2007年08月26日
白黒黄色
土曜日は竜馬君を連れて、グレンフィールドショッピングモールにある「Time zone」と言うゲームセンターに行った。
我が家では、平日の自宅でのテレビゲームはお母さんによって禁止されているが、土曜日だけは一日中ゲームをしても良いよって決まり。
最初のお母さんの提案は、「平日に毎日30分ゲームをするか、平日は一切ゲームをせずに、土曜日は朝から夜までやるか」だったが、竜馬君としては短時間をちょこちょこやるより、土曜日にまとめてやって腕を上げたほうが良いと判断したらしい。
僕もその方が良いと思う。スキーを毎年10日滑っても、大してうまくならない。それよりまとめて一冬山に篭ってスキーやれば、1シーズンで随分うまくなるものだ。
教育ママからすれば、「土曜日に一日中ゲームさせるなんて!」と怒るかもしれないが、ゲームはそれなりに適度にやれば楽しいものだ。大体、10歳の子供に、やりたくもない勉強を押し付けてどうしたいのだろう?
親の都合で、やりたくもない事を無理やり押し付けられて、子供がどんな気持ちになるものか?
「あなたはどうしてもっとやる気がないの?勉強は貴方のためよ!」って、そんなヒステリックに怒鳴らないでよ。
親が勝手に「これがいい、これだけが正しい」と思い込んで押し付けて、出来上がった子供が他人の痛みを理解出来ず社会に適合できず、何で生きてるかも分からないように、つまり、その子の親と同じようになる事を期待しているのか?
僕自身もインベーダーゲームの時代からゲームダイスキ人間であり、それが今の自分の中でも楽しい思い出として残っている。社会人になって何が一番うれしかったかって、自分の金でゲームが好きなだけ出来ることだった。
社会人になってからの休日には、朝から晩までゲームセンターで遊んでた事もあるし、RPGなんてなかった時代だから、ゲームが単純で微妙なスティック操作を要求される楽しさがあったな。
まあいいや、今日は竜馬君のお付き合いだ。
TimeZoneの遊び方は、受付でプリペイドカードを50ドルくらいで購入して、そのカードには個人情報と最初に入れたお金+10%TopUp(おまけ)してもらったデータが入力される。
次に自分の好きな台に行き、カードをswipeさせるとゲーム開始だ。コインやトークンは使わない仕組み。
ゲーム終了、「もっぺんやる?」と質問が来てから再度カードをswipeさせて、もっぺんやる。
地元の子供にも人気のゲーム店だが、殆どは日本製。だから電光掲示板に「新製品!」と出るのだが、分かってるキーウィはいないよな。
店の規模は日本に比べれば「ちゃちいい〜」の一言だが、それでもオークランドで生まれ育った子供には、楽しくて仕方がないらしい。中には、どう見てもあんた20歳以上でしょってのが、きゃっきゃ言いながら遊んでる。
場所柄、小学生も入ってくるのだが、何人かの子供が「Hey,Ryoma!」と声を掛けてきた。良く見ると、同じクラスの友達だ。竜馬君の名前は、こちらの子供の間では「ライ、オーマ」になる。
そのうちの一人が、竜馬君が一人で遊んでた、ウージマシンガンでゾンビーを打ち倒すゲームをやってると、暫く後ろからもじもじしながら眺めてて、そのうち我慢しきれなくなったように、竜馬に遠慮がちに、「ね、一緒にちょっと遊んでもいい?」と言ってきた。どうやら彼は、親からカードを買ってもらえてないようだった。
子供らしい仕草で、竜馬も、「うん、もちろん!」と言いたそうな顔でこちらを見るので、思わず「うん、いいよ」と返したら、そこから先は二人ではしゃぎまくり。
10歳の子供二人がウージーマシンガンを振り回しながら、「そこじゃない、こいつを撃て!」とか、「ほら、ReLoadだよ、銃口下げて!」とか騒ぎまくっている。
こうなると暫くは機械に貼り付けになるのは目に見えているので、僕は近くにあるオートバイゲームや銃座付のガンダムで遊んでいた。
10分くらいして戻ると、二人はまだバリバリとマシンガンを撃ちまくっていた。
更にもう一回ガンダムで遊んで、10分くらいして見ると、他にも数人の友達が集まって、4〜5人でゲームセンターの中を走り回ってた。
