考えによるが、個人が築いた資産は亡くなった時点で政府に全部返しなさい、これをどう再配分するかは政府が決めますよという事だ。

 

すでに相続税の第二次増税は財務省内で議論が始まっておりこれから近いうち(財務省が方針を決定して内密に政治家や官僚に伝えて彼らが資産を隠し終わった後に)に発表されるだろう。

 

これからの10年で相続税が上がることはあっても下がることはない。一時期相続税が安かった時期はバブルで不動産が上昇しすぎて一般市民が納税資金が作れなくなったからだ。

 

今は55%の相続税であるが、これが85%になれば?だったら早い内にNZで不動産を買って30%の節税をする方が良い。政治家や官僚もNZ不動産に目をつけているかもしれない。



tom_eastwind at 10:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月21日

日本社会という男にとっての監獄

「男という名の絶望 病としての夫・父・息子」幻冬舎

「社会の監獄に閉じ込められた若者たち」講談社

 

何だかすごい本が出回っている。

 

***

会社ではリストラに脅え、家庭では「夫」として妻との関係に疲弊し、「父」としての居場所を失う。そして、「息子」として母親の呪縛にも苦しめられる……。「仕事」という大事なファクターにヒビが入った時、男の人生は瞬く間に崩壊の道へと向かってしまう──。男であるがゆえの苦しみ、『男であること』とはいったいなんなのだろうか?

=男という名の絶望より=

***

 

現在の日本の社会構造を見れば普通のサラリーマンにとってはまさに毎日が断崖絶壁の細い茨の道でありちょっとでも踏み外せばそのまま谷に落ちてしまい二度と元に戻れなくなり残された道は・・・。

 

うわ、たまらんな。けどこれは事実だ。まだ20代前半男性で高い学校教育(高いとは学歴ではない、奨学金等のローンだ)から始まり就職して社会に組み込まれ賃金は上がらずぎりぎりで生活しているから結婚出来ないなどまだましかもしれない。

 

何故ならそんな未来が来るとも思わずにすでに結婚して妻と子供を持ちこれから介護の必要が出てくる母親がいる40代「男」にとっては人生がまさに逃げ道のないデスマーチになっているからだ。

 

デスマーチ(死の行進)はシステム業界で使われる用語で取引先との最初の要件定義を間違ってしまい、それ以降の工程でどう頑張ろうと絶対に失敗する案件のことである。男も最初の人生の要件定義を間違ったために今の時代になって苦労をすることになる。

 

男は1990年代までの価値観で育ち親の面倒を自分が観る、奥さんは専業主婦で子供の中学は私立、それも二人、なんてなった日にはいくらカネがかかるのか。

 

ここ20年全然給料が増えていない、てか減ってる状況で子供たちは大きくなって高校、大学とカネが必要になる。妻がパートに出ても106万円の壁がある。これ以上もらうと支払うほうが多くなるという不思議な税率の壁である。

 

そしてこれから最大の問題は母親の介護だ。

 

自分はリストラになるわけにはいかないから働き続けて会社に張り付き続ける。何があっても上司に睨まれないように上司より絶対に早く帰らない、上司に誘われたら必ず飲みに行く。

 

とにかく上司のイエスマンであり続ける生活をあと20年近く続けなければいけない。1つでも間違えばリストラ対象、年を取れば取るほど働ける職場はなくなるしリストラの時点で子供の進学もアウトである。

 

そんな時に母親の介護は妻に依頼するしかない。けれど妻からすれば他人の親である、政府で面倒みろよって話だ。そこで疲れて帰って来た夫と話をして何とか負担を軽減出来る方法を二人で考えようよなんて言うと「それはお前の仕事だろ!俺は疲れてるんだ!」となる。

 

夫失格。

 

子供たちとはまともに会話をする時間もなくいつの間にか自分は蚊帳の外。時々頑張って話しかけると「お父さん、うざいよ、あっち行ってよもー」となる。携帯ばかりカチャカチャやってて「お、チャンス」と思って「お前な、携帯ばかりやってるとよくないよ」とか言うと「何言ってんのお父さん、少し時代がずれてない?」ぐらいならまだしも「うるせーよ、オヤジのカツラ、ずれてんじゃねーの?」

 

父親失格。

 

近くに住む母親に時々連絡を取るのだが最近はわがままになりあの人が悪いとかこの人がひどいとか挙句の果てに「あんたの嫁は、ほんとにダメね」と言われる。俺も頑張ってるんだよなんて言っても聴く耳なしでひたすら愚痴ばかり。「あ〜あ、うちの子供も親のことなんてちっとも考えちゃいない」

 

息子失格。

 

夫として父親として息子としてすべてうまくいかない状況がこれから何年続くのか。妻とは全くうまくいかず子供が大学卒業するまで後10年くらい、母親の介護は何十年になるのか分からない。

 

そして問題は自分が何とか定年まで務められたとしても年金だけでは食っていけないという現実である。そう、60歳過ぎまでがむしゃらになんとか仕事にしがみついて働いても退職後の人生は長く、死ぬまでの30年近く誰も面倒を見てくれない下流老人になっていく。

 

まさに逃げ場のないデスマーチである。後ろからは銃剣で追い立てられて前に進めばそこは断崖絶壁、落ちるしかない。

 

今の日本社会はまさに出口のない監獄であり立ち止まることの出来ない茨の道をぐるぐると死ぬまで365日あてどなく回っているようなものだ。

 

しかしそれでもこれはリストラされなかった場合の話である。夫、父親、息子、これだけの重しを抱えてこれから何十年も生きていかなくちゃいけないのに41歳でリストラされて今まで何とか家族を抱えて生活していたその原資であるサラリーが消えてしまったら????

 

人間失格。

 

その時男は自分を「人間失格」と思うかもしれない。その時男の目に見えるのは山手線の線路だけなのかもしれない。

 

「男という名の絶望 病としての夫・父・息子」幻冬舎

「社会の監獄に閉じ込められた若者たち」講談社

 

まさに今40代のサラリーマン男は読まないで下さいである。けれど今20代であればまだ何とか出来る。サラリーマンではなく日本で現業(理容、建設、介護等)の仕事をいくつも学ぶとか地元を出ずに学校の友だちと起業するとか。

 

20代ならまだ戦える場所を作られる。親に言われた普通に生き方をしているとデスマーチになると肌で実感して日本社会という監獄を自分の住みやすい場所に変える方法を今から考えて欲しい。



tom_eastwind at 14:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月20日

花いちもんめ

ニュージーランドにとって中国は今や最大級の貿易相手国である。酪農製品などが人気であるが、NZのクリーンなイメージが農作物のイメージ全体を良くしている。

 

そこでジョン・キー首相が現在訪問中の北京で自由貿易交渉の進化交渉をしているのだけど政府高官と会って話をする時にとにかく彼が気をつけているのが「南」とか「海」という言葉である。

 

南シナ海。

 

中国が海洋進出しようとしている現在、日本から豪州までの真珠のネックレスで抑えこもうとしているが、じゃあ該当地域から6km以上離れたニュージーランドの立場はどうなるのか?ネックレスで一番近い豪州でも2km離れている。

 

つい先週TPP会議で米国に飛んだ時は米国の友人と久闊を叙しニュージーランドは小国と言えど元英連邦の一員であり今でもエシュロン共有してて同じ価値観を持つ英語を話す「俺たち仲間!」であることを確認したばかりであった。

 

ところが今度は北京で「僕らは自由貿易の仲間だ」と言わねばならない。その時に南シナ海という踏み絵を要求されるのか?政治家から直接「南シナ海についてNZの見解を伺いたい」とか記者会見で「NZは南シナ海の問題について中立ですか?どちらを経済パートナーとして認識していますか?」などとか聴かれたらどうするのだ?

