2007年08月08日
友あり 遠方より来る
最終日はリマーカブルで滑り、夜は友達がやっている中華料理レストランでお客様と一緒においしい料理に舌鼓を打つ。
山の雪はそれほど多くないが、コロネットピークよりも標高が高い(約2千m)ので雪がしっかり固まっており、かといってアイスバーンではない。スキー場でも、以前と違って客を楽しませるための趣向が多い。ジャンプ台をたくさん作ってて、ボーダーもスキーヤーも楽しんでた。
スキーヤーの皆さんは、お昼はオープンデッキでワインを飲みながらギターのライブを聴き、山麓の景色や斜面を滑降する人を見ながらのんびりとして、実に良い雰囲気だ。
何よりも今回は天気に恵まれた。実にぴーかんで、吸い込まれそうな深くて青い空。山の純白さは絹のようにさらりとしていて、ゲレンデごしに見える遠くの麓の村の緑が柔らかい。
お客様も景色と雪に満足してもらい、実に楽しそうだった。
中華料理レストランのオーナーは、僕の20年来の友達だ。20年前にお互い新参移民者としてクイーンズタウンに住みつき、階層社会の最底辺から生活を始めた。二人で中華レストランのバーカウンターでシェーカーを振ってた友達だ。
その頃、彼には随分助けてもらった。ビールのタップの引き方のタイミングも分からず困ってた時に教えてくれたのも彼だ。
思えば、彼のほうがよほど腹が据わっていたのだろう。俺たちゃ、もう後がないんだ。戦って生き抜くしかないんだ。逃げる場所なんてない。
彼はその後日本人の奥さんをもらい日本に移住、数年過ごして日本語をほぼ完璧に使いこなしてクイーンズタウンに戻ってきて今のレストランを開店した。
出てくる料理は、特に素材にこだわっているのがよく分かる。やっぱり意地だろう、後から来た新参者としては、「まずい料理」なんて言われたくない。
季節も終りで殆ど入手出来ないブラフオイスター、クリブドンオイスター、2kg級のクレイフィッシュ、健康に良い鹿肉、特に赤ワインのリストがすごい。素人には入手不可能なワインをどんどん出してくれる。
彼の場合、商売以前に、自分のプライドとして「まずいもの」を出すような事が出来ない性格なのだ。無茶苦茶にプライドが高い。人にバカにされる事が何よりも嫌いな奴だ。
彼のおかげで3日のうち、初日と最終日、お客様の希望で中華だったのだから、よほどお客様も気に入ってくれたのだろう。彼の店を褒められると、こちらまでうれしくなる。二日目に行ったフレンチレストランも良かったのだが、お客様が「もういいよ、フレンチとかイタリアンはさ。またあそこの中華に行こうよ」とわざわざのご指名。
中国の広東省に生まれて、20年前に親戚のツテでニュージーランドにやってきて永住権を取り、そこから先は誰の手助けもないままに、階層社会の一番下から叩き上げて、メインストリートに高級中華レストランを出して、地元の中国人だけでなく、日本人の若者も取り纏めて面倒を見ている。
戦友の付き合いの彼と、クイーンズタウン滞在中、ほぼ毎晩一緒に飲んだ。初日など、二人でレストランのカウンターに座り、ウイスキーボトル一本を空けて、それから近くのバーに繰り出して、遅くまでどんちゃん騒ぎだ。
友あり 遠方より来る また楽しからずや