2007年08月11日

移住先

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移住先

 

「百姓そのものをやりたいというのであれば、ここで暮らしていける。衣食住には困らない。ただ、消費生活をしようと思うと辛いな」

 

5月28日付けの日経ビジネスで掲載された、島根県津和野市奥ケ野集落で、その代表者である糸賀さんの話だ。

 

山奥の農村は過疎化が進み、空き家となるケースが多い。そこに、都会から移住してくる若者家族が住み着くのだ。

 

ただ、移住を希望して40人ほどの家族が来たが、3日で出て行く人もいれば、半年で出て行く人もいる。ここ数年で定住できたのは3組だけだという。

 

そうだろう、皆、自分の旅の先には桃源郷が待っていると思う。でも、ただ座ってればおいしいご飯が食える(Free lunch)、そんな桃源郷はないのだ。

 

島根の田舎でも、やっぱり一生懸命働いて、周囲のおじいやおばあとのバランスを考えながら生きていかねばならないのだ。農業に憧れるだけではやっていけるわけがない。

 

ましてや、都会でコンビニや地下鉄の便利さを知ってしまった若者が、一体どれだけ田舎の「何もなさ」に耐えられるだろうか?そうして、憧れだけで移住して、憧れだけでは生きていけない自分を知り、また都会に戻る。

 

これって、ニュージーランドと良く似てるな。

 

この国を桃源郷と思ってくる人がいる。確かに日本に比べればそうだろう。でも、どう転んでも、神様は「何もしない人間」に桃源郷を与えはしない。あくまでも、戦って生き残る力を持った人間にだけ、その権利を与えるのだ。

 

島根県津和野町といえば、小京都みたいなイメージがあるが、彼ら百姓が住んでいるのはそこから北西に30分ほど車で走った田舎にある。

 

20戸くらいの農家が集まって、それぞれに将来を考えながら毎日の生活をしている。でも、その生活は、例えばテレビを見るためのアンテナを共同で作ろうとしても、いくつかの家庭では「いや、うちはもう買ったからアンテナは不要です」と、どうしても自分の都合が優先される。

 

同じ村で長年住んでいながら、利害関係が出るとすぐに自分の事しか考えなくなる人々。

 

そして、ニュージーランドに来ても24時間開いてるコンビニがあって、お弁当やカップ麺が売ってると思っている人たち。田舎の良さと都会の良さが同居していると思っている人たち。とにかく移住すれば幸せになると思ってる人たち。

 

そんな人がニュージーランドに来ても、絶対に長続きしない。津和野市でも同じだ。勘違いしてやってきて、そして失敗して、結局は時間だけ無駄にして、失敗した自分に腹が立ち、また結局他人のせいにする人々。

 

移住先を選ぶ時は、本当に慎重になって欲しい。自分が求める生活がそこにあるのか?そこにあるものだけでなく、「ないもの」もきちんとしらべてほしい。

 

日本のような便利さがないという痛みが、どれほどか、しっかり理解して、それから来て欲しい。

 

写真はリマーカブルスキー場から降りる車中より。ガードレールもなく砂利道で、20年前から全く変化してないが、かなり危険な道中。スキー場にレンタカーで行く人、十分ご注意下さい。

 

 

 

 

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tom_eastwind at 11:06│Comments(1)TrackBack(0) 移住相談 

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この記事へのコメント

1. Posted by May   2007年08月12日 18:16
今日コンビニで昔から働いている人を見て思った。
NZに行ったら、大きな顔して日本で医療関係の仕事してました、なんて言ってたら仕事になんかありつけないんだろうなぁ。
掃除をしているかもしれない、皿洗いをしているかもしれない。
でも、とびっきりのサービスでやってやろうじゃないの。
郷にいれば郷に従え、だ。

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