 

一昨日の夜もTVONE6時のニュースでアナウンサーが「ジョン・キー首相が米国と中国の間に挟まっております」と喋ってた。

 

ニュージーランドはTPPでも最初から交渉に入ってたように、どちらかというとアジアの一員の小国という位置付けを意識している。これは対米重視の豪州とは違う。

 

英国圏5カ国(英米加豪NZ)のしっぽにいて毎回バカ兄貴共に馬鹿にされたりからかわれるよりも、アジアの中で小国だけど法治国家という位置付けでASEAN各国と交渉した方が理論的に話が出来て気持ち良いのかもしれない。

 

しかしここに来てアジアの中の焼けボックリとなった南シナ海の領海争いに巻き込まれるのも面倒である。

 

米豪側に付いた発言をすれば中国を敵に回すし南シナ海の領海について何のコメントもしなければ米国から「このやろー、また逃げやがったな!」という事になる。豪州が良い顔をしなくてもNZとしては気にならないが米国相手ではさすがにそうはいかない。

 

アジア諸国、例えばフィリピンあたりからすれば南太平洋の小島の首相が何を言おうとあまり意識はしないだろう、所詮は白人どうしの内輪喧嘩であると認識していると思う。

 

さて北京訪問中のジョン・キー首相、この問題をどう取り組むのか?そう思いながら昨晩のニュースを見ていたら、おお、狐狩りだ、NZに逃亡した中国人のうち60人を中国に強制送還する話を話題に取り上げたようだ。

 

彼ら逃亡犯は大金持ちでありそのカネはニュージーランドにあるので両国の税務署で話し合って半分こにするだろう。これで中国人社会は相当ビビるだろうがニュージーランドを逃亡先に選ぶってどうよって話なのがキーウィ一般市民の感覚である。

 

お互いにとってあまり利益にならない南シナ海の楽しくない話するよりお互いの目の前の利益になる逃亡犯の逮捕がずっと心地良い。

 

今回の狐狩りはジョン・キー首相の判断であろう。何故なら彼はニュージーランドで最も北半球金融ビジネスに通じておりNZ政界入りするまでは米国のメリルリンチで副社長まで勤めたタフガイである。中国相手の駆け引きも出来る。

 

中国人にカネの匂いを嗅がせて「おい、領海とかじゃなくて儲かる話をしようじゃないか!」とでもやったのかもしれない。中国の高官もNZ産の粉ミルクが飲めなくなっても困る。うまい方法である。

 

これに対してNZの人権団体が反対している。彼らを本国に送還したら死刑の可能性もあるからと。政府は建前ではNZは外国人犯罪者に対して厳しいのですと言いつつバーに行けば「背に腹は替えられんもんな、けどたった60名かよー」とか言ってるのかもしれない。

 

これからも米国と中国の間に挟まれて小国外交を続けるしかない「花いちもんめ状態」が続くこの国、「次の一手」がいつも見てて楽しい。



tom_eastwind at 13:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月19日

今日の安倍首相

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安倍首相は、予定通りに実施しない場合の要件として、1)リーマンショック並みの経済悪化要因の発生、2)東日本大震災のような自然災害の発生──を挙げていた。

JPモルガンの菅野氏は、今回の熊本地震を受け「消費増税延期の条件が発生してしまった」と指摘。「経済対策の規模も、財政再建派を説得して拡大することになるだろう」と予想し、増税延期と10兆円規模の大規模経済対策の組み合わせもあり得るとみている。

http://blogos.com/article/172375/

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安倍首相はこれで増税実行も増税延期も、両方のカードを持った事になる。

 

国際石油価格の下落が円安による日本の輸入商品の値上がりに大きな影響が出ずにいるのも、実に運がよいとしか言いようがない。

 

財政規律派の言ってることも帳簿の上では正しいが生きている人間については安倍首相の方が現実的である。ここで増税して景気が悪くなるのは確実だ。

 

財政規律派閥からすれば「国民なんてなんぼでもいるんじゃ、誰かが倒れたら死体を乗り越えてついてこい!」であるが安倍首相からしたら今生きている国民に投票権があるわけでそんな無茶は言えない。

 

ただ安倍首相は運はあるけど経済政策運営に腕がない。だからお仲間に吹きこまれてアベノミクスやったわけで結果はもう失敗が目に見えている。

 

アベノミクスで一番大事なのは構造改革である。ここにこそ日本の成長の芽がある。各省庁が自分とこの既得利権として農業や医療を持っているがそういうのを外に出す必要があるのにそこは鉄板で跳ね返された。

 

そうだろう、既得利権に手を突っ込むと官僚を敵に回すことになり長期政権を目指す安倍政権としてはあまり官僚ともめたくない。

 

そこでまずは黒田バズーカで市場にお金を流しこんだ。このバズーカに反応するように株価は上昇し円安になり輸出企業は潤った。しかしバズーカ砲の弾が銀行から先の投資する企業にまで届かない。当然だ、今は日本も需要がないのだから。

 

次はさらなる株価上昇を狙って年金機構が持ってる年金が原資のカネを使って日本の株式市場に出動させて株価維持PKO(Price keep operation)で投資家を喜ばせて日本の株式市場が潤っているように見せる。

 

国債については政府が発行する分を日銀が全量買取りだから政府はいくらでも国債を発行出来て、ここも見かけは素晴らしい。ハイパーインフレという問題を除いては。けど政府の負債を考えればハイパーインフレ狙いもあるかもしれない。

 

何せ日銀副総裁が2年前に約束した「2年後は物価成長2%!出来なきゃおれ首!」とまで言ってたのに、その時の話はすっかり忘れたような顔をして「これから物価成長2%!」である。忘れやすい国民を持つ政府は幸せである。

 

ちなみに日銀がアベノミクスで物価上昇2%とぶちあげた時、多くの経済学者は「その方法じゃ無理だよ」と言ってた。案の定である。そして一旦インフレが起こると2%で落ち着くのか?誰も制御出来ないぞ。

 

実は株式にしても国債にしても今は脳死体に生命維持装置付けてるだけで外してしまえば終わりである。

 

そしていよいよマイナス金利導入である。ここまでやれば流石に銀行も資金を投資に回すだろう、そう読んでのことだ。何せお金を持っていたら減るわけだから投資するしかない。

 

しかしそれは日銀の考え方であり銀行からすれば怖いのは金融庁の検査である。日銀に言われて投資した先の評価は金融庁が決めるわけでもし評価が低ければ貸し倒れ引当金を積まないといけなくてこれは銀行にとって一番やりたくないスキームである。なのでお金が出て行かないのだ。

 

どうしてもお金を民間に流したければ日銀から財務省経由で金融庁に金融検査マニュアルを「質的緩和」してもらう必要がある。こうなれば銀行は誰に貸そうが自分の責任ではない、これで資金は市場に出まくる。そこでバブルが起これば安倍首相はほくほくである。

 

そしてその勢いが後4年、東京オリンピックまで続いてくれれば安倍首相はおじいちゃんに匹敵する首相となれるのだ!

 

ただそのような経済的事実は国民の多くが知る必要のない話であり、新聞の一面では安倍首相が東京で今回の大震災の復旧指揮を取る写真が飾られる。新聞とテレビだけが情報収集手段である投票権を持つ人々からしたら「お、あべさん、いいね」となる。

 

カッコいいですね、作業服着て防災ルームで次々に指示を出しそれをテレビで見せると国民は安心する。

 

最初は「すぐに現地入りする」と言ってた安倍首相だがその後の連続する地震に「東京で復旧指揮を取る」に切り替えた。良いタイミングである。東北大震災の時は現役総理大臣が現地入りして指示系統を混乱させた。

 

経済は弱くおそらく本人も今更勉強と言うよりも周囲のブレーンに任せて官僚たちとうまく交渉させて、自分はロシアのプーチンと会談して北方領土の解決を図る。

 

北方領土は冷戦時代の日露関係が近づかないように米国が作った壁である。日本を西側に取り込んでおくためにはロシアと交渉させないのが一番だ。そのためにはロシアが経済的に苦しい時に北方領土の話を持ってきても「四島一括でないと駄目だ!」と断る。つまりロシア側が「飲めない」條件を突き出していたのだ。

 

今回ロシア側が領土問題解決を持ちかけてきたのはおそらくオバマが現役でいるうちに世界三局体制、つまり米国は自国に戻るよ、日本はアジアの中でロシアと普通に交渉していいよって許可が出たのだろう。軍産複合体が邪魔をしてくるかどうかは不明であるが安倍首相とプーチンが会談となればある程度の根回しは出来ているのだろう。

 

安倍首相、忙しいですね。顔がだんだん佐藤栄作に似てきたぞ。



tom_eastwind at 12:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月18日

バスストップ

僕の住むニュージーランドでは最近バス専用レーンの設置やバスの本数を増やして朝晩のラッシュの解決を図ったり、Park & Rideという仕組みを導入している。

 

Park & Rideとは自分の住む街の自宅からバスターミナルまで自家用車(又は自転車)で移動してバスに乗り換える仕組みだ。これでシティの混雑を避ける事が出来る。

 