カードを持ってる子は、持ってない子とシェアしながら、皆でバスケットボールや玉入れをやってる。
結局1時間半くらいゲームセンターで遊んでた彼ら、竜馬君のカード残高も、最初の50ドルが0ドルになって、今日は打ち止め。
手元に溜まったクーポンを、写真の機械に突っ込んで更にポイントに変えて、今日は終了。友達に「ByeBye!」と手を振って、お父さんと子供は夕食の買い物に。
竜馬君の通っている小学校はグレンフィールド小学校で、グレンフィールドショッピングセンターから歩いて10分くらいのところなので、もろにスクールゾーンのど真ん中だから、このセンターにはたくさんの子供が集まってくる。
昔のニュージーランドなら、週末は家族で海や山や公園に行ったのだろうが、最近は大型モールの中に大型ショッピングセンターが出来てフードコートがあるので、雨が降る週末でも楽しく過ごせて、帰りに夕食の食材を買って帰ることが出来る便利さも受けて、益々人が増えている。おかげで広々とした駐車場が、いつも停める場所探しに苦労するが。
移民の多い地域でもあり、竜馬君の友達も、地元の金髪の少年、マオリ系ではないアフリカン系のちりちり髪の少年、アジア系の少年と、見事に三色揃っている。
グレンフィールドという地域が中流地域なので、集まる人はブラウンズベイ程の上品さはなく、子供たちも、心なしか乱暴者が多い感じもする。ゲームセンターに集まるんだから、そんなもんちゃあ、そんなもんかもしれんな。
でも、子供たちが自然に集まって、親からもらったお小遣いをカードにつぎ込んで、子供同士がお互いにカードを貸し合いながら遊ぶってのも、何となく良いものだと思った。
勿論、子供の遊びに50ドルも渡すなんて何事だ!と怒る人もいるだろう。教育の観点から、「そんな悪い友達が出来るような場所に連れて行くなんて!」とか、いろんな形で文句を言う人もいるだろう。
また、最初に人にカードを貸したら、また次も貸すようになって、そのうちカモにされて大変よと言う人もいるだろう。
みんな、それぞれの子供から社会人になる中で、自分たちの経験を踏まえた忠告を言いたくなるだろう。
でも、僕の経験で言えば、ゲームは楽しかったし、子供の頃、友達と一緒に夕方まで遊ぶのは楽しかった。
うちが貧乏でおもちゃも買えない時でも、友達の家のおもちゃ目当てに、よく遊びに行ったものだ。お金がない事が少し恥ずかしかったけど、それ以上に友達とおもちゃで遊ぶ経験は、今思い出しても胸の中があったまってくるような経験だった。
特に今、外国で生活しながら毎日新しい仕事をして、かなりぎすぎすするような時に、ゲームセンターに行ってその当時の気持ちを思い出すのは、楽しいことだ。
今の時代に、ウラの空き地でちゃんばらをやったり、放課後の学校に集まって野球やったりという事は、まずない。
そういう遊びが、今の時代はテレビゲームになっているんだと思う。ウラの空き地の代わりにショッピングセンターやゲームセンターがあるのだと思う。
よく、ゲームをすると馬鹿になると言う人がいるが、それはどうだろうか。
むしろ、遊びたい盛りの子供を押さえつけて、自分で自分のやるべき事さえ理解出来ない大人にするよりは、感情の赴くまま遊ばせて、適度なところで、80%程度で親が止めて、人生の中でブレーキを踏む時とアクセルを踏むバランスが分かってくれればと思う。
子供たちが熱くなりすぎて、他の来店者に迷惑をかけてないか、子供同士が喧嘩になりはしないか、ちょっと冷や冷やしながら見てたが、ふと気づくと、僕が竜馬君と週末を二人きりで過ごすのは、どう振り返ってみても、最近ずっとない事を思い出した。
そう言えば学校の面談にも奥さんが行くだけで、竜馬君の担当の先生が誰かも、いつも一緒に遊ぶ友達が誰かも、あまりよく知らなかった。
いつも竜馬君を学校に送るだけで親の責任は果たしたくらいに思ってたが、竜馬君は、僕が会社で過ごすのと同じ時間を学校で過ごしてて、そこで竜馬君は社会に少し接しているんだという事に気づいた。おっそ〜。
夕食の買い物をして、ついでに竜馬君のダイスキなガンダムのプラモデルを買ってあげた。
土曜の午後、たった4時間のお父さんと子供のツアー。有意義な週末だったかも。