2010年10月28日
トリプルA 黒木亮
三連休の間に読んだ本が4冊5巻。このトリプルAだけ上下巻だった。もう一冊は隠蔽捜査3.5なんだけど、4冊全部読み終わっての感想で言えば、今回はこのトリプルAが一番よかっただ。
ぼくがニュージーランドでファイナンスビジネスを扱うようになったのは1999年、日本の外為法改正以降だ。それまでは原則日本人が海外でお金を動かす事は出来なかったのが、この規制緩和でビジネスチャンスが出てきた。
そこでぼくが思いついたのが円(建て)送金である。今でこそどこの会社でも取り扱っているが1999年に当社が初めてこの市場を立ち上げたときは周囲は非難ごうごう。
てかイーストウィンドってのは後発のくせに既存市場をかき回すようなビジネスを作り出してどういうこっちゃと言うことである。
現地日本人向け情報センター設立の際も、当社が参入するまではどこも有料だったのが、当社が無料情報センターを立ち上げた時も大騒ぎ、あんな業界秩序を乱す奴なんてたたき出せ!みたいな勢いだった。
要するにそれまでの業界は椅子に座って黙って飯が食えることだけを努力もせずにやって何の新しい顧客向けビジネス提案もせずに放置してきたのが、それをいちいちぶち壊してきたこちらのやり方に相当頭に来てたわけだ。
そして円送金を始めた際も周囲のカラスはカーカー鳴いて「あそこにお金預けたら盗まれますよ〜」なんて平気で誹謗中傷していたものだ。
だったら自分の頭で学生の送金の受取額がもっと増える手段を考えなよ、そういう事は何もせずに他人の悪口ばかりのどうしようもない状況だった。
そこで僕は方法を変えて、競合他社に円送金の仕組みをあえてすべて説明した。するとそれまでの非難ごーごーはピタっと止まり、翌月からすべての留学会社が「当社の円送金はお得です!」とやり始めたのだ。
まあ市場なんてそんなもんだよな、むしろこの方が、当社一社で疑われながらやるよりもニュージーランド全体としての信用が付くからいいよなって思ってたら、それが次第に豪州やカナダまで広がったのは面白かった。
いずれにしてもファイナンスビジネスはすべて目の付け所であり、何かを仕入れて加工して何かを売るというビジネスモデルとは全く違う。
それからニュージーランドと日本の法律の違いなどを勉強しながら商品を広げていったわけだが、サブプライム商品など南半球から見る北半球のビジネスモデルは分かりにくかった。
何故ならぼくのやっているビジネスと言うのは顧客の利益のためであり、顧客が最終的に利益を失うのであればやっちゃいけない、そんなごく当たり前の常識が頭の中にあったからだ。
ITバブル崩壊はあまり影響がなく、「あ、痛い(イティ)」なんて冗談で済ませていた。
けれどリーマンショックはさすがに南半球の小島まで小波を送ってきた。何故大波津波でどこの家もどぼんと沈むにならなかったのか。それは非常に下らない理由だが、当時のNZ銀行界ではCDSの意味が理解出来る銀行マンはおらず、北半球から売りつけに来た証券会社に対して銀行は「よく分からんからやめときます」とやったのだ。
結果的にこれが成功でニュージーランドはいち早く市場が立ち直り、最近は海外からの投資が膨らんでいる。北半球で痛い目に遭った人が、小銭を南半球の安全な市場で運用しようって感じである。
その為銀行も定期預金レートを上げて外国からの資本を取り込みにかかっている。いずれ北半球が全面復活するまではニュージーランドで小銭市場が動くだろう。
そんなこんなだったリーマンショックだったが、ぼくにとって今一不明だったのは格付け会社の存在だった。ロンブーの格付けならよく分かるが、ムーディーズやS&Pが何をやっているのか、何故そうなるのかなんていくら聞いても分からない。
ましてや彼らが格付けをしたサブプライムやCDS商品なんて、何でそうなるおで意味不明のままだった。
そりゃそうだ、最初から素人には分からないように設計してあったんだからってのがわかったのはこの本を読んでからだ。
どんな難しい手品もからくりを見れば「あ、そうか」である。けれど何より怖いのは、こんな詐欺手品に北半球の証券のプロたちが騙されていたわけではないって事だ。彼らは分かってやってた。いずれこの商品は吹っ飛ぶ。だから早いところ売り抜けて手数料だけ稼いでおけ、残された客?知ったことかってわけである。
ニュージーランドでこれ売ったらおそらくどんな法律を後付けで作ってでも政府は犯人を牢獄にぶち込むだろう。
改めて北半球のファイナンスビジネスの怖さを感じたが、良い勉強になった一冊。
トリプルA 小説 格付会社(上)
著者:黒木亮