クイーンストリートも下り車線にバス専用レーンが出来て、これで一車線通行になった。これからもバス優先政策が出てきてシンガポールのようなナンバープレート末尾の奇数偶数で街に入る車を制限するとか出てくるのかもしれない。

 

ところが今日から始まったスクールホリデイ。これが始まると車の通行量が半分くらいになる。

 

だったら一年中スクールホリデイにすりゃいいって話であるが、流石に学校を一年中休ませるわけにもいかない。

 

でもって今日は笑い話。

 

あるAucklandに住む英国人の話だ。話と言っても大したことではないが、彼が住んでた英国の地方ではバスのことをブス(BUS)と発音している。

 

これは由々しき問題であるが彼の英語が日本人にどう思われるのか、彼には関係ない話である。

 

そこでこの話を仲間にしたところ、何とオーストラリアのある人々もバスの事をブスと発音するようだ。

 

想像してみよう、オーストラリアを旅する若い日本人女性が田舎の町でバスターミナルを探して地元の人に道を尋ねる場面を。

 

「あの、すみません、このバスターミナルはどこですか?」

「あ、ブスね、ブスはあっち行けばいい」

 

言われた本人が手鏡を見ながらどこまで傷つくのか分からない。泣き出すかもしれない。第一英語で話しててブスだけ日本語なんておかしくない?と冷静に気づけば良いが、そこは素直で真面目なワーキングホリデーであるから気づく可能性は低い。

 

言葉は自国語の発音がやばい事は多々ある。広東語でも上司に「分かります」という意味で「はい」を使うことが多かった。しかし最近では「うん」に切り替わってる。「はい」の発音が非常に微妙で、1つ間違うと往復ビンタになるからだ。

 

そして地元キーウィ弁護士と雑談をしている最中に日本人の英語の発音の問題になった。僕が「日本ではBをビーと発音してVをブイと発音する」と言うと全く意味不明な顔になって「なんじゃそりゃ!」である。更にLRの発音をすると「えー!」である。

 

ちなみに香港ではZの発音は英語が話せる中流だと「イーゼ」である。冗談ではなくこう発音する。ちなみに香港では米国シカゴの呼び名は「チカゴ」である。

 

こんな例は枚挙に暇がないが日本やニュージーランドに豪州や英国訛りが流入してこない事を祈る。



tom_eastwind at 21:50|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月17日

書き言葉

「美味しすぎる、ひ、広すぎる、アタクシ、え、こんな値段で売れた?」

 

最近こういう言葉をウェブやウェブ広告等で見かけるようになった。

 

「アタクシ」については広告ではないが本人が書き言葉としての日本語を使い慣れてないのがよく分かる単語だ。ブログなどで時々見かけるが子供の頃から良い本に触れないままに大人になったのがよく分かる。

 

話し言葉は口と耳が正常であれば幼児の頃から自然と覚えて大人になればそれなりに話が出来るし対応可能である。

 

しかし書き言葉となるとそうはいかない。小学校や中学校でしっかり国語を学び基礎を作り自分で読書もして文章を書く練習をすることで正しい日本語を正しく使う事が出来る。

 

それをこの「アタクシ」達はブログ時代になりネット発信されるようになってやっと自分の出番登場となったが自分の事を何と書けば良いかブログで検索していたら有名人が「アタクシ」とか使ってる。か、かっこーいー!

 

そこで「アタクシ」が今日食べたものや映画のことを書くのだけど何せ「アタクシ」なので語彙が少ない。そこで絵文字やキラキラを乱発して更に「美味しい!美味しすぎる!」を連発する事で相手にあなたのリテラシーが直接確実に伝わる事になる。

 

「お友達のマンションをお尋ねしましたー、ひ、広い!広すぎる!」なんてのもありだ。

 

広告では「え?俺のマンション、こんな価格で売れたー!」とやってる。

 

こんなのに誰が引っ掛かるのか、そこが不思議であるが考えてみれば「アタクシ」の日本語リテラシーが「えー!うっそ、私のマンション、高く売れるんだー!」と思わせるのも無理はない。

 

人生は長い。今30代の人でもあと70年近く生きるようになる。今からでも遅くない、書き言葉としての日本語を学ぼう。



tom_eastwind at 18:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月16日

熊本地震

614日の時点では熊本地震と呼ばれていたが震源が東進して今度は阿蘇を襲った。死者は増えて橋は崩落。とは言いつつもこれだけの大地震が中国で起これば数千人単位の死者が出るわけで、その意味では日本の耐震技術は優れていると思う。

 

しかし東進する震源が大分や別府まで揺らすとなると僕の個人的な問題である。大分も朝からずっと揺れており住民は避難するかしないか迷っている状態だ。

 

古くて壊れそうな家に住んでる人は公民館避難もあり得る。しっかりしたビルであれば中にいるほうが安全であろう。

 

熊本地震でも写真で見る限り倒壊した建物は古い民家や2階建てアパートなどであり、耐震性のビルに入居している熊本の夜のレストランは今日も開店しているところもある。

 

これは大分も別府も同様であり、地震が続くと言いながら今日の土曜日、大分の都町の居酒屋とか別府の流川のホテルは稼ぎ時であり通常営業である。

 

面白いものだ、地震の揺れの中で新入社員歓迎会とか送別会とかやってると、自分が酔ってるのか地面が揺れてるのか分からなくなるだろう。

 

阿蘇山の真下に震源が行けば阿蘇の大噴火もあるのでは?景色変わるぞ。

 

けどそれが日本の歴史であるのも事実だ。大地震と火山の噴火は歴史的に発生しており、けれど人々は食い物と寝るとこを確保して都町の歓迎会にも参加して、何だかんだと言いつつ地震と共生する日本だなって思った。

 

但しこれ以上震源が東進して大分に来ればこれは個人的問題。



tom_eastwind at 18:37|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月15日

暇だから帰っていいよ

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『今日は暇だから帰っていいよ、今日は客が少ないから来なくていいよ』は違法です

 

201641日から労働時間を定めない労働契約(ゼロ時間契約)を禁止する法律が施行されました。ゼロ時間契約とは労使間で労働時間を定めず、雇用者はいつでも必要な時に労働者を呼び出したり、帰らせたりと雇用者が都合良く働かせることができます。一方、労働者は賃金や手当の支払われない待機時間を強いられる上、生活に必要な賃金を得られる労働時間が確保されない恐れがあります。施行される禁止法は、労使双方に対し、雇用契約書に週当たりの最低労働時間を明記することなどを義務付けています。

http://nzdaisuki.com/bbs

***

 

おそらく拡散希望だと思うが文責当方。

 

NZでは毎年最低賃金が上がり今年4月からは1時間12.50ドルである。この国は政府主導で賃上げをするから民間企業が「いやー、内部留保が少なくてー」などは通用しない。

 

カネがなければ自分で働け、人を雇っても給料払えないビジネスはするな、でもある。雇用が生まれなくても政府の社会福祉がある。

 

そして政府が同じキーウィとしてよく分かっているのが、一度この規定を緩めると19世紀の英国のような労働者こき使いになる性質を英国人が持っているからだろう。

 

このゼロ契約は実際にマックとか飲食業でやってて数カ月前には「ゼロ契約違法!」デモをクイーンストリートでやってた。

 

僕もこのゼロ契約を見てて「どうなのか?」と疑問を持っていた。するとオーナーからすれば「客がいないんだから仕方ない」「どうせやることないんだろ」「社会人の勉強させてやってる」みたいな返事に、こいつらいっぺんまとめて労使交渉してやろうかと思ったくらいだ。

 

たしかに飲食業界では決まった労働条件を守らないどころか、最初から分かって時給を守らない強者もいる。時給を計算するのにそこから賄いを引いてみたり注文間違いはアルバイトの自己負担とか。

 

おそらくこの業界で一番労働内容が酷いのがインド、それと肩を並べるように中国人である。彼ら店主側は自分が王様、労働者は何でもさせられる奴隷くらいの感覚である。

 

そこから少し下がって韓国人レストラン(日本食と偽っている店が殆どだ)で、ここあたりは日本人アルバイトを雇って使い捨てである。

 

そこから更に下がって日本人レストランである。ただ日本人レストランと言っても上記のようにオーナーが中韓というのがよくある。

 

なのでオーナーが日本人の日本食レストランという括りでいけば、印中韓よりはましである。

 

しかしそれでも古くからやってる店主の中には日本人を労働ビザで釣って最低時給より下で働かせていざ労働ビザ申請となると「そんなの知らん」と平気で言うことがある。

 

