2011年06月27日
コクサイ先生と利回りに敏感な40代の買い手・・・
国内売れ行き不振、個人向け国債てこ入れ 7月から利率引き上げ
2011.6.27 20:55
販売低迷に悩む個人向け国債をてこ入れしようと、財務省は変動10年債の利率の算定方式を変更し、7月発行分の金利を引き上げる。イメージキャラクターの「コクサイ先生」も、短文投稿サイトのツイッターでつぶやきPRを開始するなど、投資家への売り込みに懸命だ。低金利でうまみの少ない個人向け国債のイメージを払拭し、東日本大震災の復興財源確保に向けた増発が避けられない国債の安定消化につなげる。
「個人向け国債は元本や利子の支払いを国が責任を持って行う金融商品です。満期償還の来る10年後までにはインフレーションを起こして国家財政を黒字化させる予定ですので国債は元本割れすることは非常に高い確率で発生する、つまりほぼ間違いなく投資家が損をする商品ですが、10年後なんて皆さん思いもつかないし日本大好きでしょ、政府に投資しましょうよ、大丈夫、10年も経てば昔の事も忘れている、だから気にせずにじゃんじゃん個人国債を買いましょ〜う」
このような内容をツイッターで毎日律義に宣伝するコクサイ先生とは「政府に洗脳されてインフレが起こったらどうなるかとか自分では健全な疑問を持つ事もない、毎日健康!とか原発反対!とか言いながらタバコ吸ってるメタボ気味の、東京の丸の内に行けばどこでもいるような40代男性」の設定だ。財務省は「コクサイ先生と同世代の連中がツイッターにに引っ掛ってホームページに目を通してもらえるきっかけになればオレオレ詐欺もびっくりだ!」と期待する。
元記事に興味のある方はこちらにどうぞ↓
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110627/fnc11062720580006-n1.htm
普通に世界中の国債の利率を考えれば日本の国債の利率の低さに「買う価値なし」と判断するのは当然だろう。しかしここにカントリーリスクが加わると、ギリシア国債の利率が高くても買った債権が紙くずになる可能性が非常に高いので誰も買わないだろう。だからそう見ると日本はデフォルトはしないかもしれないので「買い」の要素はある。
つまり国債番付の利率の高さで最高の国はカントリーリスクが高く、利率の低い国はカントリーリスクが低いと考えるべきだ。が、今の日本は利率も低くカントリーリスクが高いという異常な状態になっているのを多くの人は考慮の際の要素に入れていない。このカントリーリスクとは政府が実行を検討中のインフレーションである。
金利が一年でたった1%でインフレーションが年間5%超せば日本円で生活をしている人からすると価値が下落するわけで、そんなものを一般国民、つまり政府がいつも金融機関に言う「金融商品販売については十分な説明が必要とされるプロでない一般投資家」に対して「政府が保証します」だけでリスクの説明もなく売りつけようとするのはいかがなものか。
ところ変わってニュージーランド。先週はオークランドの銀行やファイナンスカンパニーのプライベートバンカー達とのミーティングがあった。今まで日本市場はそれほど重視してなかったでしょおたくって感じの銀行が今回はアジア向けのプライベートバンキングチームを作り日本を視野に入れ始めているのだ。
この背景は二つある。一つはもちろんクライストチャーチの大地震で復興資金が必要となった事、もう一つはNZの銀行界も中国人とやり取りしながらあまりの不正の多さにいくら有望市場とは言ってもね〜と言う厭戦気分が出始めており、だったら他にどこの市場があるのよとなった。
復興資金については政府が復興国債を発行して投資家に買ってもらうわけだが、金利は4年物で4%だ。通常の国債でも3%の金利である。ところが実質的に国家保護下にある銀行の定期預金は5〜6%なので、どっちも政府保証なら当然銀行に預けるだろう。
ファイナンスカンパニーでは更に良い年利7%〜9%なので少しくらいのリスクなら取れるのであれば当然国内資金はファイナンスカンパニーに資金は流れる。
そうなると国債を購入する相手として次に狙うべき市場が「ニュージーランドに移住を考えている外国人」である。
ニュージーランドのようなちっちゃな国は国策として外国人優遇政策を取り優秀な外国人を受け入れて国力増強をしている。優秀な外国人にはお金を持った投資家も含まれる。150万ドル(約9千万円)あれば永住権を発給しますよ、その代わり投資先はNZ国内でActiveFundにしてね、である。このActiveFundは移民局も具体的な条件を明確にしていないが、国や自治体が発行する債券、民間企業への投資や株式購入、不動産投資が含まれている。
ところが今年、いざふたを開けてみると投資家移民の集客が悪い。つまり金の集まりが悪い。政府は下部機関である移民局に対して「お叱り」を出した。「何やっとんのじゃヴォケー、もっとしっかり仕事せんかい!」
これに対して移民局は「いやいや、そうは言ってもうちは役所ですし中国マネーは好きでも中国移民は嫌いでしょ、だから彼らが入りにくいような規制をかけてますよね、だから営業するなら他の国でって、金融機関に言ってくださいよ」となった。
そこで金融界上がりのプロであり1980年代のジャパンマネーの凄さを知っているジョン・キー首相は「おらー、銀行界はもっと営業せんかい!アジア市場と言っても中国だけではない、日本には個人資産があるのだ、投資移民の取り込みをやれ〜!」とでもはっぱをかけたのだろう。
その結果としてぼくは地元銀行からの日本人投資家向けの提案を待っている状態になったのだがちっちゃい国ではありながら国債も含めたポートフォリオでは7%〜9%の商品が並んでおり投資家ルールも緩和されるようなので、投資家ビザ申請については少し期待出来る状態である。
ちっちゃな国はそれなりに生き残るために一生懸命である。移民でさえもビジネスとして理解出来る狩猟民族と、自分の生まれた土地を先祖代々守り続けて何度津波が来ても手放さない農耕民族との違いであろう。これは仕方ないにしても国家間の利率の違いは普通に自分の眼で見れば確認出来ると思うのだが。
★記事抜粋
コクサイ先生がアピールするのは、利回りに敏感な40代の買い手が多い10年債の新しい利率。従来の算定方法は、直近の長期金利(7月発行分は1・17%)から0・8を引いた水準だったが、7月からは長期金利に0・66を掛ける方式に改める。
★記事終了
利回りに敏感な40代の買い手・・・・どんな人なんだろうね。