日経BP社(2010-05-27)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
ぼくがニュージーランドでファイナンスビジネスを扱うようになったのは1999年、日本の外為法改正以降だ。それまでは原則日本人が海外でお金を動かす事は出来なかったのが、この規制緩和でビジネスチャンスが出てきた。
そこでぼくが思いついたのが円(建て)送金である。今でこそどこの会社でも取り扱っているが1999年に当社が初めてこの市場を立ち上げたときは周囲は非難ごうごう。
てかイーストウィンドってのは後発のくせに既存市場をかき回すようなビジネスを作り出してどういうこっちゃと言うことである。
現地日本人向け情報センター設立の際も、当社が参入するまではどこも有料だったのが、当社が無料情報センターを立ち上げた時も大騒ぎ、あんな業界秩序を乱す奴なんてたたき出せ!みたいな勢いだった。
要するにそれまでの業界は椅子に座って黙って飯が食えることだけを努力もせずにやって何の新しい顧客向けビジネス提案もせずに放置してきたのが、それをいちいちぶち壊してきたこちらのやり方に相当頭に来てたわけだ。
そして円送金を始めた際も周囲のカラスはカーカー鳴いて「あそこにお金預けたら盗まれますよ〜」なんて平気で誹謗中傷していたものだ。
だったら自分の頭で学生の送金の受取額がもっと増える手段を考えなよ、そういう事は何もせずに他人の悪口ばかりのどうしようもない状況だった。
そこで僕は方法を変えて、競合他社に円送金の仕組みをあえてすべて説明した。するとそれまでの非難ごーごーはピタっと止まり、翌月からすべての留学会社が「当社の円送金はお得です!」とやり始めたのだ。
まあ市場なんてそんなもんだよな、むしろこの方が、当社一社で疑われながらやるよりもニュージーランド全体としての信用が付くからいいよなって思ってたら、それが次第に豪州やカナダまで広がったのは面白かった。
いずれにしてもファイナンスビジネスはすべて目の付け所であり、何かを仕入れて加工して何かを売るというビジネスモデルとは全く違う。
それからニュージーランドと日本の法律の違いなどを勉強しながら商品を広げていったわけだが、サブプライム商品など南半球から見る北半球のビジネスモデルは分かりにくかった。
何故ならぼくのやっているビジネスと言うのは顧客の利益のためであり、顧客が最終的に利益を失うのであればやっちゃいけない、そんなごく当たり前の常識が頭の中にあったからだ。
ITバブル崩壊はあまり影響がなく、「あ、痛い(イティ)」なんて冗談で済ませていた。
けれどリーマンショックはさすがに南半球の小島まで小波を送ってきた。何故大波津波でどこの家もどぼんと沈むにならなかったのか。それは非常に下らない理由だが、当時のNZ銀行界ではCDSの意味が理解出来る銀行マンはおらず、北半球から売りつけに来た証券会社に対して銀行は「よく分からんからやめときます」とやったのだ。
結果的にこれが成功でニュージーランドはいち早く市場が立ち直り、最近は海外からの投資が膨らんでいる。北半球で痛い目に遭った人が、小銭を南半球の安全な市場で運用しようって感じである。
その為銀行も定期預金レートを上げて外国からの資本を取り込みにかかっている。いずれ北半球が全面復活するまではニュージーランドで小銭市場が動くだろう。
そんなこんなだったリーマンショックだったが、ぼくにとって今一不明だったのは格付け会社の存在だった。ロンブーの格付けならよく分かるが、ムーディーズやS&Pが何をやっているのか、何故そうなるのかなんていくら聞いても分からない。
ましてや彼らが格付けをしたサブプライムやCDS商品なんて、何でそうなるおで意味不明のままだった。
そりゃそうだ、最初から素人には分からないように設計してあったんだからってのがわかったのはこの本を読んでからだ。
どんな難しい手品もからくりを見れば「あ、そうか」である。けれど何より怖いのは、こんな詐欺手品に北半球の証券のプロたちが騙されていたわけではないって事だ。彼らは分かってやってた。いずれこの商品は吹っ飛ぶ。だから早いところ売り抜けて手数料だけ稼いでおけ、残された客?知ったことかってわけである。
ニュージーランドでこれ売ったらおそらくどんな法律を後付けで作ってでも政府は犯人を牢獄にぶち込むだろう。
改めて北半球のファイナンスビジネスの怖さを感じたが、良い勉強になった一冊。
トリプルA 小説 格付会社(上)著者:黒木亮
日経BP社(2010-05-27)
販売元:Amazon.co.jp
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