2006年06月23日
ソフトパワーな新移住者 1
ソフトパワー
「ソフトパワー」の著者、ハーバード大学教授のジョセフ・ナイは、明確な脅しや取引ではない、第三の力が、それぞれの国が外国によって持たれている固定観念を変化させ、それは伝統的な外交を補完するという考え方だ。
例えば「ジャパン」はゲイシャとフジヤマと思い込んでた米国中西部の農民がサッカーW杯観戦で日本に来ると、そこでは電車の切符を買う時も、郵便局でお土産の小包を田舎の子供に送る時も英語が通じる!
そしてニューヨークのような大都会のトーキョーでさえ、忙しそうに道行く人々がわざわざ立ち止まって米国中西部の田舎者の訛り溢れる英語を一生懸命聞き取って、無知な質問に一生懸命答えようとしてくれている。
「おいおい、日本って、フジヤマだけじゃね〜ぞ、うちの爺さんが第二次世界大戦で戦ったジャップじゃね〜ぞ」となる。間違ったイメージ、古いイメージを打ち壊すのも、ソフトパワーの仕事だ。
ソフトパワーが強力になれば、国民レベルで日本への理解が高まり、例え両国が外交の延長で戦争の危機に瀕しても、国民レベルで「日本人が戦争を望むわけがない」という事を理解しているから、政府は戦争に突入せず、更に外交で協議を重ねようと言う事になる。
相互理解による信頼関係、結局このようなソフトパワーが、世界を平和に、国家運営を安定させたものにするという考え方だ。
日本はW杯前後から「ようこそJapan」キャンペーンを行い、もっと日本を外国人に知ってもらおうと努力している。NHKの外国での放送も、その一環である。手塚漫画、宮崎アニメ、パフィ音楽人気も後押ししており、日本を知ってもらうソフト政策は成功している。
もし今NZに住んで、子供と一緒にカートーンネットワークを見ていれば、パフィがどれほど日本に貢献して、英語の番組の中で日本語を連発して、それを5歳の子供が何時の間にか自分の語彙に入れているか、気付くだろう。
***********************
新移住者への取材
今週は日本から某新聞の記者さんが取材に来られてて、そのアテンドで過ごした。
彼の目的は、最近の金融規制緩和で株式投資やファンドの購入等で資産を作った日本人が、海外に移住して海外で資産運用をしているという前提で、最近移住した富裕層、資産家への取材である。
しかし実際に取材をしてみると、富裕層はいるが、資産形成をファンド等の金融商品で形成したという人は、意外といない。
てゆ〜か、最近の新移住者は、殆ど皆が日本でまっとうに一生懸命働いて資産を作り、移住してきたというモデルだ。
日本で資産運用をしたものの、ライブドアと村上ショックで、これからの日本は規制が強化される事に気付いた資産家が、海外に移住して運用してしまえという事になっているのではないか、これが新聞社側の「読み」であろう。
勿論この取材先がニューヨークやシンガポールであれば、そのような移住者もいるだろう。しかしニュージーランドを選択する人には、そのような法的規制での基準はない。
新移住者の選択基準は、子供の通学路や学校の中が安全で、家にいきなり火をつけられたり、車や泥棒が飛び込んでくるような危険がなく、振り込め詐欺もなく、銀行金利で生活が出来て、家族が一緒の時間を持てる生活を望んでだ。
NZへの新移住者が持つ資産は、昭和中期から平成にかけて日本で一生懸命働き、昼間の太陽の下で汗を流して働き、毎晩終電で帰り、家庭に負担をかけながらサラリーマン生活を何十年も送った人たちがゆっくりと築いた財産であり、金融やITバブルで作ったお金ではない。
富裕な新移住者と言いながら、彼らのお金には一つ一つ名前が付いている。バブルのアブク銭ではないのだ。
この南向きの2階建ての家は万博当時に無理して20年ローンで買った前の家が値上がりして新しく買った家、この北欧製の食器棚は夜中まで働いてボーナスが6カ月分もらえた時代に、自分へのご褒美として買ったもの、この車は、という具合に、お金にもちゃんとした名前がある。
だから必要なものは買うが、無駄使いをしないし、第一自分を富裕層とは思っていない。普通の市民としか、思っていない。ただ、昭和から平成という時代に何とか乗れてここまで「逃げ切れた」人々だ。
では、記者が想像していた富裕層、資産家はどこにいるのだろう?
長くなったので、一旦切ります。