話は少しそれるが随分前の話だけど、ある時当社に駆け込みのご家族がやって来た。奥さんが真っ青な顔でご主人は絶望的な顔で、笑っているのはちっちゃい子供二人だけだった。

 

お話をお伺いすると、NZの永住権取得の為に奥さんが子供二人と旦那を残してNZにワーキングホリデービザでやって来て1年働いたらワークビザ申請するという店を見つけてそこで実際に一年きちんと働いた。

 

さあこれでワークビザだと日本に残った家族を呼び寄せて皆でオーナーに挨拶に行ったところ「ワークビザ?知らん」で終わり。見事にざっくりと切られてしまった。

 

家族4人はすでに日本を引き払ってAucklandに来ており旦那も会社を辞めていた。どうする?そんな状態で一縷の望みで当社に相談に来られた。

 

話を聴くと労働契約書もないし文書にした「ワークビザ取ります」もない。この状態でさあどうする?いきなり4人のビザが乗っかかって来た。

 

当社はビザコンサルタントではなくあくまでも弁護士と組んで仕事をしているのだけど、このケースでは弁護士がいてもどうしようもない。

 

何故なら契約書がないからだ。

 

この国は契約社会であり契約書がないのは致命的である。さらにもっと問題はこのご家族には残された時間が少ないという事である。このまま観光ビザで滞在しても3ヶ月しかいられない。

 

そこで僕は随分ノータリンなアタマを使ってグルグルと絵を描き始めた。ご主人の仕事内容をお伺いして奥さんの日本での経歴やAucklandでの経歴を確認した。奥さんが働いてた店は僕もよく知っている。

 

そして描き上げた絵を見せて説明した。今からこうやってああやって到着したばかりの家族がどうやって何もないところからワークビザ取得、そして永住権申請すること。

 

これはかなり大胆な計画だったがご夫婦の決断の固さだったのだろう、かなりアクロバットだったけどすべてクリアーした。

 

その後子供たちは地元の学校に通い(最初の頃は英語出来ない)この家族は永住権を無事取得した。

 

僕がやった事はすべて合法である。合法であるが法律のギリギリの範囲まで考えて一歩手前で止めるやり方だ。永住権も当時は今ほどルールが厳しくなかったのも良かった。努力と色んな幸運が重なりこの絵は無事に終了した。

 

話は最低賃金とゼロ契約に戻るが、これもまたアジア系は思いっきり無視しそうだ。これからも摘発が続くのだろう。日系では最低時給とゼロ契約を守るとやっていけない店も出てくるかもしれない。

 

それでもこの国では労働者と雇用者は平等でありそれは法律で守られている。興味のある方は他にもいくつか書き込みがあるのでご覧になると勉強になると思う。



tom_eastwind at 14:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月14日

利と理

もう10年以上前の話だがAuckland在住のある日本人ビジネスマンから「そんなに働いてどうするの?そんなに自分だけ稼ぎたいの?」と言われて本当にびっくりした事がある。

 

なるほど、この人のアタマの中では働くことってのは自分だけの金儲けでしかないのだなー、この人自称ビジネスマンと言ってるけど僕の考えるビジネスマンじゃないなと分かった。

 

ビジネスには利と理がある。会社の存在とは社会に有益なサービスを提供することであり社会的に不要になったビジネスは印刷の植字工(文選)のように消え去るのみである。

 

しかし社会は人々にとって生活しやすい場所であるべきだ。その為に社会に必要な新しいサービスを提供する会社が出来てサービス提供を行い、同時にその会社は雇用と納税を通じて社会を潤す事にも繋がる。

 

ぼくの考えるビジネスモデルはそれ自体が理を持ち消費者へのサービス、雇用、納税と、参加する全員がそれぞれ利益を得られる事だ。理があるなら、社会に必要であればリスクを取ってでも参入する。だから仕事をしてても全然疲れない。

 

もちろんビジネスである限り「社会に必要だから最初から赤字でやれ」というのはあり得ない。社会に必要とされててもそこに利益が出なければ社員に十分な給料を払いビジネスを継続することが出来ないからだ。

 

ビジネスが継続出来なければそのサービスは終了となり人々は困ることになる。だから適正価格というのが出てきて参加者全員が納得出来る価格構成になる。

 

そして同時に大事なのはそのサービスに理があるかという点である。理とは物事の道筋とか道理である。簡単に言えば自分の子供に言えるようなビジネスか?である。

 

例えば僕が16年前から続けているビジネスの一つに医療通訳サービスがある。当時日本から来た旅行客が現地で病気になるけど英語ができない。添乗員もガイドもある程度英語が出来ても医療通訳は全く違う。

 

仕方なく現地の病院が雇った通訳は礼儀も知らず態度も悪く客は不愉快になる。通訳はまるで病気になったお前が悪い、こんな簡単な英語もできないお前が悪いという態度でそのくせ通訳は当時で1時間300ドルの通訳費用をもらっていたのだ。

 

そして病院によっては保険があってもその場で現金で払えという事が普通だった。日本の訳の分からん名前の保険会社の手紙より目の前の患者からもらった方が早い。現金の持ち合わせがない日本人は苦労したものだ。

 

当時旅行業であった僕はその状況を見て日本人にとって何か出来ないかを考えてお客様が日本で加入する旅行傷害保険の内容を読み込んでみた。

 

旅行傷害保険は旅先での医療をフルカバーしてくれる。その中には「現地で行われる通訳行為やその他付随する行為」が入っていた。それから旅先で支払い不要なサービスもある。これなら対応出来る。

 

しかしこれには日本の保険会社と契約をする必要がある。これがまず大変である。頭の固い日本の保険会社にどう説明するのか?高い壁だ。また同時に医療を分かる日本人スタッフが必要となる。

 

そこで僕はまずシドニーの日系大手損害保険会社に行きAucklandの医療事情を説明した。そして彼らが今までしかたなく使っていた費用の高いアジャスター(中継会社、通訳もここに入る)を使わずに直接当社とやり取り出来るメリットを説明した。

 

最初は「どうなの?」という顔をしてた彼らも僕が何度か訪問しているうちに理解して契約してくれて当社がAucklandのキーメド病院内に医療通訳オフィスを構えて日本の看護婦免許を持つスタッフを配置してプロのサービスを開始した。

 

そりゃそうだ、日本では毎日患者さんと接していたのだから相手の言いたいことが分かるし、ましてや「病気になったあんたが悪い、英語が出来ないあんたが悪い」という発想など絶対に出てこない。

 

すると他の保険会社もその話を聴いて次第に当社を利用してくれることになり結果的に日本の保険会社すべてと提携出来て現在の無料医療サービスが提供出来るようになった。

 

16年経った今でも「すべて日本語で日本人看護婦が通訳をしてくれるサービス」として利用されており年間約900人が利用してくれている。

 

そして何より良かったのはこのビジネスを通じて16年間のあいだ当社でメディケアスタッフとして働いてもらった日本人スタッフ達の雇用を生み縁のある人は永住権を取得してもらい、NZ政府には16年間きちんと納税をしていることだ。

 

ビジネスには利と理が必要である。利益も大事だけど理がなければそのビジネスは長続きしない。やってる人はいずれ疲れて退場する。実際そういう人々を多く見てきた。

 

参加した皆が利益を得ることが出来てそれが理にかなっていればお互いの長い信頼に繋がるし社会の成長があると思う。



tom_eastwind at 10:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月13日

国家統計の嘘

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米連銀(FRB)が、昨年末から始めた利上げ姿勢を続けることができなく なっている。米国の当局や金融界、マスコミは以前から、経済の状況を実際よ り良い風に粉飾している観があるが、最近は当局でさえ、米経済のゼロ成長を 認め始めている。米連銀(FRB)の一部であるアトランタ連銀は4月8日、 今年1−3月期の米経済の成長率が0・1%しかなかったとする概算を発表し た。3月まで、アトランタ連銀を含む当局筋や金融界の米経済の成長予測はだ いたい年率2%台の後半で、これをもとに米連銀は「世界経済は悪いが米経済 は好調だ」と言い、資金流出に苦しむ新興市場諸国をしり目に、ドルの延命策 である利上げを続ける姿勢を、昨秋から続けてきた。だが、0・1%前後の成 長率が間違いでないなら、もう米連銀は利上げできなくなる。

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上記はある有料ブログ記事だが、例えば米国の雇用統計が良くなったと言う時は、今まで一人のフルタイムを雇って仕事してもらってたのを二人のパートタイムにして雇用を二倍にする裏技である。これで雇用増加か?

