2011年07月13日

頭に来てんだよ!HEADCOMECOME!

へっどかむかむ!

 

シングイッシュは強烈な言語である。シンガポールでホテルや空港などでは普通の英語が使われているが、現地の人々の出入りするような場所では完ぺきにシングイッシュを話し、通常の英語は全く通用しない。

 

シンガポールと言う小さな国家が経済的には中国人により運営され地域的にはマレーシア人が優先されて、更にそのちっちゃな国家の中にインド人やフィリピン人がそれぞれの社会を構築して生活しており、まさに人種のるつぼである。

 

彼らがシンガポール人であるという意識を持つとすれば彼ら独自の言語を持つという事もアイデンティティを守る一つの理由となる。他人に理解出来ない言語で仲間意識を持てるからだ(笑?)。

 

まあ色んな考え方があるのだろうが、あれは間違いなく独自の言語だ。英語でもなければ中国語でもない。てか、それを言い出したら日本語は中国語だっていうのと同じことだ。

 

同じ漢字を使い似たような発音を持つが日本語を中国語と言う人はいないだろう、第一両者の間に会話が成立しないのだから別の言語と言うしかない。英語だって同じもので、英語の中にPro-rataなんてラテン語が出てきても英語がラテン語ですなんて人はいない。

 

だからシングイッシュと言うのは一つの独立した言語と考えるべきである。シングイッシュと言う言語の基礎に英語と中国語の単語を加え、現在形や過去形を無視した文法を使い、そこにカレーやラクサを突っ込んで作り上げた独自の言語である。

 

と、ここまでは普通に考えれば良いのだが現在の問題はシンガポール人が自分たちの言葉を英語と思い込んでいることだ。タクシーに乗って住所を伝えても伝わらない。そして伝えれない僕らの英語が「間違いだ!」と言う。さらにせせら笑う、英語も出来ない田舎もんめって感じで・・・ばかもんが!お前の発音がおかしいんだろうが!本気で腹が立つ。

 

発音が伝わらないのはそれはそれで仕方ない。おれだってネイティブじゃないし現地の発音が分からない部分もある。けど自分の泊まってるホテルの名前くらいはきちんと発音出来る。分からんのはお前の方だろうが!

 

そんな事を考えながら日本から来られたお客様と同行して弁護士事務所に向かう。今回の仕事は日本にある会社の株式をシンガポールの会社に譲渡することだ。弁護士事務所はシンガポール金融庁ビルの中にあってセキュリティが厳しいが、ビルの中に入ってしまえばあとは一直線、シンガポール生まれのエリート階級に位置する弁護士とのやり取りだ。

 

シンガポールでは地元の中国系の人々はむちゃくちゃプライドが高くサービス業には従事せずにこのような弁護士とか格好良い仕事をするわけだが、だからと言って特別に脳みそが優れているわけではない。たまたま銀のスプーンを咥えて生まれただけの人間なので特別に尊敬する必要もなければいつものようにこっちの言いたい事を伝えて相手の反応を見てのやり取りとなる。

 

今回のスキームは中小企業のオーナーが利用している。オーナー企業の創業者である父親が子供に仕事を譲る際に問題となるのが株の相続問題だ。父親が実質的に創業して大きくなった会社は、業績や会社資産などを計算すると結構大きな金額になる。

 

これが数千万の価値であれば良いが数億円となると株譲渡の際の相続税が発生する。これが50%かかる。会社は順調に回っていても現金は投資に回しており相続税を払おうにも現金がない。ところが税務署は「税金払え」と言ってくる。

 

そこでどこのオーナー会社も会社承継に頭を悩ませることになる。しかしこれって考えてみれば相続を発生させるから相続税が発生するわけであり相続しなければ税金は発生しない。創業者オーナーが株を第三者に売却してその時点で売却益が出たらその分だけ納税すれば良いのだ。

 

売却益にかかる税金は相続税よりもかなり低い。株を売却することはオーナーが判断すれば実行出来る。これで相続にかかる莫大な現金を用意する必要もなくなる。

 

このスキームは日本を含むすべての国において合法でありながらビジネスを継承できる点で大変有利である。実務的にはもっと細目を詰めてオーダーメイドでスキームを作る必要があるが、日本のオーナー企業のほぼどこでも利用できるスキームだ。

 

スキーム自体はそれほど難しくはない、オーナーの希望を聞き会社の全体像を説明してもらえば何が出来るかを伝える事が出来る。問題はただオーナー社長が「海外」に対してどの程度の理解力を持つかだけである。

 

会議の中で面白かったのは、こっちが説明していると最初は少し戸惑っていた弁護士も途中からこっちの意図を理解出来たようで「あ、だったらこうやって譲渡すれば有利だね〜」と言ってきた。よかった、シングイッシュを話す連中じゃなくて。

 

事務所で会議を終了させてホテルに戻り次の戦略を軽く打ち合わせてから夕食。シンガポール名物のチリクラブを地元の人の集まる海辺のレストランで楽しむ。ふーい、今日も無事終了。

 

それにしてもタクシーの運転手、あったまに来るな。次回こんなシングイッシュ使われたらこっちも日本語英語で返してやろうかいと本気で思う。

 

どうやって返すか?「ふざけんな、頭に来てんだよ!」と怒る場面で「@@you! Head COMECOME”!」とでも言ってみるかな(笑)。



tom_eastwind at 00:47│Comments(0)TrackBack(0)

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