2011年04月19日
ヒトはどうして死ぬのか
ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)
著者:田沼 靖一
幻冬舎(2010-07)
販売元:Amazon.co.jp
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東北大震災で2万人以上の方が亡くなった。その精神波動は凄まじいもので、今も世界中を駆け巡っている。
シャーリー・マクレーンと言う米国の女優兼作家は魂とか輪廻転生をテーマにした本を出しているが、その中で面白いテーマがあった。
南米など世界中で起きた大地震や災害で同じ日に同じ場所にいたにも関わらず生き残った人々と亡くなった人々の違いである。
そんなもん偶然でしょって片付けてしまえばそれまでだが彼女はそこに何かあるはずだと思って研究した。
1983年には300万冊のベストセラーとなる「アウトオン・ア・リム」を世にだし、そして同時に様々な名言を残している。
•「地球は人類の集合意識に正比例して呼応している生きた有機体だ。― その逆ではないのだ」
これは天譴説としても使われるが人類が欲望の塊になった時に地球は正比例して反応する、つまり地震や大津波、火山の爆発などによる自然災害が発生するという考え方である。
現在の人々の多くはまず天災があり人間が被害を蒙ると考えている。しかし実はその反対であり、人間が悪い気を作り出してしまいそれが天災を起こすという発想だ。
天譴説は彼女だけでなく日本でも昔から語られてきた事で関東大震災の時に石原莞爾も「この天災は神による譴責である」と訴えた。もちろんシャーリー・マクレーンが生まれる前の人物であるから彼女のコピーをしたわけではない。
・「魂はまわりの自然環境にも影響を与える。魂がすべて なのだ」
これも上と同じで、スウェーデンボルグにしても合理主義者であったシャーリー・マクレーンにしても、自分の頭で合理的に徹底的に分析して研究していくと、そこに目に見えない「あるもの」の存在を理解し始めるという事だ。
いつの時代の人間かは関係ない、いつの時代でも人と魂は同居しており、その魂がうす暗かったりねじけていると周囲にその影響を与えてしまい、周りまで悪い気分にさせる。それが最終的には自然にまで影響を与えてしまうのだ。
松下幸之助の名言の中でも「運の悪い奴とは積極的に付き合わないようにする」というのがあった。これなど暗い魂を背負っているとその不幸が自分に転移してしまうので避けていきなさいと言うことだ。
•「人生において偶然はない。もし人が心を開き、感情を素直に表わし、あまり心配しなかったら、他人に対してとてもよい影響を与えることができるんだよ」
ここで初めて「人生において偶然はない」と語りかけてくるシャーリー・マクレーンは合理的な米国人でありながら東洋的な思想の影響を受け、その後同じ俳優仲間のピーター・セラーズの死を予言したり幽体離脱を経験したり、まさにスェーデンボルグと同じような行動をとる。
魂の存在をどれほどの人が信じるだろうか?多くの人は「なんとなくありそうだけどよくわかんない、まあいいやゲームしよ」とか「たましい?ごめん、今ね、仕事が押せ押せなんで後でね」となる。
結果的に多くの人が真剣に魂の問題に取り組まないまま毎日を過ごし、自分の不幸に対しては世間が悪いと文句を言い、自分に訪れた幸運(と本人は思っている)は自分の力で勝ち取ったものと思い込んでいる。
そして「誰か見えないもの」に与えられたせっかくの機会なのに「見えないもの」の存在を理解しようとせずに結局不幸になっていく。
今回の震災で亡くなった方の中にはもちろん素晴らしい学者も高貴な精神の持ち主も優れた人間性を持つ人もいただろう。
そのような彼らは、この世の役目を終えて次の世界に移動したと考えたらどうだろうか?そして生き残った人々にはまだこの世の中の役目があると考えたらどうだろうか?
そんなことを考えながら「ヒトはどうして死ぬのか」を読了。人間から神性を完ぺきに切りはがして単純に肉体のみを遺伝子とタンパク質で語り、なぜ人が死ぬのかを科学的に分析している、実によくまとまった一冊である。
この本を買ってからもう2か月以上「積読(つんどく)」状態だった。ほかにも読みたい本があるし出張もあるしで、なかなかたどり着かなかったのだが、この本を今読むことになったというは偶然ではないのだろう。
徹底的に精神論を抜きにして完全にヒトを肉体として扱いその仕組みを表そうとするこの本はとっても興味深い。人間は普通に生きてれば100歳くらいまでの寿命はある。そこまで至らなければ人生の途中で遺伝子やたんぱく質が傷ついた事である。
おもしろいな、魂を徹底的に突き詰めていこうとする道、肉体を徹底的に突き詰めていこうとする道、どちらも面白いと思う。今回の未曾有の大震災、せっかくの機会である、どちらの道でも良いから自分が納得出来るまで徹底的に突き詰めて考えてみればどうだろうか。