2011年06月15日

英国人の土地で

今日も山水レストランの店内はそれなりに高級そうなビジネスマンばかりがいかにもランチミーティングと言った感じで寿司刺身定食を注文して白ワインをボトルで注文して深刻そうな顔で話し込んでたり大笑いしてたりにぎやかだ。


今日はニュージーランドに移住してすでに5年ほど経っている日本人ビジネスマンと昼食を山水で食べることになった。


オークランドのビジネスでは夜の接待が存在しないので、純粋に簡単な一方通行の情報提供的な話をする時はパワーブレックファースト、両方通行のビジネスの話の時はランチミーティングとなる。


この店はテーブルすべてに背の高い衝立があるので周りに気にせず食事が出来るのが売りの一つである。本日出て来た日替わり定食は「さんまの甘露煮」で13ドル。和風野菜に刺身に小鉢があり日本円で780円だからワンコインからは随分高いがオークランドのビジネスランチとしてはかなり安い方だ。ただしキーウィにはまだなじみがなく、彼らの注文は多くが25ドル以上の寿司刺身定食である。健康志向で魚を食べましょって事だ。


最近のランチはどこも食事だけで20ドルが一つのラインでありこれ以下だと仲間との昼飯、この価格以上だとビジネスランチ、飲み物を入れると30ドルを超すのもしょっちゅう。ちなみにビジネスマンが昼食の約束がない時はオフィスビルの一階に入ってる持ち帰り専用の寿司で10ドル以下で済ませてる。飲み物がコークと言うのが最後のダイエットへの抵抗か(笑)。


この街の物価は毎年上昇しており給料も上昇している。レストランも客の好みに合わせてそれなりにメニューを変化させて価格や店内サービスなどを上昇させている。


これは最近流行のレストラン番組が影響を与えているようで「ヘルズキッチン」の亜流番組がニュージーランドでも制作されて地元レストランも参加、料理業界に大きな変化と賑やかさを与えているのも事実だ。


今の日本からすれば「あり得ない」ような毎年給料5〜10%値上げが続き物価が5%程度上昇し、頑張って働く人には楽しい街だが失業手当だけで一生食ってやろうと思う人には苦しいだろう。ただし景気は良い。街は確実に景気の波に乗り、お隣の豪州ほどではないがビジネスマンの顔が明るい。


数日前に日本から戻ってきたばかりの彼は東京の東側から千葉のあたりを仕事の関係で見て回ったそうだが、仙台を襲った津波とその後の自衛隊の活動、千葉の液状化で泥が地面から水の様に噴き出す様子を語ってくれた。


彼は家族と生活の場をオークランドに置きビジネスは日本で展開しているスペースシャトル族(家族はオークランドで生活、お父さんは月に一回シャトルに乗って北半球と言う宇宙(笑)滞在、宇宙で金を稼いで帰ってくるとオークランドで暫くのんびりする)である。オークランドにいる時は特になにもせずに子供と毎日遊んでご飯を一緒に食べて生活を楽しんでいる。


そんな彼がこんな事を言った。


Tomさんさ、結局この街も英国人支配だよね、英国人の土地に地代を払ってお店を作って稼ぐのが中国人で、そこで一生懸命働いてこき使われるのが日本人なんだよね」


実際にそうであるからうなずくしかない。1840年、英国から派遣されてきたホブソン総督は誰のものでもなかったニュージーランドの土地を、無理やり法律を作り合法としておいてマオリが空を向いてキリスト教を拝んでいるときに足元の土地をかっぱらっていった。


そしてこの土地に魅力を感じてやってくる英国一般移民や欧州移民に土地を与えて働いてもらい納税してもらい、これで立派な領土ビジネス、黙って座ってるだけで金が入ってくる英国植民地の出来上がりである。


香港時代も土地登記書類を見ると面白い言葉があって「持ち主はCROWN」とか要するに女王陛下の大英帝国の持ち物だってなっている。ニュージーランドも同じで、普通に無期限の土地所有者になれる場合もあるがモノによっては100年くらいの定期借地権になっててほんとのオーナーはCROWNだとか何チャラ団体だとかになってる。


日本人がニュージーランドにやってくることだけを目的とすると結局現地で雇われになる。誰もリスクを取ってビジネスを興そうとしてないから英国人の土地に家賃を払う中国人の経営する日本食店でこき使われてしまう。


次の百年をまたも小作人として搾取される事を甘んじるのかそれとも小さくても社会に発言権を持った立場となるのかは自分を「使われる側」と思い込んでかどうかだ


英国人の土地で中国人が日本食レストランを経営して日本人が下働きと言う現実はカナダのバンクーバーで見て来たのでよく分かる。


バンクーバーに一時期仕事で行ってたが、あの町の日本食レストランと呼ばれるお店の8割くらいは中国人経営、後の2割は地元日本人ワーホリ向けのちっちゃな居酒屋とかラーメン屋、結局日本発祥のビジネスなのに一番美味しいところを食われていた。


少なくともこのオークランドでは、家賃は仕方がないものの、日本人が経営する日本食レストランに地元キーウィが食事に来てもらえるようにしたいものだしこれからも次々とアジア人がこの土地を目指してやってくるが、一人でも多くの日本人起業家が日本発祥のビジネスをネタにして出てくることを期待したいものだ。



tom_eastwind at 12:57│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 | 移住相談

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