2011年07月21日

ダブル否定

英語で仕事をしているわけだからある程度の英語は出来る。けれどそれはしょせんが「背に腹は代えられない状態」で「なんとかやっとか」覚えた英語であり、文法はでたらめだし発音は悪い。

 

唯一相手の質問に対して「文章」で返すことが出来るので一つ一つの単語の発音が悪くても文章全体を聞き取ってもらい何とか相手に意味が分かってもらえるくらいで、一つ一つの単語を切り出して発音すると知り合いでも「今何て言ったの?」ってまじで聞かれる。

 

けれど国が変わっても頭の構造は変わらないのでたとえ相手が英語で話しかけたとしても内容が気に入らないときは速攻で無視したり怒鳴り返したりする。気が短いわけではないと思うが、どうも理不尽な話には洋の東西に関わらず腹が立つ。

 

会社口座で銀行取引をする時は当然代表としてぼくがサインするわけだが、実際に現場の入出金すべてに小切手を作ったりサインしているわけではない。そんな事やってたら本業のDirector、つまり取締役と言う仕事をやってる時間なんて取れるわけがない。

 

だいいち一か月のうち半分は出張しているのだ。なので当社では各部門ごとで口座管理と入出金管理をしているから具体的な金額などについてはすべて担当者が把握している。

 

ところが脳みそすかすかの銀行の連中は、最近の銀行ルールの改正であろうがとにかく確認電話が多い。「この小切手、あなたが発行しましたか?金額は覚えてますか?」とか「この口座にこれだけの入金がありましたが分かってますか?」みたいな事を聞いてくる。要するに保身行為である。自分の客は客ではなく上司なのだ。

 

聞くだけならよいのだがそれをいちいち全部ぼくに電話確認をしてくる。おいおい、そんな毎日の細かい出金の内容なんて把握しているわけはないだろ、聞かれたって分かるわけはない。いつも思うのだが彼ら銀行の連中はいちいち電話で「Directorを出せ、Directorじゃなきゃ話にならん」とエラそうに言うが聞いてくる内容はしょうもない入金確認とかである。

 

ところがうちのスタッフが人が良いのかガイジン恐怖症なのか、とにかくすぐに電話を回してくる。よほど重要な電話なのかと思って取ると「この口座のこのお金がさ〜」だって、「そんなん知るかよ!」である。

 

銀行からすれば上司から「毎回きちんと確認するんだぞ」と言われてやってるのだろうしその上司は財務省から言われてるんだろうから抵抗も出来ないのだろうが、じゃあ聞きたい、Director出せって言っても電話の向こうのぼくがぼくであることをどのように身元確認出来るのか?「あなたですか?」「はいそうです」と言ってしまえばおしまいではないか、そんな程度の低い認証のくせに電話ではまるで神様が下々の人々に語りかけるように大事そうに言うんだからバカにはつきあいきれん。

 

先日もしょうもない事で電話がありそれを誰がどう勘違いしたかぼくまで取りついできて内容を聞いたらお客のクレジットカード口座からの引き落としについての確認。おいおい、うちはカード引き落としなんて月に何百件やってると思うんだ、各部門に分かれているのにいちいちそんな細かい事をDirectorが把握なんてしているわけないだろうがよ。

 

それもまた電話で早口でぐちゃぐちゃとしゃべるもんだからこっちもだんだんいらいらとしてきた。そして最後には「お前さ、間違った場所に電話しているよ、お前の相手はおれじゃないんだよ、下らんことでもいちいちダイレクターに確認するってがじゃあお前らの取引先のボーダフォンのプリペイ電話の使用料金の引き落としの金額の確認まで、お前らはボーダフォンの社長に直接電話して確認取るのかよ?常識で考えろ、どんな会社でもな、ダイレクターは何も知らないんだよ、そんなことは!」と怒鳴りつけて電話を叩き切った。

 

ちなみにこのような確認は本人がいない場合はそのまま実行されるので現場作業には何の問題も起こらない。

 

頭に来る点は二つあるが、一つは日本人の英語礼賛姿勢、相手が英語で話しかけてきたらそれだけで「はいはい、なんでございますか?どうすればよろしいでしょうか?」と弱腰、同じことを日本語で聞いて来たらどう返す?普通は門前払いでしょ、このような、英語に弱いひいては白人に弱い態度ってのはむちゃくちゃ腹が立つ。

 

もう一つは電話してくる相手が自分の頭の悪さを理解せずにこちらの時間を無駄に潰させようとする姿勢だ。とにかく押しが強いのだけど中身は空っぽであり聞いているだけで何も生み出さないからむかむかとしてくる。

 

その結果として電話をかけてきた相手に怒鳴りつけて電話を叩き切るという事になるのだが、これだけでもお互いに不愉快な時間であり人生が有限であるからこんな不愉快な思いを生み出している事自体に怒りを感じてしまう。

 

これからニュージーランドで生活を始める人々も現地のバカげたシステムと無意味な内容の電話に不愉快な思いをすることが出てくると思う。けど正直、真面目に答える必要はない。英語で意味不明の事をしゃべるから最初は相手が何を言ってるか分からず我慢強く聞いてると最後はどうでも良い話や営業電話だったりする。

 

なのであまり意味の分からない電話が長引くようだったら「I don’t speak English!」と英語で言ってみればよい。相手も???だろうが。中国人でほんとに英語の出来ないおばあちゃんなどは英語の電話がかかってきたら「NO!」と一言で電話を切ってしまう。簡単なものだ。

 

だから英語の電話がかかってきたからと言っていちいち神様の御宣託を聞くようにあがめ奉る必要はない。しょうもない物売りの電話だったりもするのだからちょっと聞いて意味が分からなければ「手紙でください」とか「二度と電話しないでください」とか強気で言い返してよい。でないと大事な時間の無駄使いになる。

 

ぼくは本当に大した英語は話せないがそれでも喧嘩の方法だけは理解している。相手がだれであろうとそれがルール違反であれば怒るべきだ。それが文化の違いなら怒ってはいけないが。

 

ちなみにその英語で最後に一つ。今回の銀行の電話でだんだん頭に来た僕は「ふざけんな、ダイレクターなんてそんな毎日の事を知ってるわけがないだろ!ダイレクターは何も知らないんだよ!分かったか!」と言うと相手はためらいがちに「あ、はい、えっと、はい・・・」

 

そりゃそうだ、ぼくが彼女に言った英語は

“Director never knows nothing! Am I clear !

だったからだ。



tom_eastwind at 17:45│Comments(0)TrackBack(0) 諸行無常のビジネス日誌 

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