2005年08月17日
「震災列島」 石黒耀 講談社
最近の地震、立て続けですね。東京で震度5の地震にも遭遇した僕は、かなりの興味を持って買ってしまいました。
静岡にある浜岡原発が、東海地震によって崩壊?!確実に起こると言われている関東大震災をテーマに、近未来の日本を描いてます。
ちょうど先週読んだ「はいどうなん」と似たような切り口ですが、こちらは最初から学術本を小説風に書いており、すべては地質学や環境学によって実証された事実のみを組み立て筋書きを作ってます。
地震や津波、台風など天災には事欠かない日本で、地震地帯の真上に首都を作り、首都移転法という法律を作りながら移転・分散をしない危機感の薄い政治家に対する厳しい批評。
そして実は静岡の浜岡原発の真下にも地震の発生地帯があり、国策で作られた無用な原発が日本の地震被害を更に拡大させるという事実に目をつぶる、自然災害に対する国策の無さ。
地震を背景に、名古屋の一市民の視点から地震の発生とその後を描いた本ですが、構想や筋書きはしっかりているものの、一市民であるオールドナゴヤンと暴力団の対決と言った、ちょっとこの筋書きにそれが適しているのですか?と疑問を持つ部分もある。
ちょっとミステリー風に書いている途中の文章は、読んでて疑問を持たされた。最後に何かあるのかなと思って読み終わったけど、やっぱり何も無い。頑張って蓋を開けて見たら空っぽだったという感じ。そしてもう一つは、暴力映画には必ず性的描写がないと気が済まない作者なのかと疑う部分もあり。
勝手評価は3、ですね。