 

なぜ経営者がこれをするのか?パートタイムであればオバマケア(医療保険)に加入しなくて良いからだ。

 

中国の経済成長率も67%と公表されているけど実際の鉄道輸送量や工場に積み上がった在庫、特に鉄鋼業における在庫を見れば「売れてない」のはすぐ分かることだ。

 

だから今中国では鉄鋼製品を思いっきりダンピングして東南アジアに売りまくり、自分が作った開発銀行AIIBを使って設備投資計画を決めてそこに中国の残余資材を売りつける。これは勿論定価だ。

 

なので中国の現状は消費市場として膨れあがる13億人の胃袋は活発だが世界の工場ではもうなくなりはじめている。なので中国の経済成長率はすでに3%以下ではないかと感じている。

 

こう思うのも、中国関連のサイトを観てると公式の数字と一つ一つの現場の数字に辻褄が合わないからだ。

 

鬼城問題、輸出不振、逃げる共産党幹部、こういう情報の部分を組み合わせると出てくる答は「中国、ダメね」なのだ。

 

そして肌感覚の部分で言えば実はほぼ毎日お昼ごはんを食べている富士の金太郎でカウンターに座りながらテーブル席の中国人グループの言葉が耳に入るからだ。

 

一昨年までの「とりあえず永住権取る、安く取る」でやってた「いなご中国人」の起業家ビザが崩壊したが、去年から今年にかけて来てる人々は人種が違っている。

 

明らかに投資家ビザで永住権を取る、その理由を彼らがAucklandの中国人エージェントに現状を話しているのだけど、その片言が耳に入ると「ああ、これは地方政府に近い現場の声だ」と分かる。その「声」が中国のこれから来る惨状を説明しているのだ。

 

政府の嘘ってのはどこの国でもあることで、それは日本も同様である。ただ日本は比較的真面目であり経済数値などは嘘をつかなかった。

 

ところが去年から今年にかけての成長率がどう見てもおかしい。予測と実態の乖離が「何で?あんた東大でしょ?」と言いたくなるばかりだ。日本の数字は公開資料で観ることが出来るのでその不自然さが分かる。

 

城山三郎の「小説日本銀行」で戦後すぐの時代、主人公の日銀行員が親や親戚に聴かれて「な、あんたなら分かるだろ、現金で持つべきか債権買うべきか」みたいな選択で、日銀行員はもうすぐハイパーインフレが来るのが分かっているのに身内に対して最悪の助言をした、それが国家にとって正しいからだ。

 

国家の統計発表とは戦時中の大本営発表と同じである。ミッドウェー、ガダルカナル、ニューギニア、すべてが隠蔽されて日本が勝ってるという統計になってたが昭和20815日、統計の嘘が表出した。

 

そして日本敗戦、大本営発表を信じてた多くの国民は騙された事に気づくがその時はもう取り返しがつかない。

 

日本、米国、中国、このあたりの最近の政府発表はあまり真に受けない方が良い。



tom_eastwind at 20:50|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月12日

観測気球

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[東京 12日 ロイター] - 石原伸晃経済再生相は12日の閣議後会見で、来日中のOECD(経済協力開発機構)のグリア事務総長から来年4月の消費税10%への引き上げについて、予定通り実施すべきとの提言を受けたことを明らかにした。

 石原経済再生相によると、グリア事務総長から「EU全体の間接税は2割程度で、そのようなものが必要」「15%まで1%ずつあげていくのが望ましい」と提言されたという。

***

 

「ぼくちゃん、OECDさんから消費税15%まで上げろって言われたよー、もっと上げて20%でもいいよってー」如何にも石原氏らしいばかっぽい内容だ。もうちょっと自分のアタマで考えて自分の言葉にすれば良いのだけど、この人最後はいつも他人任せで原稿読むだけである。

 

消費税増税は財務省がすでに何をするかの工程表を作っている。後はそこに入れる日付をどうするか、だけである。日付についてはその時の政治や政局に応じて調整する。

 

しかし2020年以降も消費税を確実に増税するのは官僚の既定路線であるからその方向性が変わることはない。これは群馬県の八ッ場ダムを見ても分かるように官僚たちは一度決めたら絶対に変えないのだ。

 

今年の総選挙では財務省が政局をじっと睨みながら「安倍首相、政治的判断で1年は譲りましょう、けれど2020年以降に消費税を20%を目処に上げること、OKですよね?」

 

そこで政府としては財務省の意向が世間にどう映るか確認するために今日本に来ているOECDの有力外人助っ人を使って石原氏と談話をさせて、ほんとに言ったかどうかも分からない事をニュースとして流す。アナウンサーは石原氏である。

 

もしかしてこの助っ人は石原氏に「おい石原、今晩銀座の店連れてけや。日本の景気の堅調さを実感したら消費増税15%、店の女の子が可愛かったら20%と発言してやる!」とでも言ってたのかもしれない。

 

安倍首相としては今年の選挙で確実に議席の三分の二を取るために消費税増税再度延期をする。そのネタとして彼もスティグリッツなどの外人助っ人を米国から呼び寄せて言ったか言わないか分からない話を「こちらの高名な経済学者様がこのように言っております」と空気を醸成するのだ。

 

ここでも十分な報酬がスティグリッツ氏に支払われるが、気にするなそれは税金だから。

 

そして石原氏も安倍氏も他の偉い人に話をさせるこの方法なら「自分が言った」ことにならないのでお気軽である。

 

もし世間の反発が出そうなら「あ、いやいや、あれはですねー、日本経済を知らない外人の話したことですよ〜、わたし?私は勿論世間の皆さんに賛成ですよ〜!」

 

世間の空気を読みつつ落とし所を探っていく観測気球である。



tom_eastwind at 10:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月11日

パナマ文書2

世界で大騒ぎになっているパナマ文書、そしてこれはニュージーランドでも大問題になっており毎日TVONEでトップ記事になっている。

 

けどあーいう世界ではごく普通のことだろうと思ってたら日本にまで飛び火しているようだ。ところが肝心の日本ではあまり報道されていない。

 

1年位前ブリティッシュバージンアイランドの顧客リストが流出した事がある。その時には日本人の名前と住所がはっきり出ておりグーグルで検索すると日本の老舗の企業の名前が出てきた。

 

しかしその時は世界ではあまりニュースにならずに資料を受け取った各国政府が個別に対応しただけでいつの間にかニュースは終息した。

 

なので今回だけこんな大騒ぎになってるのはどうなのか?と思うが、問題は一昨日ジョン・キー首相が記者会見で説明したように「すべて合法である」事を、まるで違法であるように訴える記事の風潮だ。

 

これは良くない。嘘はよくない。法的に問題ないのだから法律を知らない個人が金持ち叩きのネタで使うようなことはよくない。そんなのやったらもう法治国家ではない。

 

但し国民の感情論として「この国を引っ張っていくはずのお前らが何をやっているか!」であるのは確かだ。合法だ、しかしずるい。これは政治家としては如何なものであるか。

 

この風潮(国民の怒り)は世界に一気に広がっているがロシアではプーチンが「そんな文書は嘘だ!」と発表して中国ではもっと簡単に「報道禁止」である。

 

しかし西側民主国家で国民選挙のある国では相当にヤバイ。英国ではデイヴィッド・キャメロン首相が守勢に入っており国民への説明責任を求められている。

 

この文書の出処を巡っては様々な憶測が出ておりいずれ誰かが叩かれた時に利益を得る連中が黒幕という事になるのだろうが、米国など国が大きい上に政界、民間産業、軍事産業、外交奥の院が米国内でそれぞれ丁々発止をやっているから本当の正体は当面分からないだろう。

 

日本でこのニュースがあまり大きく報道されない理由の一つにどうやらパナマ文書には日本の大手企業が入ってるからだという話がある。

 

日本の大手企業としても法的には問題ない。しかし春闘や安倍労働組合委員長の賃上げ要求には「原資がない」と言いつつパナマに蓄財してましたでは洒落にならない。

 

更に日頃企業ビジネスの道徳など格好良い事を言ってる企業の社長がこの事実をバラされたらヤバイだろう。

 

メディアとしてもいきなり広告主を刺すような事は出来ないのでいつもの通りのメディアと広告主だけのウィンウィン関係が続くのか。

 

そして情報が抑えきれなくなった瞬間にメディアが切るのか。見どころである。

 

ニュージーランドでは既にジョン・キー首相の信託財産についても公表を求められている。ジョン・キー首相の名前がパナマ文書の中にあったかどうかは不明であるがジョン・キー首相としても情報公開していく事になるだろう。

