2010年10月21日
RNZA
海上自衛隊が潜水艦を16隻から20隻にする予定を明らかにした。近年膨大化する中国向け牽制であり、これは自国軍事力が他国による侵攻を抑制する力を持つという意味で正解であろう。
英国では財政悪化の為に国防予算を8%程度削減する予定だが、ニュージーランドはコメントで「英国と同じように削減をするという事は考えていない」との事。
そりゃそうだ、英国並みに削減したらただでさえ少ない軍隊が保持出来なくなるじゃないか。すでに空軍は廃止しており海軍と言ってもフリゲート艦(日本で言う護衛艦)が2隻しかない。陸軍だっていつも海外派兵しているけどこれは国連主導のPKO専門だ。
元々1万人程度しかいない軍隊だし実際に武器を持って現場で戦う事が出来るのはその数分の一であり、多くの軍人は兵站や補給や修理や料理洗濯をやっているのだから、一定数がいなければ軍隊社会の維持は出来ない。
そうそう、軍隊は全員が武器を持って戦うって認識を持っている人がいるかもしれないが、軍隊は一つの完結した社会であり社会維持の為に必要なすべてのものを軍隊が独自で調達して、平時であれば軍隊内のPXで買い物をするし酒を飲むバーさえある。
そして戦時になると最前線に兵隊を送り込むのが輸送チームであり最前線で戦う兵士に武器や弾薬、食料や薬を届けるのが兵站だ。最前線の兵隊は貼り付けっぱなしには出来ないから当然交代の兵士も必要となる。
防衛と言う意味ではどこかの国がニュージーランドに侵攻する可能性は非常に低い。まさか羊ジンギスカンやる為にわざわざ数千キロはなれた南洋の小島にやってくる事もないし、第一この国を攻めるという事はアングロサクソン全体に対する攻撃と看做されて、英国、米国、豪州、カナダあたりが速攻で反撃してくるのは間違いない。
地下資源もない軍事的要衝でもないこの国では、軍隊は地震の際の治安維持とか豪雨で街が大きな被害に遭った時に救助に行くくらいしかない。なので主な仕事は国連主導による海外派兵で、現在はアフガニスタンのバミヤン地域に160名、他にも東チモール、ソロモン諸島に豪州軍とともにPKO任務で派遣されている。
海外派兵先で毎年数名の軍人の死者を出しているが、これはもう名誉の戦死であり、私の可愛い子供が海外で死んだからと言って海外派兵をやめろなんて議論にはならない。これはキーウィとして世界に一定の貢献をするのが当然と考えているからだ。
ニュージーランド軍の海外派兵の歴史は古く、1840年に英国植民地として英国連邦に参加して最初の海外派兵は1899年に南アフリカのボーア戦争で英国軍に加わって戦った。その後、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、マレー紛争、インドシナ紛争、ベトナム戦争、シナイ半島監視団、カンボジア、ボスニア、シエラレオネ、モザンビーク、アンゴラ、そして現在の東チモール、アフガニスタンと続いてる。よく見ると世界の紛争地の殆どに兵隊送ってるじゃん。
ニュージーランドは戦争に対して現実的であり、軍隊は必要である、時には戦いも必要であると国民的に合意がある。そして今までの海外派兵でも国連主導の下でしか活動していないから「正しい事をしている」と言う意識がある。唯一ベトナム戦争の時だけは「ちぇ、アメリカやろうの口車に乗ってついてったら、なんじゃこりゃ、平和を守る戦争じゃないぞ」って事ですぐに撤退した。
日本と言う国が地政学的にあまりにやばい場所にあるのか、それとも周囲が「おれがおれが」の強い国ばかりだから必然的にヤバイ場所になったのか、いずれにしても鶏が先か卵が先かの問題であり考えても仕方ない。
日本は引越しをする事が出来ない以上、軍事力をある程度、つまり周囲の国が簡単に攻め込もうと思わせない程度の兵力を持つ必要がある。
ニュージーランドはその意味でまさに恵まれた場所と言えるし、地下資源がないおかげで攻め込まれることもなく、一応白人国家として他の白人国家からの支援もある。
今日の地元のニュースは、宝くじに大当たりした人への独占インタビューとか、来年のラグビーワールドカップの抽選発表で試合の切符が手に入ったとか、平和ネタばっかり。
涼しい空気と晴れ上がった青空とのんびりとした人々の顔を見ながら北半球の潜水艦のネタを書いているのが段々不思議になってきた・・・。やば、ちょっとオークランドに染まり始めたか。


