2005年08月30日
月を売った男
北半球と南半球で、同じ月を見ていた。
NZの総選挙では公約合戦が続き、日本の総選挙では郵政解散で大揉めになっている、そんな最中に、偶然同じ月を見ていた。
月と言えば思い出すのが、1953年ハインライン作の古典SF「月を売った男」だ。主人公ハリマンは、広告会社に「月という郊外掲示板」を売りつけ、小国や大国を相手に駆け引きをして月の所属を自分のものにしてしまう。すべては、自分が月へ行きたいが為に。
続編がある。「鎮魂歌」だ。
ハリマンの夢は叶い、彼は月のオーナーになり、人々は月を往復するようになったが、その時彼の体はすでに月旅行に耐えられなくなっていた。それでも月に行こうとするハリマンと、止める周囲。彼は遂に、身分を偽り、おんぼろ輸送宇宙船の船内に隠れて月に向かう。
船長が言う「こいつがどこのおやじか知らないが、誰でも夢を持つ権利はあるんだ、叶えてやろうじゃないか」
まさにレクイエム、鎮魂歌だ。宇宙で死ぬなんて、恐怖さえ感じるが、行きたい、そんな気持ちを持ってみたいと思う。いつまでも、そんな気持ちを持っていたいと思う。
30年以上前に読んだ、素敵な月の話だった。
tom_eastwind at 12:33│Comments(0)│TrackBack(0)│