 

もしかしてこれは来年の米国選挙狙いか?クリントン候補が関係していたら確実にOUTだ。

 

それとも誰か本当にこの世界を変えようと考えた人間が仕掛けたのか?もし世界を本当に変えたいなら通貨をすべて廃止するという方法がある。

 

誰も現金資産を持たずすべての支払は個人番号で行われてすべての取引は銀行経由で行われて透明になり誰もが誰もの資産をネット検索で簡単に把握出来る。

 

そしてそのうち個人財産にばらつきがあるようになれば全世界の資産から一定額を財産税として納税して誰もが平均財産になるようにする。

 

2050年あたりには何となく実現しそうだが、その時には裏番号が出てくるのだろう、上に政策あれば下に対策ありである。



tom_eastwind at 17:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月10日

ジョン・グリシャム「司法取引」

朝起きて「あれ?いつもよりちょっと遅いな」と思いつつ歯を磨きヒゲを剃りシャツとスーツを着て車を出す。何かいつもと感じが違うなー。

 

主要道路に出ると、あれ?車が少ない。おっかっしいなと思い携帯電話で確認すると、何と今日は日曜日ではないか。

 

仕事着のまま自宅に戻り「あれ?もしかして一日得した?」とか思いながらもう一回部屋着に着替えてジョン・グリシャムの「司法取引」を引っ張りだして日曜に読了。やっぱり得した気分だ。

 

この人の作品はどれもが良質で楽しめる。

 

法律を元にした様々な事件をテーマにしているが今回も様々な法律を援用して弁護士である主人公が無手勝流ですごい事をやっている。

 

司法取引は日本とは全く法律が違う米国で第35条と呼ばれる。刑期中の犯罪者が他の犯罪の解決に寄与した場合に適用されて刑の停止と刑期の減免が行われる。

 

黒人弁護士にはなかなか良い仕事は回って来ない、ただでさえワシントンでは弁護士が溢れており駆け出しの黒人弁護士に机を提供する事務所はない。

 

仕方なく田舎に戻り毎日の細かい仕事をこなしていくがその中に一つ、受けてはならない依頼があった。結果として弁護士は刑務所に放り込まれて10年の刑期をつとめる事になる。

 

これが冤罪であることは明白だったが「悪い時に悪い場所にいた」というだけで告訴されて有罪になる理不尽さ。

 

物語はここからだ。5年後、弁護士は塀の外で起こった判事殺人事件の犯人を当局に告発して35条の適用を受けて釈放になる。

 

判事殺人事件には複雑な要素が絡んでいるようで自宅の金庫から何か盗まれたものがある。それは何か?

 

警察、検察、FBI、刑務所長、それぞれが自分の立場を守りつつ(つまり自分にとばっちりがかからないように)出来るだけたくさんの手柄を取ろうとする心理戦の様子が実に見事に描かれている。

 

刑務所を出た黒人弁護士はそこから彼ら司法機関をそれぞれに鼻面を引き回しつつ騙し合いに次ぐ騙し合い。グリシャムの楽しめる点は筋書きがびっくりするような仕掛だらけでありながら単なるストーリーテラーではなく場面ごとに選ぶ言葉の語彙の多さと使い回しの上手さである。

 

最後の最後まで気が抜けない小説である。ジョン・グリシャム自身も弁護士であり現場の経験をしているから場面のあちこちに細かい仕掛をしている。それを読み取るのもまた楽しい。読み取れず後で引っ掛かったらまた戻って読みなおしである。

 

「司法取引」を読了して楽しい日曜日でした。



tom_eastwind at 11:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 最近読んだ本  

2016年04月09日

景気、悪化している。

内閣府与論調査を朝日新聞がまとめている。

http://www.asahi.com/articles/ASJ486D2BJ48UTFK014.html

***

「社会で満足していない点」(複数回答)では、「経済的なゆとりと見通しが持てない」(44・4%)、「若者が社会での自立を目指しにくい」(37・1%)、「家庭が子育てしにくい」(28・5%)の順だった。

***

 

現在の日本は社会構造の二極化が始まり更に二極化が固定化をするという状況である。

 

大学に入学した時点で若者の将来の就職先は限定され(現在の求人活動では大学と学部を限定することで足切りする)更に卒業時が就職不況などで時期が悪ければブラック企業に就職して夜中まで働かざるを得ない。

 

その企業を辞めても次の就職先は見つからず一時しのぎと思って始めた建設工事現場の警備員、仕事が忙しくて求職活動もままならず。これが何年も続くことになる。

 

給料は上がらず毎日が何か気ぜわしく過ぎていく。ワンコインで買える弁当が「激安!」と言われてた時代は過ぎた。「俺って、このままなのかなー」

 

世の中の二極化は若者の実力や努力と関係なく進んでいく。これは社会の仕組みの問題であり個人が抵抗出来るものではない。

 

政府としては若者が社会の予定された場所に配置されて政府の思うように動いてくれればそれで良い。東大法学部卒業だけが名前を持ち日本の支配階層に入るべく選ばれたエリート官僚になる。

 

それ以外の若者は名前さえ不要である。社会が必要とする現場活動する中で必要な仕事をすればよい。Fラン大学を卒業すればそこにあるのは現場職。

 

政府が求めているのは自分の立場をわきまえて夏は暑く冬は寒い現場で黙って働く若者であり要するに替えのきく社会の捨て駒でしかない。東大法学部以外は大卒でも高卒でも関係ない、後は能力に応じて自分で社会の居場所を見つけろってことだ。

 

それなら最初から高校卒業して地元の工場で働いた方がよほどましであるが、それは教育産業が大学も含めて稼ぐ為に「大学だけは出とけ」と親のアタマに擦り付けさせる。それは単純に「周囲がそうするから自分もそうする」だけである。

 

そして奨学金を受け取ったら卒業後はその返済に苦労することになる。これじゃあ結婚もできんわ。

 

そう。その通り、社会の仕組みに乗っかってベルトコンベヤーのように流された先はあなたに似合った職場が待っていることになる。

 

しかしそれでも南米の子供に比べれば「まし」であろう。南米で今何が不足しているかと調査すれば一番の答は「治安」であるのだから。

 

僕から言いたい、「この際だ、開きなおって現場仕事のプロになってやる、俺は現場のプロだ!」そういう気概を持って現場を生きれば仕事が楽しくなるし目も活き活きとするし、そういう時って不思議に運が舞い込んでくる。

 

ぼくは高卒で派手な移住を3回やった。その度に現地の人々に助けられた。幸運というものは、頑張っていれば舞い込んでくるものだ。

 

自分を信じてもうだまされないぞと社会に疑問を持ちつつ選挙に行きこれからの人生を視点を変えて楽しもうではないか。

 

それと社会の二極化とは20%の人々と80%の人々に振り分けられ、それでアンケート調査したら80%の方が数が多いわけで当然「世の中、経済的な見通しが持てない」となるのは当然だろう。



tom_eastwind at 11:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月08日

RAMEN LAB

最近Aucklandではラーメン屋さんが増えている。いよいよ地元民もヌードルの味が理解出来るようになった。

 

考えてみれば1970年代の東京ではとんこつラーメンが存在せず東京から福岡に出張した東京人を長浜ラーメンに連れて行くと入り口に入る前に「う、臭い、うー、こりゃちょっと無理!」と断られたものだ。

 

ところが東京に「なんでんかんでん」が出来ると九州出身の東京在住者が食べに行くようになり、そして次第に豚骨に慣れた東京人が今では「豚骨美味しい!」と食べるようになった。

 

時代の変化は食の変化でもある。Aucklandのレストラン事情は1年で随分と変化するので昔の記憶はもう通用しない、てか、若いスタッフにそんな昔話すると「えー、あ、そうですかー(一人で懐古してろ)」で終わり、うざそうな顔されるだけだ。

 

今朝会社に行くとつい2日前に新しく出来たRAMENRABのメニューが回ってきた。スタッフの一人がこの店の主人と知り合いだ。「昨日行ったけど、何食べても美味しいですよ、ばっちり」

 

そう言われて、ふーむ、今日は不動産円建てローンビジネス会議をする予定だったが、それならと市場調査も含めてチーム一同タカプナにあるラーメン屋さん「ラーメンラボ」に行く。

 

車の中では今回の円建てローンビジネスの仕組みを説明して後半はラーメン屋さんのメニュー見てタカプナに到着した。

 

