2006年03月25日
大増税への露払い
政府資産を112兆円圧縮=売却に「市場化テスト」導入−自民チーム
老朽化した国家公務員宿舎・庁舎の売却や、政府が保有する金融資産の圧縮、国有財産の命名権売却が柱で、財政再建に向け、政府に徹底した資産・負債の管理を求めている。
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昨日の時事通信記事。いよいよ政府も本格的な大増税を始めるとの宣言である。「政府の資産圧縮でしょ、良い事では?」とお思いの方、世の中はそんなに甘くありませんよ。
今回の各種(医療、一般所得、消費税、年金など)大増税については、自民党は最初から「まず削減出来るところをきちっとやって、それから国民に信を問う」という姿勢で臨んできており、実際にそうやってきた。
自民党内部のお話・
「税金を取る道をある程度決めたら、次はマスコミと国民対策だ」
「よし、じゃあ自民党が自ら政府試算を圧縮すると言う<自分の痛み>を国民に見せよう、そしたら今年中に増税をやっても、国民からの反発は<圧縮>出来る」
こういう会話が自民党内で行われたのだろう。しかし
1・資産圧縮は<自分の痛み>ではなく、あくまでも官僚や役人の痛みである事は黙っているべ。結局政治家個人の腹は痛まないべさ。
2・選挙対策として「改革する自民党」のイメージを強調出来るから、票に繋がるだべさ。
3・増税して財政再建すれば、国家収入が安定して、今後も長期政権が続けられるべさ。
という「裏」がすけすけな話なのだべさである。
マスコミは何故それを書かないか?おいおい、何を言ってる。マスコミとは政府の宣伝機関であることをお忘れないように。
戦前は朝日新聞を代表に国民を戦争に駆り立て、戦後は物凄い勢いで突っ走る日本経済機関車に巻き込まれて殺された被害者団体(公害、成田、エイズ等)へのガス抜き装置として利用された大手商業新聞などのマスコミは、常に政府と時代に迎合しているのだ。
しかし、何より問題なのは、政府のこの手段に間違いはないという事だ。だから政治家が少々個人の腹を太らせても、国家全体を考えれば、政治家が少々くすねても「仕方ないか」となるのだから困ったちゃんなのだ。
今の日本、増税なき財政再建はあり得ないし(勿論究極の方法=バンクホリデーやスーパーインフレ等はあるが、それを取ると将来に禍根を残す伝家の宝刀だから容易に使えない)、かといって世論を全く無視して国民が万が一でもクーデターを起こしたら、これはまたやばい。
まあ、クーデターまではいかなくても、すでに国民は、国民年金などの納税拒否という手段で実質的に政府に反抗しているのだが。
政府が一番怖いのは納税拒否である。これをやるだけで国家は破綻する。考えてもみよう、納税だけの為に警察が全国すべての個人住宅に上がりこんで強制執行を物理的に執行出来るか?不可能だし、それをやれば本当に国民が武力で抵抗するだろう。
しかし国家に金がなければ、すぐに政府経済は破綻するし、そうなると一時的に日本銀行券を増刷するしかなく、そうなるとインフレを起こしてしまうのは自明の理だ。その後に来るのは無政府状態である。
だから政府としては、何としても財政再建をするしかなく、その為には露払いとして政府の襟を正さねばならず、その意味において今回の判断は当然である。
え、じゃあ結局何が言いたいの?と思う方もいるだろう。僕が言いたい事は、これから日本は明治以来の大増税をやるよ、でもそれを招いたのは、総論賛成各論反対、おらが村だけ儲ける為に政治家を選んだ国民の、当然支払わなければいけない自己責任的罰金であるということだ。
それでも隣国である中国に比較すれば、まだまだ日本の方が罰金が軽くてよい。あちらの国では罰金ではなく罰則であり、その最高刑は死刑である。多くの中国民が何故海外で生活をするか?それは彼らが自国の不透明さを、四千年の歴史の中で身に染みて理解しているからだ。
「まあ、いつまでも悪いわけじゃない、10年もすればまた良い世の中が来るさ」そう思う人が日本国民の大半だろうし、だから日本はいつの時代も最終的に一等国民(変な表現だが、他の言葉を思いつかない)でいられた。国民がいつも全体の事を考えていたからだ。
ただ気になるのは、最近の日本の若者の知識低下や感情不足による「切れやすさ」が、今回の大増税を引き金に犯罪を誘発するのではないかという点である。折角大増税をやるのだ、その代わり国民に対する「飴」として、少なくとも治安確保の為の警察予算だけは増やして欲しいと思う。