2010年06月06日

大工がシェフに

d13d323d.jpgニュージーランドに限らずだけど、海外に来ている日本人で勘違いが目立つのは、自分が能力あると思い込んで、それを主張する事がカッコいいと思ってて、それがガイコクでは当然!みたいに信じている人。

特に給料を貰う立場の人で何かの資格を持っている人は、すぐに「私はxxの資格がありますから」と言うけど、おいおい、大工の資格を持っててもうちはレストランだよ、料理作る資格じゃないと意味ないんだぜって説明するのに時間がかかる。

そういう人は普通に平気に「何故ですか、わたしは大工の資格があるのに、何故駄目なんですか?」と本気で聞いてくる。

恐らく今の日本の学校教育か両親の教育か本人の無能かのどれかが影響しているのだろうけど、「資格と給与は連動する」と言う部分だけが頭の中で反芻されており、「その資格とこの仕事は関係ない」と言っても分かろうとしない、てか本当に分からないようだ。

東京で説明会をしてても気になるのがここであり、日本で一流大学を卒業して一流銀行あたりで仕事を10年くらいして年収が1千万円くらいある人は殆どの場合この事実を認識出来ない。知ろうとしないってんじゃなくて、子供の頃から親に擦り付けられた考えがどうしても抜けない、つまり洗脳が解けてないのだ。

仕方ないのでそういう人には現実を見せる事にする。

「よっしゃ、あんたは立派!じゃあ今から一流のレストランのオーナーの電話番号を教えるから、あんたがいくらの給料なら採用されるのか、是非とも聞いてくれ。もちろんオレからの紹介だと言って貰って結構!」

電話の結果は常に同じであり、レストランのオーナーから「うちは大工はいらねえよ、で何?料理出来るの?出来ない、あ、役立たずだね、手に職をつけてからもいちどおいで」で終わり。

同じ日本人であるぼくに言われても絶対に信用しようとしなかった彼は、キーウィのオーナーに真実を伝えられてやっと現実に目が覚める。

たまたま大工を例に取ったが、どんな職業でも同じである。現場が求めているのは即戦力となる人であり、他のどんな無意味な学歴をいくつ持ってても意味はないのだ。

移住は決して簡単なことではない。なのにそれを簡単にしようとか、今の地位と年収をそのまま守った上で移住しようとか、そんな裏道はないって。現実は厳しいのです。

今読んでる小説も邦銀から外資に移籍して高給を貰いながらも毎日が修羅場という人生を歩いている人の話だ。

この主人公の場合、まだ運が良かった。日本の普通の銀行員は、世界標準で言えば「ガキ」にしか過ぎず全く使い物にならない。一生自転車で中小企業を回ってお金を集めるだけの集金マシンにしか過ぎない。

そういう現実を知った上で自分の労働者としての価値をしっかり理解すること、これが海外に出るための第一歩だ。




tom_eastwind at 17:59│Comments(0)TrackBack(0) NZの不動産および起業 | 移住相談

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