ここはタカプナ1背の高いアパートの1階にテナントとして入ってる随分と小綺麗な店だ。シティの汚いラーメン屋に彼女を連れて行くのはご法度だけど、ここならOK,女性に喜ばれる入りやすい作りである。

 

何だか一昨日やっと開店出来たとのこと。準備は去年からやってたが市役所の許可にほんとに時間がかかる、待たされてしまったとの事。

 

NZでは新規開店の店はいつも3ヶ月位待たされてその間空家賃払い続けってのがよくあることだ。そう言えばメニューにはEST2015となってるな。

 

席数は25席程度、まだリカーライセンスが取れてない。主人のご趣味なのだろう、店の奥の方にエレキギターとフォークギターとアンプと、何だよく見たらこのままステージにするのか?って感じ。

 

お店の内装は全体的にいかにも日本人が設計した事が分かる白い木目調で入り口には10名くらい座れる大きなテーブルがある。僕らが来た1210分にはこのテーブルにマレーシア人かな、5人組が座ってた。

 

メニューはラーメン中心にトッピング、それに餃子などがある。注文を取りに来たスタッフは若いけどきちんとした日本人女性でちゃんとメニューが取れて客と会話出来る。

 

他のお店である時「お冷ですかお水ですか?」と聴かれた時には耳を疑ったものだ。他にもスタッフの殆ど?全員?が日本人である。

 

ぼくはメニューの最初に乗っているとんこつラーメン12ドルをネギ抜きで安心して注文する。安心とは、店によってはネギ抜きの注文がキッチンに届かずとか届いても無視されたりすることがあるからだ。

 

他のスタッフもそれぞれ注文し終わると段々お客さんが増えてきている。注文したラーメンが出てくる頃には8割近く埋まってた。

 

出来たばかりなのに皆よくしっているなーと思いつつとんこつラーメンのスープをれんげで飲んでみると、これは美味い。この味ならシティ内の自称ラーメン屋も負けるぞ。

 

スープは豚骨ながらあっさりしていてくどくない。麺は細麺でチャーシューはしっとりでパサパサではない。他にトッピングできくらげがあり全体のバランスも良く取れている。豚骨ラーメンはこのシンプルさが最高である。紅しょうがとニンニクチップは無料で追加出来る。

 

麺を一口食べてみて「柔らかい味だなー」と感じた。ますます女性好みである。但し僕は九州なので硬めの方がいいな。ラーメンを食いつつ不動産企画の話をしつつ、久しぶりにのんびりした社外会議になった。

 

ちなみに日曜はお休みだそうです、リカーライセンスが取れたらお酒売るけど今はBYOもなし。それでも食べ終わった時の気分は「あー、久しぶりに普通に美味しいラーメン食べた」という満足感でした。ここはAuckland在住の日本人にはお勧め。僕も次回の来店もありです。

 

RAMEN LAB

R2  8 Huron street Takapuna.

09-489-9902



tom_eastwind at 16:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月07日

乞食

昨日の夜のテレビで話題になってたのがAucklandやウェリントンの大通りに座り込む乞食である。

 

10年前はほぼ誰もおらず5年前も少ししか見かけず、ところがこの1年で急激に増えた。それも中には元気そうな若者が薄汚い格好で道端に座り込みタバコを吸いながら紙コップを振って「カネくれ」とやってる。紙コップ振ればカネが入ることを覚えたからだ。ちなみにタバコ一箱20ドル(約1,600円)である。

 

街の景観としてあまりにみっともないし働こうと思えば仕事はあるわけで、大体ヴィトンの前で汚い格好で乞食をするのは「働かずに食っていく」という資本主義の最先端を追求しているのか単にバカで小銭が集まって納税しなくて良いからやってるのか。

 

いずれにしてもこの問題は1年前からAuckland市議会でも議論になり、乞食取り締まりをやっていた。

 

ところが問題はクイーンストリートで救世軍あたりが募金を集めるのと乞食とどう違うのかとか、音の外れた笛を吹くだけの下手な大道芸人と乞食とどう違うのかとか、乞食を生む社会が悪いとか、わけの分からん社会主義者のいつもの通り答の出ない議論になっていた。

 

しかし現実的には町中にはびこる乞食対策が必要であり、そこで昨日出てきた一つの案が「乞食にカネを渡したら違法とする」だ。

 

乞食にカネを渡せばその場で罰金刑である。1ドル渡して10ドルの罰金とするのか細部は未定のようだが、いずれにしても仕事が十分にある今のAucklandやウェリントンで若者が乞食をするのは良しとは言えない。

 

今までは普通のキーウィが何の考えもなく小銭を渡していたがそれがどういう問題になるかは予想できた事だ。そして予想通り1年で街の乞食は急増した。

 

ぼくは社会における「施し=乞食」問題は一概に悪いとは思ってない。戦後の日本でも神社のお祭の時には神社の片隅で白い軍用浴衣を身に着けた手や足のない傷痍軍人達がお祭りに参加した家族から施しを受けていたものだ。

 

全員が本当に軍人だったかどうかは分からない。だが日本の為に戦争に行き大怪我を負って帰国しても日本政府の「施し」は雀の涙であった。公的扶助が届かない場合に私的扶助があるのも良いと思う。

 

東南アジアの托鉢僧のように毎朝お布施を頂く文化もあるしイスラム国家では富める者が貧者に寄付をするのは当然だという考え方もある。

 

しかしAucklandやウェリントンの乞食の場合そんな社会的見地からどうのこうのという高尚な議論ではない。

 

仕事もあり社会保障もあり食っていける状況なのにへらへらにたにたとタバコを吸いながらだらけて乞食をして道行く人々を不愉快にさせる行為ってのはまともなキーウィからすれば「ふざけんな!もっと真面目に生きろ!」である。



tom_eastwind at 16:50|PermalinkComments(0)TrackBack(0) NZの不動産および起業 

2016年04月06日

出張強盗

***

財務省は、2016年度に印刷する1万円札を前年度より1億8000万枚(1・8兆円分)多い12億3000万枚(12・3兆円分)とする計画を決めた。

 1万円札の印刷枚数はここ数年、年間10億5000万枚で横ばいだった。日本銀行が始めたマイナス金利政策の影響で利息が低下した銀行預金ではなく、自宅などで現金を1万円札で保有する「タンス預金」が増えているようだ。

 マイナンバー(共通番号)制度の運用が始まり、将来、自分の資産を国に把握されたくないと考える人が増えていることもタンス預金を拡大させているとみられる。一方、5千円札は8000万枚、千円札は1億枚、それぞれ印刷を減らす。

 日銀の2月のマネーストック速報によると、世の中に出回っている現金の量(月中平均)は、前年同月比6・7%増の90兆3000億円で、13年ぶりの高い伸び率だった。特に1万円札が6・9%と大きく伸びている。5千円札の伸びはわずか0・2%だった。

 お札は財務省が印刷計画を作り、実際の発行は日銀が担う。

***

 

世間ではタンス預金が増えて金庫の売上が急上昇している。銀行に預けたらお金減るんだったら現金で持っておく、けど金庫の購入費用と預金口座管理費用はどっちが高いのか?

 

勿論マイナンバー制度があるので高い金庫でも良しとする考えもあるだろう。

 

けどこれを狙って次に急増するのが1.8兆円を狙った中国からの出張強盗である。これはきついぞ。彼らには日本の強盗の常識が通用しない。ヒットアンドアウェー、日本滞在時間は24時間以内で強盗を成立させて中国に戻る。

 

僕は香港時代に中国人ギャングによる香港ビジネスマン誘拐殺人事件をしょっちゅうニュースで見てきたが、彼らは中途半端ではない。

 

深センでビジネスマンを誘拐して翌日身代金を持ってきた秘書をまず殺して(警察に通報してないから確認出来ない)次にビジネスマン本人を殺してその体を切り分けてビジネスマンの乗っていたベンツで北西に向かい100kmごとにその手足を捨てていくからまとまった死体が残らないので探しようがない。

 

今までも日本国内で出張中国人による犯罪が行われた事はあるが今回は特需である。

 

中国人グループはまず金庫を買った顧客リストを金庫販売会社のデータベースから盗み出す。これは簡単だ、ネットの世界では中国は強いから民間会社の情報なんてあっという間に盗み出せる。

 

次にその顧客の住所を調べてグーグルアースで場所確認して仲間を送り込み昼間と夜の人通りを調べ、家族の行動を調べる。

 

治安の甘い日本の個人住宅なんてご丁寧にご家族全員のお名前を書いた表札まであるわけで日本の法律なんて関係ない出張強盗からすれば予め住所さえ分かればどうにでもなる。

 

それから侵入経路と脱出経路の確認、金庫を開けることが出来る人が在宅の時を狙う。侵入の際は宅配を装えば良い。

 

出張強盗からすれば会った事もないし二度と会うこともない日本人だ、強盗に入って逆らえば殺せば良いだけだ。カネを奪ったらすぐに中国行きの直行便が飛んでる近くの空港に移動する。カネは空港で仲間に渡し自分は身奇麗になって中国へ戻る。数時間で成立する効率のよい犯罪である。

 

こうなると次に出てくるのはセコムである。不安にかられた人々はセコム等警備保障会社と契約する。契約は激増する。警備保障ビジネスは実際に現場で警備をする人が必要でありもろに雇用増加に繋がる。

 

こうやってお金は実体経済に流れて雇用を生みアベノミクスの経済効果バンザイ!

 

そして一年もすると金庫を買った人たちは中国人による強盗リストに載せられるよりはとタンス預金をまたも銀行に預け入れ、銀行は管理手数料という新たなビジネスを開拓出来て財務省と肩を並べてバンザイである。



tom_eastwind at 19:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月05日

ニュージーランドがタックスヘイブン(租税回避地)?

昨日のTVONEニュースでジョン・キー首相が「ニュージーランドのどこがタックスヘイブンだ!」と訴えてた。

 

金融分野ではジョン・キーはプロである。自分が世界の金融界で働いていた時によくやった金融スキームだから他の国にケチを付けられてもすぐに自分の言葉で反撃出来る。

 

実際にNZは日本との租税協定を結んでおりタックスヘイブンでないのは明快である。

 

今回の話はパナマが発信地である。北半球の超お金持ち(ロシアのプーチンとかアラブの王様とか)がどっかの大手会計事務所に相談してどっかのそれなりのスキームを組み立てる事が出来る事務所を紹介する。

 

その事務所がまず顧客のためにパナマに会社を作りパナマの会社がニュージーランド等に信託を開設して資金はニュージーランド信託で運用されるが誰が本当の持ち主かは分からないという筋書きだ。

 

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016040400733&g=int

 

NZでは正当に運用されて正当に納税されており何も問題はない。法的にもすべてクリアーしている。外国の連中が何を文句言うかといったところである。

 

しかしながらこのようなニュースが流れた以上、NZの税務署も今後は「このカネは誰のだ?」という調査が厳しくなるだろう。本人確認である。

 

日本人にとっては「え?こんな手続き今までなかったよね?」というような手続きがどんどん導入されていく事になる。

 

銀行口座開設にしても去年からどんどんルールが変更になっているし不動産の売買でもNZ非居住者の場合は居住国の納税者番号を報告する義務が出てきた。こんなの昔はなかったぞーと言っても「昔は良かったですねー」で終わりである。

 

実際に昔は良かった、日本だって昭和の時代は良いことたくさんだった。しかし、昭和は遠くになりにけりである。ルールは変わった。新しい規則でやっていくしかない。

 

OECDと世界の財務省会議がどんどん新しい規則を導入しており金融の世界はどんどん変わっていってる。何せニュージーランドでさえタックスヘイブンと言われるようになったのだから。



tom_eastwind at 16:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月04日

サマータイム終了

先週末で長いサマータイムも終わりいよいよ秋の気配である。朝起きると空気がひんやりしていて昼頃には夏空が広がり夕方にかけてまたひんやりとする。Aucklandは一日の中に四季があるとも言われるほど気温差が大きい。

 

日本人の間ではサマータイムと呼ばれているが正式にはDay Light Savingで日曜日の朝に時計の時間を1時間遅くすることになる。

 

そして月曜日の朝になると携帯電話とパソコンは自動修正されているのでOKだけど、車の時計、バスルームの時計、リビングルームのタイマー、キッチンの時計などすべてが手で調整が必要である。

 

ところが僕はこういう機械系に弱いので触らずに置いておく。すべての時計をアタマの中で「あ、こいつはサマータイムだから1時間引こう」とか時計ごとに対応することにしている。この方がてっとり早い。

 

中にはリモコンが正しい時間になっているのもある。これはこのリモコンがサマータイムの間中冬時間になっていたという事だ。それでもやっていけるのだからどうにかなる。

 

駐車場に車を駐めて(これは文法的にダブりではないか。馬から落馬とか)会社のビルに行くとグランドフロア(日本で言う一階)の時計が何と11時15分を指している。

 

まっさかなーと思いつつオフィスのある7階の時計を観るとこれまた11時15分である。

 

つまりこのビルの管理人の頭のなかではサマータイムが終了して月曜日の朝オフィスに来るテナントが困らないように始業前に1時間プラスにして責任ある仕事を果たしたという気持ちなのだろう。

 

努力は認めるが、君キーウィだよね、英語分かるよね、結果論からすればダメですよねとなる。

 

けどこういう点がキーウィなんだよね、良くやってくれる、けど失敗する。でもまあいいや、ビルの向かいにある交差点を見下ろす大時計はクリスマスのサンタを降ろしてからずっと午前11時を示したまま、止まっている。

 

うちのスタッフがビルの時計が間違っているのに気づいて真面目に「責任持って仕事しましょうよ」と文句を言ってた。それは分かる、その通り。

 

けど、やっぱりそれを含めてこれがキーウィなんだな、自分はそうならないようにしよう、けれどこれがキーウィなんだな「よかれと思って間違う」と思った月曜日でした。



tom_eastwind at 17:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月02日

漢字のとめはねはらい

いよいよ漢字文化が変わる・・・のか?

 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H0Y_Z20C16A2CR0000/

 

http://blogos.com/article/169884/forum/

 

ちょっと旧聞であるが僕にとって積年の問題であった漢字の運用方法が変化するようだ。

 

僕は子供の頃から漢字は親しんでいたが「とめはねはらい」については常に大いなる疑問を持ち常に反抗して来た。先生にはうまく説明出来なかったが漢字にはその骨格があり読む人が間違わなければ意味は通じるのでは?という疑問である。

 

ところが国語の先生はどうしても細部に拘り「とめはねはらい」を生徒に求める。それから書き順とかも。

 

僕は例えば田という字を書く時は◯書いて中に十を書いていた。誰もがこれで読めた。不満な先生は「そんなの間違っている」というが、意味が通じるものを何が間違いなのか?

 

書き順に至っては学校の教えた方法はまず使わなかった。何が楽しくて書き順まで先生に命令されんといかんのか。

 

小学校の頃は随分先生と喧嘩したものだ。ある国語テストの時などは国語担当の先生にあえて反抗する為に「僕の漢字」で勝負した。先生も大したものでゼロ点ではなくマイナス点にされた。

 

テストで間違えれば点が取れないのは知っていたがマイナスが付いたのは初めてだった。笑った。

 

記事を読むと文化庁は昔からとめはねはそれ程問題にしてなかったとの事。けど、今になって言うよなって話である。昭和の時代にとめはね!で困った子供はたくさんいたのだ。



tom_eastwind at 17:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

2016年04月01日

時給上昇

今年4月からいよいよ最低時給が15ドル25セントになった。今日の為替レートで考えてもすでに一時間1,200円である。ここ15年以上、NZ政府により毎年最低賃金が上昇している。

 

エイプリルフールではない。ほんとに時給が毎年上昇しているのだ。

 

Aucklandでは肌感覚の物価で毎年5%上昇している。政府のデータは3%というが。

 

 

需要があるから物価も上昇しているのでAucklandで生活をする人々の最低賃金を上げていくのが当然の政策である。そうでなければ店主による労働力搾取が起こる。ここはNZは明確に労働者を守る国である。

 

そして人口が増えて仕事が増えているAucklandでは時給15ドル25セントを払ってでも労働力が必要となる。

 

マックやKFCがすべて自動化されれば別だろうが今は店員は必要とされている。マックもKFCもボランティアではないので当然商品の値上げをする。

 

値上げをしても生き残っていける店だけが生き残っていく。最低賃金を守らない店は労働法違反で摘発されて商売は出来ない。

 

そうやって街が活性化されるし商品の品質が上昇していく。そしてまた来年最低人件費は上昇する。これがアベノミクスの熱望しているトリクルダウンだ。

 

繰り返すが今Aucklandで起こっている景気上昇はエイプリルフールではない。



tom_eastwind at 19:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